29.取巻き令嬢は混乱する
体調不良でお休みしてしまって申し訳ありませんでした!
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「思ったよりも日差しが強いですね。僕は気になりませんが、女性には酷ではないですか?」
噴水広場を抜けて今回の目的地へ向かう途中、アルベルト様が気をつかってくれる。遠回しに別のルートに変えないかと聞いてくれているようだ。レオ兄様と出かける時はこんな気遣いは決してしてもらえない。さすが完璧なアルベルト様。私がお転婆だったことを知っているはずなのに、すんなりと女性扱いしてくれるのがくすぐったい。けど、やっぱり昔のような距離に私たちはいないのだ、と突きつけられた気がして、少し寂しくなってしっただなんて気づかれる訳にはいかない。
「お気遣いありがとうございます。私は気にしないのですが、デート特集にこういった日差しが強い日の対策を載せるのも良いかもしれません。少し予定とは違ってしまうのですが、弟の経営する帽子屋へ寄っても良いでしょうか。」
日除け対策グッズを急拵えだが、手に入れるなら弟の帽子屋が一番だ。昨年に引き続き今年の夏もストローハットに力を入れているようだし、宣伝を差し込めるようなら差し込んであげようという姉心なのか商売人の血が騒ぐだけなのか我ながら判断がつかないのだからおかしい。
「僕もジャスパーがプロデュースしたお店を一度見てみたかったので楽しみです。トラス嬢もよくお手伝いされているんですか。」
私の弟であるジャスパーは父とよくアルベルト様のお宅へ商談のため訪問しているからか、私と違って下の名前で呼ばれているようだ。とても悔しいが仕方ない。11歳の弟にまでやきもちを焼くなんてさすがに見境が無さすぎると反省する。
「実はあまり手伝えていないんです。父にあまり手伝うなと釘を刺されていて。たまにアドバイスを求められたら顧客の一意見ということで答えたり、あとはただ常連として通ったりというだけですね。サフィール様が来てくださったなんて聞いたら、あの子たら飛びあがって喜びますわ。」
「ふふふ。なんだっか不思議と想像できます。ジャスパーは僕と木登りして遊んでいた頃のトラス嬢に似ていますよね。聡明で商才もあるのに、とってもやんちゃな所とか。」
揶揄っているというよりも本当に懐かしそうに優しく笑うアルベルト様に釘付けになってしまう。あの時一緒に遊んだ思い出は彼にとっても大切な思い出だと言ってもらえているようでとても嬉しい。けど、同時にとても恥ずかしい。
「……っ意地悪をおっしゃらないで下さい。あとその木登りのお話はどうか内密に。ジャスパーにも言わないで下さい!! お願いします!! 」
顔が赤くなってしまったと鏡を見なくても分かるので、ぷいっと外方を見て顔を背けるのは許していただきたい。それでも隣から聞こえるくすくす笑いが途絶えることはなくて。もういい加減にしてくださいと振り返りろうとして、石畳につまづいてよろめいてしまう。
あっと思った時にはアルベルト様が私の腕をがしっと力強く掴んで彼の側へとぐっと抱き寄せてくれた。
ち、近い!!
と思ったのも束の間。すぐにぱっと腕を離して先程と同じ距離に戻ってくれたアルベルト様はもう笑っていなくて、真剣な表情で足を捻ったりしていないですかと心配してくれる。その真剣な顔や私の腕を掴んでぐっと抱き寄せてくれた腕の力強さや、近づいて匂った香水の匂い。その全部からアルベルト様の男性としての強い色気が伝わってきてドギマギしてしまう。
「だ、だいじょうぶです!!ありがとうございます!あ、足も捻ってませんよ。ほら、アルベルト様が助けてくださったので全然なんともありませんわ。」
とにかくお礼と元気だと伝えなければと煮立った頭でなんとか答えてその場でスキップもしてみせる。自分でもしどろもどろ過ぎると思うが、これが今の精一杯だ。ちなみにこの間、一切アルベルト様の顔は見れず、ブーツのつま先ばかり見ていた。
すっと私の視界にアルベルト様の腕が差し出される。
この腕はどういった意味でしょう?と顔をあげれば困った顔で微笑むアルベルト様がこちらを優しい表情で見つめている。
「また転んでしまっては大変なので、よかったら僕の手をとっていただけますか。」
戸惑う私を他所に、ほらほら次の予定が押してますからといって有無を言わさず腕を取らせて歩き出してしまうアルベルト様。先程よりも近づいたせいで、アルベルト様の香水がまたふわりと香ってきて頭がぼーっとしてしまう。これは夢なのかもしれないと信じられない気持ちで歩く私に、アルベルト様がそういえばと話始める。
「それにしても久しぶりにアルベルトと呼んでくれましたね。」
嬉しいですと笑いかけてくれるが、私は、しまった!!とまたもや頭が真っ白になる。
「ふふふ。よかったら僕もまたリリーと呼んでも良いですか。今日はせっかくのデートですし。」
照れながらくすぐったそうに好きな人に名前を呼ばれて、断れる人なんているだろうか。いや、いない。真っ白になった頭をなんとかぶんぶんと縦に振るのが精一杯だった私は、アルベルト様の顔も真っ赤になっていたなんて気付きもしなかったのだった。
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