第104話 ラーメンを食べに行こう4
わいわいと話をしていると、早々に松爺が何かを持って現れる。
「サービスの野菜炒めじゃ、大盛りにしといたぞ」
うお、マジか!
丁度、野菜も食べたかったんだよな。
「松爺、ありがとう! 正直、頼むか悩んでたんだ」
「「ありがとうございます!」」
「いつもすいません。梅松さん」
松爺は喜ぶ俺たちを見て、満足そうに微笑んで厨房に戻っていった。
野菜炒めを取り分け、いただきますをし、野菜炒めを四人で野菜炒めを食べるが、これがやっぱり美味い! 葵と海崎はどうかな? と、視線を向けると。
「あ、美味しい♪ 野菜がこんなに美味しい何て」
「何かしらこの醤油? 凄い香りがイイわ」
「目の付け所がいいな。海崎、それはラーメンのタレを使ってるんだ。唯一無二だぜ。ここの野菜炒めは」
「なるほど。ラーメン屋さんならではってことね。あ、いえ、正確にはラーメン屋さんじゃなくて、食堂だったわね。どちらにしろ好きな味だわ。もう少し貰ってもいいかしら?」
「おう、勿論だ。松爺の奢りだから格好は付かないが、どんどん食べてくれ」
取り箸用に使っていた割り箸で俺は海崎に野菜炒めを盛る。
「私もおかわりいーい? あ、でも、私がおかわりしちゃうと、おばさんと耕平がおかわりできなくなっちゃうか」
野菜炒めは四人で取り分け、海崎がおかわりをし、残りはおかわり一人分と言う所だ。
それに気づいた葵は遠慮気味だ。
「いや、遠慮せずに食えよ。俺も母さんは毎週来てるしな。いつでも……まあ食える。今日は葵も海崎も言わばゲストなんだからよ」
……いつでもってワケにはいかないんだよな。ここの飯は松爺が居なくなってしまったら、もう二度と食べられないんだ。長くても、後10年て所か。
タイムリープ前の松爺の寿命は確か俺が二十歳まで。そうなると後5年だ。俺の忠告を聞いてくれてもっと長生きしてくれることを心から祈るが、それでも店をやれるのは後10年が限界だろう。
10年間、毎日食べに来たとしても3650杯、定休日もあるから、実際はもっと少ないだろう。俺は後どれだけ、ここの食事を食べれるんだろうな。
噛み締めて食べよう。一度は失くしてしまった大切な思い出の味を。
「そっか、じゃあ、おかわりお願いします♪」
ん。と、俺は葵の空になったお皿に残りの野菜炒めを盛る。最後なので残った醤油ダレも盛った野菜炒めにかける。これが美味いんだよなー。
「ありがとう。何だか、至れる尽くせりだね」
「至れり尽くせりな」
「そ、そうそれ。至れり尽くせり!」
ちょっとお馬鹿な葵に俺は苦笑いだ。
海崎も母さんまでもクスクスと笑っていた。
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