第45話 学校の冒険4
「あー、何だ。俺は今バスケ部じゃないんだ」
「え……そんな馬鹿な!? 何があったんですか! あんなにバスケが誰よりも大好きだったのに」
目に見えて風間はショックを受けた顔だ。
「俺、辞めちまったんだ。どうも顧問が合わなくてな気づいたらあんな好きだったバスケが苦痛でしかなくなってた。自分でも驚いたよ。帰宅部の夜咲耕平、これが今の俺だ。その、悪いな……」
俺は、誰に、何を、謝っているのだろう──
「そ、そうだったんですか。あの耕平先輩がバスケが苦痛になる何て、すいません。俺、何も知らなくて」
「いいよ、別に。お前は何も悪くない。その、何だ、お前は頑張れよ。部活、逃げ出した俺が言っても説得力無いかもしれないが、部活は多分、この学生時代にしか味わえない大事な物が詰まってるんだと思う」
バスケの話しで久しぶりにほんの少しだけだが笑えた気がする。
「おーい。部活見学の1年! 中入っていいぞ!」
この声は大野か。懐かしいな。久し振りに顔でも見とくかと思ったが、今日は止めておこう。
「ほら、行けよ。頑張れ、1年生!」
去り際に頭一つ分ちょい背の低い風間のポンと軽く頭を撫でながら、俺はこの場を去る。「っス……」と短く返事をして来た風間は俺に深々と頭を下げていた。
ありがとな。昔の事を、俺の大好きだったミニバス時代の時間のことを、覚えててくれる奴がいるってだけで少し気持ちが救われるよ。
げ、そこで俺はバスケ部顧問の中條智が、体育館に向かってくるのを見つけ『やべっ!』と、逃げるように体育館裏に移動する。
ふぅ、危ねぇ。あいつには会ったら凄い面倒だしな。つーか、正直、会いたくない。
体育館裏、桜がまだ舞っている。綺麗だなー。と、眺めていると、一人の男子生徒が目に入る。やけにそわそわしている。確か他のクラスの奴だ。名前は沢何とかだった気がする。サッカー部だ。
だが、次に現れた人物に俺は少し驚く。
──葵?
何でこんな所に葵が?
部活に行ったハズじゃ?
「えーと、こんにちは。待たせちゃったかな、ごめんなさい。それで私に用事って何かな? 沢村君」
俺は葵と沢何とかにバレ無いように身を隠すが、結果的には二人の話を盗み聞きする形になる。うん、つーか、沢村って名前だったのか。沢何とかの名前。
「いきなり呼び出してごめん。話なんだけど──好きなんだ! 月島さん、俺と付き合ってください!」
──ッ!? 痛い、何だこれ。
頭と胸が締め付けられるように痛い。
それと同時に怖い、凄く怖いんだ。
葵が何処か遠くへ行ってしまいそうで。
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