第16話 金曜の魔女の夜の誘惑
葵にはどんなメールにもちゃんと返信すると約束をしたので、最後に『お休みなさい』と書かれたメールにも、その後俺は『お休み』とだけ返信し、今日のメールは無事に終わった。
本当なら葵となら1日中でもメールしたい所だが、タイムリープ初日はこんなものだろう。
つーか、タイムリープ初日で葵に会って話す所か、隣の席になり、一緒に帰り、映画に誘い、電話し、メールもしたって言うのは、かなり上々な滑り出しではないだろうか? 神様、引きニート頑張ったよ!
ふぅと、ベッドに腰掛け一息つくと睡魔に襲われる。この頃の俺の体は中一まで結構厳しめな運動部に所属してたこともあり、それなりに体力がまだあった筈だから、そんなに疲れるワケでは無いと思うが、凄く眠い。精神疲れかね? それなら大いにあり得る。
っと、風呂に入らなくては。風呂に入らず映画に行くほど俺は不衛生でも、マナーも無くはない。
手っ取り早く風呂を済まし葵に伝えたとおり早く就寝しようとする。
風呂から出ると飲み物を求め冷蔵庫を漁る。
あったのは、ピッチャーに入ったパックの麦茶と牛乳、そして紙パックの野菜ジュースだ。
このラインナップなら一択だろうと、野菜ジュースを冷蔵庫から取り出す。
野菜ジュースを飲みながら手持ちぶさたにテレビを付けてみると金曜映画ショーでシブリ作品の『魔女の宅配便』がやっていた。
何度見てもシブリはいいよな。『魔女の宅配便』は何回も見たが、それでもまた見てしまう。
……結局最後まで見てしまった。
不味い……時刻は11時過ぎ、葵に言った早く寝ることが俺はできなかった。ち、違う! ア、アイツが悪かったんだ。俺も本当なら大人しく寝ていた……!
だが、本の少し野菜ジュースを飲む間だけ、静寂に満ちた寂しい部屋にテレビを付けた。だが、それを見計らったように、魔女宅が流れ始めたんだ!
だから俺は魔女宅に魅了され、夜更かしを余儀なくされた被害者の一人なんだ、分かってくれ!
一頻り懺悔した後、ほぼ満タンにあった筈の、空になった野菜ジュースの紙パックを水で流し、畳んでキッチンの紙パック置き場に置く。
いや、マジで早く寝よう。遅刻したら一大事だ。
まあ、今から寝ても待ち合わせ時間までは半日以上あるから遅れる気はしないがな。
(っと、睡眠薬、睡眠薬──あ……)
忘れていた。いつもの癖で睡眠薬を飲もうとしていたが、今は、この中学時代は睡眠薬は服用してない。
慣れって怖いなー。と、染々思いながら、自室に向かい、布団を被る、あー、今日はよく寝れそうだ。
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