第90話 清掃委員会3
「じゃあ、自己紹介から。僕は大野隼人です。一生懸命頑張りたいと思います。多分あっと言う間の一年間ですが、よろしくお願いします!」
イケメンスマイルで大野が先陣を切る。
「じゃあ、次は私ですね。二年生ながら副委員長になりました。高瀬真美です。至らない点もあると思いますが、一年間よろしくお願いします」
ショートカットの落ち着いた泣きボクロの後輩の高瀬は礼儀正しく挨拶を済ませる。
で、次は俺か。噛まないように頑張ろう。
「三年の夜咲耕平です。一年間宜しくお願いします」
当たり障りない回答……というか、最低限の言葉でその場を乗り切る。大野みたいに頑張るとかも言えないな。正直、中條がいる時点でテンション駄々下がりだし。折角のタイムリープなのに。
いや、逃げるな。中條が何だ! 俺はこのタイムリープで学生生活を満喫するんだ。勉強も、委員会も、修学旅行も、そして恋も。……部活だけは諦めてるけど、部活はもういいんだ。もういいんだ……。
次の海崎に順番が回る前にもう一言だけ付け加えた。
「……書記になるのは初めてですが。精一杯、職務を全うしたいと思います」
もう逃げない。もう逃げるの止めだ。もう嫌となるほど、学校から、部活から、そして現実から逃げた。
中條なんかにこれ以上人生を狂わされて堪るか。
少しだけ前向きになれたような気がした。
それが何だかやけに誇らしかった。
続いて海崎も挨拶をしたが「何か夜咲君の後、挨拶しずらい」と、夜咲書記はクレームを貰った。
「続けて、1年1組から自己紹介をお願いできるかな」
大野が指揮を執り、委員会を進行してく間。俺は書記らしく黒板に『役員決め』『自己紹介』『先生の挨拶』等を書いていく。これが何か知らないがやけに楽しい。
え? 委員会とかってダル~っと思いながら話をボ~っと聞いてるより、役員で何か仕事してた方が楽なんじゃないの?
しかもそれで内申よくなるって一石二鳥じゃん。
自己紹介の後の先生の話が長かった。
中條、話長いんだよな。喋り方もゆっくりだし。
怒る時は無駄に怒声をあげる癖にさ。
委員会が終わると海崎が隣に来て一緒に教室に戻る中、駆け足で近づいてきた大野が不意に話しかけてくる。珍しいな、部活もあるだろうに。
「ごめん。耕平、無理に書記やらせちゃって。嫌だったよね。中條先生とも気まずいだろうし」
「いいよ別に。やってみたら意外と楽しかったしな」
そう言うと大野は足を止めた。
「どうした?」
「──なあ、耕平、部活戻って来ないか?」
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