第82話 たまには逆に
『朝に迎えにって俺がか? まあいつも俺が迎えに来てもらってるから拒否権は無さそうだが……』
『え? 本当に来てくれるの!!』
『行ってもイイが、葵のお父さんに殺されないか? 俺……』
娘は絶対にやらん!
って、タイプのお父さんだからな。葵パパ。
すると五分後ぐらいに返信が来て──
『あ、大丈夫。お父さん明日まで大学に泊まりだから。お母さんは耕平に会いたいって!』
と、もう俺が迎えに行くムードだ。
早起き……む、葵の為か……仕方ない。
葵パパは確か大学教授だったか、エリートだなー。それと葵ママは何度か会ったがありがたいことに俺に好意的だ。家の母さんとも仲が良かった記憶がある。
『じゃあ、朝食を食べたら行く。7時過ぎぐらいでいいか?』
『うん! 待ってるね♪ 演説文捗りそう! ありがとう。じゃあまた明日ね! お休みなさい♪』
毎度のごとく、どんなメールにも返信すると約束したので、ここで携帯を閉じてもいい、そんなメールにも俺は『おやすみ』と返信し、携帯を充電器に差し、布団を被ると直ぐに心地のイイ睡魔がやってきた。
あー、薬に頼らなくても寝れるってイイもんだな。
天然物の睡魔が一番イイよ身体にも。
っと、やべ、携帯の目覚ましかけるの忘れてた。
六時ぐらいに起きればイイか。
*
翌朝、俺は見事に寝坊した。六時に起きる予定が、今はもう六時半を過ぎている。くっ、無念!
いや、無念とか言ってる場合じゃなくて、俺は飛び起きる。
ブレザーに着替え、携帯を持ち、部屋を飛び出る。
いつもより早い(でも遅い)けど、そんな俺を見て母さんは目を見開くかと思ったが「少し寝坊かい?」と、言われた。
うわ、これ葵経由で母さんにメール行ったな。母さんが夜勤なの知ってるから夜でもメールいれたな?
俺の片想いの幼馴染みと家の母親がメル友な件。恐るべし。
「今日の朝食はこれでいい」
と、冷蔵庫から野菜ジュースを一気飲みし、母さんの返事を待たずに家を出る。野菜ジュースは忙しい朝も僅か数秒で食事が取れる最強飲料なのだ。
起こしに行く当人が遅刻とは大分格好が付かない。駆け足で葵の家の前に着くと、携帯を取り出し葵に電話をかける……と、ワンコール目で、
『ひゃ、ひゃい、月島です』
『何で慌ててるんだよ、おはよう』
時間は7時ジャスト。何とか間に合ったハズだ。
『今降りるね』
と、言われ、待つこと1分、ガチャりと葵の家の扉が開いた。
「おはよう。耕平、本当に起こしに来てくれるとは思わなかった。ありがとう♪ さ、上がって!」
と、葵に言われるがままに家に上がらせて貰う。
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