第3話 タイムリープ
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「──ハッ!!」
俺は飛び起きた。
「……朝……?」
家の窓から朝日が射し込んでいる、
「はは……夢だよな……タイムリープなんて……!?」
二度寝を決行しようと布団を被り直すと俺は違和感に気づく。
「この布団……昔、豚骨ラーメン溢して、ファブリッシュするも、匂いが取れなくて捨てたやつじゃ」
気温も暖かい。俺は12月の冬に寝た筈だ。それが今や布団も冬物と比べ少し軽くなってるし、何より外に、家の庭に一本だけ生えてる桜の木が花を咲かせはじめている。
いやいやいくらニートが曜日感覚や季節感覚に疎いとは言え、冬と春を間違えるほどじゃないぞ!!
二度寝なんて、そっちのけで俺は飛び起きる!
「スマホ、スマホ! 今何月何日だ!?」
慌ててスマホを探す俺は枕元で充電されていたそれを見つけて絶句する。
「が、ガラケー……!?」
そこにあったのdocomonの黒いガラケー、正式名称〝ガラパゴス携帯〟だった。
「うお、懐かし! 充電マッハで減るようになって寿命を迎えた俺の初代携帯様じゃねぇか! 母さんに月々の携帯代は土下座でごねにごねて、機種は長年使わなかったお年玉で自腹で買ったやつ!」
一回、パケ放題入ってなくて、パケット通信料で数万の手痛い出費をくらったのを覚えている。その時点で俺の長年貯めたお年玉は半分を切った筈だ。
ガラケーのヒンジ部にある、ワンプッシュオープンボタンを押し「懐かし過ぎだろ」としばらく永遠にガラケーの開閉を繰り返す。
スマホのが多機能だし便利なのは分かるんだけど、正直、ガラケーのが俺は好きなんだよな。
スマホになった後も俺はガラケー打ちだったしな。そこら辺のギャルよりもガラケーの文字打ちは早い自信があるぜ。
五分ぐらいガラケーとの再会を懐かしんでいると、またもや懐かしい物を発見する。
「……ブレザー……これって中学の時の……」
ハンガーにかかり、今尚『現役ですが何か?』と言わんばかりの使用感を醸し出していた。
ちゅ、中学!? と、俺がガラケーと部屋にあったカレンダーを照らし合わせてみると──
「15年前……の……4月3日……の……朝6時38分……」
マジでタイムリープしてる。
夢でも無い。
夢と現実の感覚は嫌と言うほど俺は知ってる。
(まあ、魂が体を離れるって感覚は知らなかったが……神様……リリスは本物だったんだな……)
「15年前……というと……中学三年か……」
正確には約15年と8ヶ月タイムリープしたワケか。
ここでふと鏡を見てみると──
「わ、若い……」
黒髪の少年の顔が映し出されていた。
15年の月日って残酷だなぁ。
身長は-5cmぐらいか。30歳の俺の身長は173cmと、夜更かしばかりであまり伸びなかったんだよなぁ。中学の頃は中三で168cmとクラスの中では高い方だったけど。
お、ということは、タイムリープしたことによって、また成長期を繰り返すことができるんじゃないのか? 高身長を今から目指すのも悪くない。
またもやガラケーを開き曜日を確認すると、今日は平日、学校がある。そう懐かしい義務教育の時間だ。
俺は中学ニ年頃から欠席や遅刻の常習犯だった。4時限目の終わった給食時に行くのはザラで、社長出勤だの、午前中不登校だのを言われたのを覚えている。
俺はブレザーに着替え、学校に行く準備をする。
──学校に行きたい!!
学校。これは俺がタイムリープする前に過去に置き忘れてきた、取り返したい物の一つだ。
長い長い悪夢は終わりだ。
俺はこれから人生をやり直すんだ!
あー、ダメだ。わくわくする。あれほど嫌だった学校に今は行きたくて行きたくて堪らない。
俺はポケットに愛用のガラケーを仕舞い、自室の扉を開ける。これが俺のタイムリープの最初の一歩だ!




