第12話 学校生活5
えーと、確か職員室に入るにはクラスと名前と目的を伝えるんだったな。ああ、ダメだ。楽しい。普通ならこんなクソ面倒な職員室に呼び出し何てことダルいと思うやつが大半だろう。
だが、今の俺にはそんなことすらも楽しいと胸を張って言える。え? お前、呼び出されてたの忘れてただろって? 仕方ないだろ、授業とか葵のこととかで胸一杯だったんだから。
コンコンと職員室の扉をノックし──
「失礼します。3年4組の夜咲耕平です。有坂先生に用があって来ました」
噛まずに言えたぞ。偉いぞ俺。と、軽く自分に称賛を贈っていると、職員室でダントツで輝かしい頭の教師に手招きをされる。他でも無い、有Tだ。
「どもっス」
軽い挨拶と共に有Tの所に駆け寄る。
「耕平君、よく来たね。まあ、別に怒ってるワケじゃないから、気を楽にして聞いてよ」
「はぁ、じゃあ、何故俺は職員室に呼び出しに?」
「耕平君のこれからを聞こうと思ってね。二年の時は出席日数が足りなかったから、中学は義務教育だから進級できない何てことは無いけど、今年は受験もあるし、高校で今まで通りの出席だと半年も経たず留年だ。高校の留年=高校中退と同じような事だからね」
優しく有Tは言った。とても大切なことだからちゃんと聞くようにみたいな真っ直ぐな視線で。
「これからは真面目に通うつもりです。ご心配おかけしました高校も東葉閣高校に行くつもりです」
東葉閣高校、タイムリープ前の俺が高二で中退した高校だ。葵もここに通ってた。ちなみに中三の二学期辺りに塾に通い始めて何とかギリギリで合格したと言ってた。
(……塾──)
そうだ塾だ。タイムリープ前、高二で飲酒運転のトラックに跳ねられて亡くなった葵は、塾の帰り道だった。
そうかそういうことか。何で高一からで無く中三と言う微妙な時期にタイムリープしてきたのか、リリスが何でこの時間を選んだのか多分わかったぞ。
──葵を塾に通わせてはいけない。
これが俺の答えだ。中二の途中までは、時折、俺は葵の勉強を見てやってたが、タイムリープ前の中三は殆ど学校行ってなかったからな。
中三では葵の勉強を見てやることはできて無い。本当にそれが理由かは分からないが、授業以外で勉強を教わる相手も無く行き着いた先が塾なのだとしたら、俺は葵の通塾を阻止するのが得策な筈だ。
もう二度と葵を事故なんかで殺させたりはしない。
「東葉閣高校ね。耕平君がこれからちゃんと学校に来たとして、加えて耕平君のテストの点数なら、もっと上の学校を目指せると思うよ」
東洋閣高校は中の上ぐらいの偏差値の学校だ。タイムリープ前は出席日数の関係で、そこが限界だったが、テストは学年で一桁の順位の俺が出席日数の問題が無くなれば、もう一つ二つ上の高校も目指せるだろう。
「いえ、ワケあって、そこじゃないとダメなんです。あの高校で俺は学校生活を送りたいんです」
「そうか、決めるのは耕平君自身だ。進路相談にも少し早いしね。よし話は終わりだ。もう帰っていいぞ」
「失礼しました。ありがとうございます」
有Tに軽く頭を下げ、俺は職員室を後にする。
そういえば、職員室と出席日数で思い出したが、全ての授業が終わった放課後17時に俺がプリントだけ取りに職員室行ったら、その日は出席扱いになって驚いた経験がある。授業に出なくても学校に来さえすれば出席扱いになるらしい。まあ、どうでもいいか。
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