第75話 小さな朝のお花見3
「ほれ、オレンジジュースでいいんだよな?」
「あ、耕平、うん、ありがとう」
俺は紙パックからオレンジジュースと野菜ジュースを葵と俺のコップに注ぐ。
「スープが冷める前に食おうぜ。桜は見えるか?」
「うん、バッチリ♪ 綺麗だね。私桜好きなんだ。春だなーって、凄い心からあったかい気持ちになるの♪」
そう言って葵はそれこそ桜が咲くように笑う。
桜はイイよな。学校の卒業と入学には桜は欠かせない。日本の宝だよ。桜は。
「耕平は見なくてイイの?」
「さっき見たし、言ってしまえば毎日見てるしな」
「何度見てもイイ物はイイんだよー」
折り畳みテーブルを挟み俺の向かいにお行儀よく正座で座る葵は、可愛く口を尖らせている。
「まあ、早く食べようぜ。朝からローストビーフのサンドイッチは夜咲家ではかなり稀少だ」
「もー、花より団子。でも、私もお腹は空いたかな。冷める前に食べないと耕平のお母さんに失礼だよね」
えへへ♪ と、葵は嬉しそうに笑う。
全く、何がそんなに嬉しいんだか、タイムリープして来た俺じゃあるまいし。
……いや、葵は真っ直ぐに今を生きているんだ。
凄いな葵は。俺がタイムリープまでしなくちゃ分からなかった大切なものを最初から知ってたんだから。
教科書には載ってない大切なことを知ってるなんて何かカッコいいな。まあ、逆に教科書に載ってることは少~しばかり疎かなんだけどな。
どっちが素敵なのかは言わずもがなだろう。
「どうしたの? 耕平、いただきますしよ?」
「ん、ああ。少し考え事をな。いただきます」
「考え事? 最近多いね。いただきます♪」
考え事か、確かに最近多いかもな。
年を取るにつれて考え事ってのは多くなるもんだ。
俺だって、タイムリーパーだから身体こそ中三だが、中身は三十路だからな。
いや、でもいつの時代も悩み事は尽きないか。少なくとも俺はどんな時でも何かしら悩んでいた。
現実に目を背けながらな。ニートはそういうもんさ。タイムリープしてなかったら俺どうなってたんだろうな、いや、本当に……感謝します。神様。
「あ、やっぱ、耕平のお母さんの野菜スープ美味っしい♪ 私、これ好きだな。サンドイッチも楽しみ」
「それだけ言って貰えりゃ母さんも張り合いだな」
母さんは葵気に入ってるしな。
俺的にはイイやら悪いやらだな。
「うん、あとでまたお礼言わなきゃ」
「まあ、俺が言うのも何だが、いっぱい食べな」
「ありがとう。昨日は今日の為に夕食少なめにして来たから、今日はいっぱい食べちゃう」
サンドイッチに手を伸ばしながら葵が言う。
「いや、そんな調整して来たのかよ? どんだけ楽しみにしてたんだよ?」
「多分、耕平が思ってる十倍は楽しみにしてたよ?」
「みたいだな……驚いた……」
「えへへ、美味し♪ 今日はイイ日になりそう」
そう言い更に葵は両手で可愛らしく持ったサンドイッチを口に運ぶ。心底、満足そうに。
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