第39話 不登校と遅刻魔3
掴んだ拳を強く握りあげ、くるりと回す。
すると藤林はイテテッ! と、大袈裟なぐらいの声をあげるので、仕方ないので仲間の元へ返す。
「夜咲、この……運動部のエースだったか何だか知らねぇが、身体能力は高いってワケかよ」
ハハハ、タイムリープ前のニート時代は、合気道や柔道、果てはシステマやバリツまでネットで研究してたからな。実戦はしたことは無いが知識を追って試してみることぐらいできるぞ。
まあ、今やったのはそんな大層な物じゃ無いけど。
トントン。と誰かが藤林の肩を叩く。
「何だよだれだよ」
藤林が振り向くとそこには。
「やあ、藤林君。大まかな話はクラスの皆から聞いたよ。ちょっと、職員室まで来てくれるかな?」
その人物は有Tだ。いつもの輝かしいスキンヘッドと共に、あー、これ怒ってるなー。と、何となく感じる、笑っているが、目は笑ってない笑顔。
普段、あまり怒らない人が怒ると怖いんだよな。
スーツでも着てれば、そこら辺のマフィアより怖い有Tの迫力に、藤林も中村も春山も『やっべ』みたいな蒼白な顔でビビっている。
三人揃って職員室に連行されて行った。
太陽よりも眩しい正義の有坂先生に敬礼!
「夜咲君、何やってるの?」
敬礼で有Tを見送る俺を不思議そうに丸芽が見てくる。
「知らないのか? 敬礼だ」
「じゃ、じゃあ、僕も!」
と、丸芽もビシッと敬礼でT有坂を見送る。
すると、そんな俺達に冷やかな声が投げ掛けられる。
「何二人してバカなことしてるの?」
その人物は丸芽の隣の席の女子。柊美波だ。余談だが、クラスの男子で一番に身長の低い丸芽より更に一回り低い身長の女子だ。柊は。
「分からないか? 敬礼だ。お前もどうだ?」
「やらないわよ。はぁ、何で私こんな馬鹿にテストの点数負けてるのかしら。頭が痛くなって来たわ」
するとまた新たに俺と丸芽に話しかけて来る奴がいる。
「おーい、耕平、いつの間に丸芽とそんなに仲良くなったんだよ。つーか、藤林たち有Tに連れていかれたけど何かあったのか?」
「友達になったんだ。藤林たちは太陽神有坂の裁きを受ける事になるだろう。つーか、お前こそ何処行ってたんだ、随分と楽しそうだが、和人?」
「おいおい野暮なこと聞くなよ。俺は1組の彼女に会いに行ってたんだ。今日は一緒に帰るんだぜ」
「へー、彼女いたのか。お前?」
「前に紹介しただろ? もう忘れたのかよ!?」
……俺的には15年も前の事だしな。ぶっちゃけ興味ないし。あー、何かでも少し思い出して来たな。名前は忘れたけど、物静かでメガネの子だった気がする。
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