第69話 帰り道
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放課後、先に靴を履き替え、鉄製の大きな傘立てに軽く座りながら、一緒に帰る約束の為、葵を待っていると、パタパタと急ぎ足で葵がやって来た。
「あ、ごめん、耕平、待ったよね」
「いいよ、別に、待ったってほど待ってないしな」
靴を履き替えながら「それでも待たせてるじゃん、ごめんね」と、謝ってくる。真面目だなぁ。
和人なんて10分、20分遅れてきても「遅れたー」で終わりだぞ。ちなみに今俺が葵の来るのを待った時間は3分にも満たないだろう。
仕事じゃそうもいかないが、ただの待ち合わせなら十分に誤差の範囲だろう。あーあ、働きたくないな。願わくばずっと学生でいたいもんだ。まあ、そんなことは絶対できないんだが。時間てのは本当に残酷だよな。どんなに嫌でも大人になってくんだから。
「あ、でも、暗い顔してるじゃん。やっぱ、待って疲れたとか?」
「いいや、働きたくないなとか、大人になりたくないなとか、考えてただけだ……」
「わ、思ったより、ダメなこと考えてた!?」
トントンと靴を履き俺の隣まで歩いてくる。
玄関を出ると、話題はさっきの話の続きになる。
「私は早く大人になりたいかな。車を運転したり、お酒を飲んでみたりとか。今の私たちには出来ないことが出来るようになるんだよ。ね、楽しみじゃない?」
楽しそうに葵は話す。
まるで夢を描く幼い子供のように。
……そうか、タイムリープ前には葵は高二で亡くなっている。こんなに楽しそうに話してくれる、車の免許もお酒の味も知らずに死んじまったんだな。
何だろう、凄く切ない、悲しい。
「今度は悲しそうな顔、どうしたの? 私の話、嫌だった……?」
「いや、覚悟が決まっただけだ。車もお酒も楽しみだな。あ、でも、飲酒運転は絶対すんなよ!」
この世界線では葵を絶対に死なせはしない。改めて俺は決意した。例え俺が死んだとしてもそんなクソッタレな運命、絶対に変えてやる。
飲酒運転のトラック事故を何としても防ぎ、未来の葵を幸せにする。これが俺の最低目標だ。
「飲酒運転は犯罪だよ。そんなことしないよ。お酒飲めるようになるのもまだ先だし」
「後、五年と少しだろ? あっという間さ。五年なんて」
「えー、五年て長いよ? 小学校一年生が小学校五年生になっちゃうんだよ?」
「ふむ、まあ小学校や中学に高校の時間は長く感じると言うしな。心理学だとジャネーの法則って奴か」
「えーと、ジャネーの法則?」
校門を出て、隣を歩く葵は可愛く首を傾げる。
「簡単に言えば、生涯の一定時期における時間の心理的長さは年齢の反比例するって話だが、聞くか?」
「む、難しい話? 聞きたいけど、今日はやめとこうかな。頭が一杯一杯になっちゃいそうで何かヤダ」
「まあ、中学のテストには出ないからそれでいいさ」
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