27.取り巻き令嬢の休日
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五月晴れの日曜日。
王都の中心にある噴水広場の前に私はいた。アルベルト様が近づいてきたらどんな顔をすれば良いすら分からない。だから自然と視線は下がっていってしまう。そしてそのまま、本日の自分の格好に不手際がないかと探しはじめてしまうのだった。
ショコラ色のプリーツスカートに皺は寄っていないか、その裾先は深紅のショートブーツに巻き込まれていないか、ブーツのつま先に汚れは付いていないか……。ハーフアップにして下ろした毛先を撫でつけながら、そわそわとアルベルト様の到着を待つ。
そんなあからさまに落ち着かない私だが、周りも同じ様にデート相手を待つ若者で溢れているので目立つなんてことは無い。なにせこの"女神たちの噴水広場"は言わずと知れた待ち合わせスポットなのだ。加えて此処には"恋人達への祝福"というタイトルのついた銅像が噴水の中央にあることから、デート成功の御利益があるだなんて、まことしやかに囁かれている有難い場所でもある。今日のこの良いお天気も女神様からの祝福かもしれないと思うと、ありがとうございますと思わず拝んでしう自分がいた。
この女神様のお話も一応デート特集で取り上げた方が良いかしら……?
自分の身嗜みをいじるのも忘れて、本日の本来の目的であるスクラップブックの特集記事へと思考が流れる。後で男性代表の意見としてアルベルト様にご存知か聞いてみようかしら、と美しい女神のブロンズを眺めながら考えていると背後からお待たせしましたと声をかけられる。
「トラス嬢、お待たせしてしまって申し訳ありません。随分待たせてしまったでしょうか……?」
顔がにやけない様にお澄まし顔を貼り付けながら、覚悟して振り返るといつもよりラフだが気品溢れる格好のアルベルト様が困り顔で立っていた。
……今すぐ絵描きを呼んできて、この美しい人との思い出としてこの場面を切り取って欲しい……。そう思うくらいには、"私とのデートの待ち合わせにやって来たアルベルト様"のインパクトは凄まじかった。しかし伯爵令嬢としてあるべき応対をせねばアルベルト様に失礼だからと、思わず緩んでしまった表情筋に喝をいれて令嬢らしく微笑む。
「本当につい先程着いたばかりですので、気になさらないで下さい。お陰様でちょうど、女神様に本日のお天気のお礼を言うことができましたもの。」
ダメだわ……。デートが嬉しすぎてすぐに顔がゆるゆるになってしまう。ゆるゆるの笑顔を向けるとアルベルト様が眩しそうな顔をされたから、噴水が陽の光を反射してしまったのだろう。きっとそのおかげで私の締りのない顔を見えなかったということにしよう。そうしよう。
「……それなら僕もお礼を言わないといけませんね。楽しみにしていた予定なので晴れて本当に嬉しいです。」
だなんて屈託のない笑顔を見せてくれるアルベルト様にドキドキが止まらない。ただ待ち合わせに成功しただけなのに、私は今日生きて家に帰ることができるのか不安になってしまう。自分の心を落ち着かせる為にも、ここは一度事務的な話に切り替えてしまおう。
「……アルベルト様は女神様の御利益のお話をご存知でいらっしゃったのですか?男性はあまり詳しく無い方が多いと勝手に思っておりました。」
なんて無理くりの私の質問に対してアルベルト様はキョトンとされて口を開く。
「本当に何か謂れのある銅像なんですね。恥ずかしながら、知りませんでした。どんな謂れか教えていただけますか?」
どうやらご存知では無かったらしい。どうやらアルベルト様は私が気をつかわせないようにお愛想でお祈りの話をしたのだと思ったようだ。そのまま請われるまま、ブロンズの名前が"恋人達への祝福"であることからデート成功のゲン担ぎになっているのだと説明する。ふんふんと真面目に聞いてくれたアルベルト様に、こういった話が特集に載っていたら男性的にはどう思うかと聞いてみる。
「そうですね。もしその話をあらかじめ知っていれば、初めからトラス嬢と一緒に女神様にお礼を言えたと思うのでスクラップブックに載っていたら嬉しいと思います。それに今日のデートの思い出にもなりますしね。」
めっちゃ優しい笑顔でデートって言った!?
……女神様…お力添えありがとうございます……!!今日はこれから何卒よろしくお願い致します!!!!
お祈りというか願掛けのような勢いで拝み倒した私はやっぱり、伯爵令嬢に向いていないのかもしれない。
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