第85話 委員会決め演説
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学校に向かうと隣を歩く葵はご機嫌だ。
「演説文は書けたのか?」
「うん、何とか。携帯もあるから少しインターネットで調べて参考にしたけど」
「まあ、何とかなったなら何よりだ。頑張れよ」
桜が散り始めた通学路、俺たちはそんな会話をしながら歩いた。何がどうという理屈じゃないけど、こんな何気ない時間が俺は堪らなく愛おしかった。
あーあ、好きだなぁ。この隣の能天気美少女は俺のそんな恋心には微塵も気づいて無いんだろうな。
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向かえた、五、六時間目の学級活動もとい、給食委員会の選挙、演説。もう俺は突っ込まんぞ! 多分。
結論から言おう、結果は圧倒的だった。
投票の結果、当選者は男子はイケメの桐生俊影。女子は藍愛という同じく眼鏡の何となく秘書のような雰囲気の生徒だ。ちなみにアイアイの発音では無く、藍・愛と、アイの間に一区切りする発音だ。それで呼ばないと藍は凄くキレるらしい。
ちなみに投票演説と言ってもクラス内での投票なので、ルールが少し違った。投票権は立候補者にも与えられる。勿論、自身には投票できないルールだ。
じゃないとクラスの半分が立候補してる給食委員会選挙なんて投票者が少なすぎる。よく見たら有Tまで投票してたよ。何でこの手の選挙で先生に投票権あるの?
二位に三倍以上の差を付けて当然した当選者の桐生は「清き一票をありがとうございます」とクールに眼鏡を直しながら一言だけ告げていた。
桐生の演説内容は給食の枠を超え、路上生活者への食事の提供、アフリカの子供たちへの支援、終いには核兵器の撲滅から、数百年後の地球の未来の保安まで語っていた。
ギャグでは無い桐生の真剣な言葉と迫力に演説を気づくとクラスのみんなは聞き入ってしまっていた。
有Tなんて「俺は素晴らしい教え子を持った」と言いながら涙を流していた。
あんた絶対に桐生に票を入れただろ?
ちなみに惜しくも葵は女子枠三位。桐生のような壮大な演説では無かったが、年相応に可愛らしく、真面目な演説だった。
最初の出だしを噛んで顔を真っ赤にしてたのが可愛かった。え? 選挙と関係無いじゃないかって? すいません。そうですね。以後、気を付けます。
後は検討したのが男子枠二位の丸芽。桐生には遠く及ばなかったもの、俺は友人として惜しみ無い拍手を贈りたい。
ちかみにだが、勿論、俺は男子は丸芽に、女子は葵に票を入れた。身内贔屓なのは認める。反論は認めない。
でも、ちょっとだけイケメンの桐生と葵が同じ委員会にならなかったのにホッとした自分が醜くズルい生き物に思えた。
別に葵が桐生を好きとかは知らないが、近くにイケメンってのは、ごめん、ちょっと心配。情けねー。
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