第4話 タイムリープ2
家のリビングに下りると、朝食を食べていた夜勤空けの母さんがブレザー姿の俺を見て目を丸くする。
母さんも若いな15年前ってのは……
「耕平、今日は早いのね」
「ああ、学校に行ってくる……その朝から……」
少し照れながら俺がそう告げると母さんは驚いた顔をした後に嬉しそうに「そう」と頷いた。
「朝御飯、食べていきなさい」
「いや、いいや。飯より早く学校に行きたい」
そう言うと母さんはまた目を見開いて驚いた。
「ダメよ、朝御飯は食べていきなさい。ごはんとお味噌汁だけでもいいから」
まあ、腹が減ってないと言えば嘘になるしな。
ここはありがたく食べていくか。
「いただきます」
本当に白米と味噌汁だけの朝食を俺は食べ始めると、同じく白米と味噌汁それとウインナーを母さんは食べ始める。
最後に母さんと食事をしたのはいつだったろうか? 引きこもり始めてからは一緒に食事なんて事は無かった筈だ。
「健康診断」
「?」
唐突の俺の言葉に不思議そうな顔をする母さん。
「金が無いとかめんどくさいとか言わないで毎年ちゃんと見て貰え。特に肺をな。後、仕事も直ぐにとは言わないが、せめてタバコを仕事中もパカパカ吸ってるような所はよせ。体を壊すぞ、いやマジで」
タイムリープする前は母さんは肺癌だった。だが母さんはタバコを吸わない。主な理由はモラルに反する夜勤の工場での、仕事中にも関わらず工場内でパカスカとタバコを吸ってるやつらから貰った煙、言わば受動喫煙だ。
俺が真剣にその胸を伝えると。
「分かったわ」
と、優しく頷いた。
「約束だぞ」
それだけ告げ、白米と味噌汁を胃に掻き込む。
腹も膨れ、歯を磨いた後改めて、
「行ってくるよ。それと夜勤空けなんだろ? ゆっくり休めよ」
と、そう伝えると。
「ありがとう。いってらっしゃい」
そう優しい返事が返ってきた。
今度こそ俺は玄関を抜け、学校へと向かう。
そう言えばタイムリープは何でこの年なんだろうな。幼い頃に亡くなった父さんにも遭いたかったかと聞かれれば、答えはyesだ。昔の事過ぎてよく顔も覚えてないけど、幼い頃に病室に横たわる父さんの口に飴玉を放り込んだのを何故か強く覚えている。
学校へと向かう道は通い慣れた道だ。
だがそれさえも今は愛しいぐらいに懐かしい。
ドキドキしてきた。ワクワクしてきた。
どうしよう、学校が楽しみで楽しみで仕方ない。
校門に着くと少し早咲きの桜が俺を迎えてくれた。
優しく、時折強い風が桜の花びらを散らして行く。
そんな光景に目を奪われていると、背後から、驚き半分、不思議半分と言った様子で女子の声がした。
「……耕平?」
聞き覚えのあるその声に俺は体に稲妻が落ちたような電撃が走り、心底驚いた顔で少女を振り返った。




