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31.取り巻きイケメンとお揃い(アルベルト視点)


続きは月曜日掲載予定です。


結末までお話は決まっているのですが、筆が遅いのでブックマークしておいていただければ…と思います。最後までがんばります!




 「これからご紹介するお品物ですが、日の光の眩しさを軽減してくれる色付き眼鏡と肌を日光から守ってくれる婦人用のロンググローブ、それとストローハットの新作です。ロンググローブ以外は紳士用と婦人用がございます」


 商品の準備を待つ間にハサムが提案予定の品について概要を教えてくれていると、コンコンと扉を叩く音がして先程の男性店員が沢山の色付き眼鏡を柔らかそうなトレイにいれて運んできてくれた。


「こちらが太陽の国バロット公国から取り寄せた色つき眼鏡です。南国の島国ですから、特に日差しが強い時期の日中は、王族から街娘まで老若男女、誰でも外出時に身につけているものだとか。こちらの列に並んでいますのが、バロット公国の特に若い王侯貴族の紳士に人気のデザインのものです」


 バロット公国といえば大陸の北に位置する我が国からは遠く、大陸を南下したところにある常夏の小さな島国だ。周辺諸国からの観光業を中心に、フルーツや明度の高い赤や黄色といったビビットカラーで織られた織物工芸の品が特産として有名だと資料で読んだ。しかし、時期によって色つき眼鏡をかける風習があるとは初めて聞いた。最近同盟を結んだばかりの遠い国だというのに、既に目新しい品の仕入ルートを得ているとはさすがトラス家だと舌を巻く。


 ハサムが手で指し示した列は、太めの銀のつるに濃いグレーや茶色のレンズが嵌め込まれたものだった。通常の眼鏡よりもガラス面が大きいことに驚いた。よく見るとつるには細かく貝殻の模様が彫り込まれ、所々に螺鈿細工まで施されており、バロット公国の技術の高さが伺える名品だった。ハサムに勧められるまま、カラメル色のレンズのものを試着してみると、すかさずハサムが机の上のスタンドミラーをこちらへ傾ける。つい鏡に写された自分を確認し、リリーの前で不恰好になっていないかと気になってしまったところでハサムから声がかかる。


「御髪のお色とご一緒で、とてもお似合いでいらしゃいます。見え方はいかがでしょうか」


確かに視界がモノトーンになったため、暗がりや部屋の奥の方のような遠いところは少し見えにくい。部屋のなかを見回しながら、見えにくさに少し目を眇めると横からリリーに声をかけられる。


「我が国の建物内ですと光量が足りなくて、見えにくいようなんです。どうぞ窓辺でもう一度、今度は外をご覧になってみてくださいませ。眩しさが軽減されるのを感じていただけるかと思います」


 一度室内をむいたまま色付き眼鏡を外すと、こちらへとリリーに窓辺へ呼ばれて色付き眼鏡を手にしたまま立ち上がる。窓から差し込む初夏の眩しい日の光を背に立つリリーの表情は陰になりあまり見えない。そして促されるまま、再び眼鏡をかけてみると今度は新商品に心躍らせるリリーの表情がはっきりと見える。確かに、刺すような日の光が軽減されて外の景色も目を眇めることなくみることができた。


「これは便利ですね。デザインもすっきりとしていて私好みです。ぜひ、このまま本日かけたまま出かけたいのですが、それは可能でしょうか」


「ありがとうございます。もちろんご用意させていただきます。10分ほどズレないよう、お顔とフィッティングさせていただくお時間だけ頂戴致します」


 お色味はすべてそちらでよろしいですかと確認されたが、凝ったフレームはもちろん、カラメル色のレンズがリリーの髪色を連想させて気に入ってしまったので、今かけているものでと伝える。


 にっこりと微笑んだハサムが答えると、再び彼女の後ろから先ほどの男性店員が音もなく近づいてきて、調整をしてくれる。リリーはあらかじめ検討をつけていたようで、銀色の縁に翠のレンズのはいった色付き眼鏡に勧められた日除けグッズをすべて購入する。そして彼女も同じように今度はハサムがリリーの色つき眼鏡の調整を始めるが、ふとハサムが商売気のない可愛らしい雰囲気でクスクスと笑だす。



「ふふふ。急に申し訳ありません。ちょっと思い出したことがありましたの。実はバロット公国の庶民の間では、若い恋人同士でお揃いの色付き眼鏡をかけるのがステータスなんだそうですよ。レンズやつるの色を互いの髪や瞳の色にして送り合うんだとか。是非スクラップブックに掲載していただければ、我が国の恋人達の間でも流行間違いなしです。どうぞよろしくお願い致します。」


 その言葉を受け、とっさにお互いの選んだ色味を確認しあって不自然に目を逸らす二人。その顔が互いに真っ赤に染まってただなんて、その時の僕は気づかなかった。



読んでくださってありがとうございました!

是非また読みにいらしてください。



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