第33話 鳥幸食堂
雨の中を走ること10分。俺は漸く目的の店に着いた。今日の目的地、それは〝鳥幸食堂〟──そう飯屋だ。言ってなかったか? 俺は飯を食いに来たんだ。
暖簾の出た横スライドの入り口の扉を開けると懐かしい匂いがする。
ハハ、相変わらずボロいな。数少ない昭和初期から続く古い店だ。
店内にはテーブルが6席、カウンターが2席、座敷が2席、そしてブラウン管テレビまである。令和から平成にタイムリープして来た俺が言うのも何だが、まるで昭和にタイムスリップしたような店内だ。
タイムリープ前には、高齢の店主が倒れ亡くなってしまってからは跡取りも無く、惜しまれながら閉店しまった。とても美味しい料理屋だ。
確か俺が二十歳の時には閉店してしまったから最低でも十年振りの来店となる。
「いらっしゃい……って、なんじゃ。耕坊じゃないか。今日は一人か?」
「……松爺……」
新聞を読み、俺を公務執行妨害みたいな呼び方で親しげに話しかけて来る、記憶を辿ると確かもう80歳になる白髪頭に白い顎髭を伸ばしたこの店の店主の名は梅松重春──渾名は松爺。
保育園の頃から母さんとの外食は大体ここってぐらいには通っている、俺のことを何かと気にかけてくれてる。祖父母のいない俺にとっては、それこそ本当の爺ちゃんみたいな存在だ。
「どうしたんじゃ? まるで幽霊でも見たような顔しおって? それに学校はちゃんと行っとるのか?」
結構的確な事を言いながら優しく笑う松爺。
「一昨日からだけど、ちゃんと行ってるよ」
「そうか、学生生活は人生の大切な物がたくさん詰まっとる。耕坊もきっとイイ物を見つけられる筈じゃ」
当たってるな。お年寄りの言うことは聞いとくモンだよ。伊達に長くは生きてねぇな。
「ああ、だとイイな」
「腹減ってるじゃろ? いつもの醤油ラーメンでいいか?」
この店は食堂なので色々なメニューを扱っているが、客の大半は醤油ラーメンを頼む。これがやたら美味い。客も昔からの常連が九分九厘で新規の客は滅多に入って来ない。店の外見は超が付くボロさだからな。
あと残念なのは昭和からの昔ながらの営業法方なので、結構ラーメンの作り方が大雑把だ。簡単に言えば、その日、その日によって味にバラつきがある。
酷い時には薄すぎて味がなかったりする。まあ、そんな日でも、備え付けの胡椒と酢で味を自分で整えればそれなりになったりするんだが。
「いや、今日は大盛りで頼むよ」
俺は懐かしき幻のラーメンを腹一杯に食したい為、いつもは普通盛りだが、今日は思いきって大盛りだ。
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