第24話 葵の家2
小綺麗な葵の部屋、ザ・女の子の部屋と言わんばかりの絵に書いたような部屋だ。ベッドには大きめの熊のぬいぐるみまであるよ。あいつ女子力ヤバイな。
仄かに甘い女子の部屋のイイ匂いが鼻腔を擽る。
そんな部屋の中に真ん中に置かれた、小さく白い丸テーブルの前に正座で腰かけている。座布団は無い。
五分ほどで葵がグラス2つと麦茶のピッチャー1つを持って現れた。少しばかり長く感じた五分だった。
「ごめんね。耕平、お待たせ♪」
「別に待ってねぇよ」
でも、内心ホッとした。のは言わないで置こう。
好きな女の子の部屋に一人と言うのは心臓に悪い。
ピッチャーの麦茶を注いでくれながら葵は少し顔を赤らめて口を開いた。
「本当に来てくれるとは思わなかった。昨日、金曜映画ショーの『魔女の宅配便』観た後に部屋掃除しといてよかった」
「魔女宅か昨日のあれは面白かったよな」
ピタッと葵の麦茶を注ぐ手が止まる。
「耕平、昨日は早く寝たんじゃなかったの?」
「えーっと……」
やべ、口が滑った。
「耕平、私にメールしたよね? 『お休み』って。もしかして私のメール切っといて『魔女の宅配便』観てた何てこと無いよね?」
ムスッとする葵。
あー、怒ってても可愛いなー。
「す、すいませんでした……」
「もー! 耕平のバカーー!!」
ぷんすこと、でも優しく怒る葵。
「CMの間に一通でもイイからメールしたかったのに」
「ま、魔女宅、いや、金曜映画ショーがイケないんだ! あんな時間から魔女宅を流すなんて。俺はある意味、夜更かしを余儀なくされた被害者なんだ……」
「もうまたよく分からない屁理屈言って。ダメだよー。そういう所、直さないと。それに夜更かしの被害者なんていません。金ショーには感謝しか無いよ」
「悪かったって、宿題みてやるから許せ」
「むー、お詫びなら別の形がイイな……」
「まあ確かに宿題みるのは元々の約束だしな」
それをダシに使うのはズルいか。
「……その……ケーキバイキング……」
「ケーキバイキング?」
「来月の第一土曜日。お店の五周年記念キャンペーンで〝ケーキがいっぱい!〟で、1人500円なの。小学生は半額、学生は200円引き。そこに付き合ってくれるなら、ゆ、許してあげる……」
〝ケーキがいっぱい!〟とは店の名前だ。
いかにもケーキバイキングをしてそうなお店だ。
「そんなことでいいのか?」
甘い物は嫌いじゃない。むしろ好きな方だ。
「私にとってはそんなことじゃないもん……」
止まっていた麦茶を注ぐ手が再度動き出す。
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