24.護衛騎士と騎士見習い(マーク視点)
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「トラス嬢と先輩は本当に何にもないんですよね?……頬っぺたつねったりするから他の騎士科の奴らは勘違いしてますよ?」
座談会の翌日の昼休み。昨日のお礼だと先輩に昼飯へ連れ出された俺は、もう一度大切なことを確認する。鬱陶しそうに眉間に皺を寄せられたって俺は怯みませんから!
「昨日もそういっただろう?お前だって妹がやかましければ頬くらいつねるだろう?」
くだらないと先輩は言い捨てるが、"妹みたいな親戚"と本当の妹の話を同列にしないでほしい。そもそもこの人達は、自分たちが異性からの人気が高いということをもっと自覚して欲しい。
しかも二人とも年頃なのに浮いた話が全くないのも噂を煽る要因のひとつになっている。加えて先輩に至っては寄ってくる女性たちに対して、ギリギリ失礼にならないけど、かなり素っ気ない態度をとることで有名なのだ。そのせいでトラス嬢の世話を甲斐甲斐しく焼いている姿が、惚れた女に尽くしている姿にしか見えない。
「本当気をつけた方が良いですよ?お二人ともモテるのに婚約者がいないし。先輩がやたら構うせいで、トラス嬢の婚約者は本当は先輩で内定しているとか噂になってるんですよ?」
そうなのだ。問題はトラス嬢にもある。栗色の柔らかそうな髪をくるりと巻き、瑪瑙のように色白な彼女は、いつも王太子の婚約者殿の隣で優しく儚げに微笑んでいる。その姿がまさに慎ましい淑女そのものだと男性から人気なのだ。今ではジュリア嬢と並んで社交界の高嶺の華として有名だが、幼い頃から聡明で気さくな彼女はその高い社交性も相まって交友関係が広く、男性だけでなく女性からも注目を浴びる人気者なのだった。
俺も昨日はじめて本人に会って驚いた。どんな相手とも心地よい距離を保ちつつ、あっという間に相手の懐に入りこんでしまう人たらしっぷりを間近でみて、こりゃ人気にもなると納得できたし、先輩が過保護なのも頷けた。高嶺の華なのに気さくな彼女のもつ距離間に、勘違い野郎どもがホイホイ釣れそうなのだから。
「まあ。リリーが結婚に困ることがあれば俺が貰ってやろうとは思ってはいる。」
「は!?え!?やっぱり好きなんですか?」
せっかく納得しかけていた俺にとんでもない先輩の台詞が聞こえて思わず大きな声がでてしまった。
「違う。そうじゃないと何回言わせるんだ……。俺はそもそも誰とも結婚する気がないし、あいつは結婚して家に収まるような奴でもない。それなら俺と結婚すれば、実家の手伝いができてお互いの世間体的にありだろうって話だ。」
なんだよ。そんな色気のない話かよと思いつつも、安心してしてしまってがくっと肩を落とす。問題発言を聞いた時、昨日うっかり励ましてしまった色男の落ち込んだ顔が脳裏を過ったせいだろう。
「……先輩?本当にそういう事言うの控えてくださいね?俺は分かってますけど、他の人が聞いたらやっぱりトラス嬢と恋人同士なんだって勘違いされますからね?特にサフィール様の前とかやめてあげてくださいね?」
先輩はサフィール様の名前が出た途端にまたもや眉間に皺を寄せる。まあ、それだけ可愛がってる"妹"の周りをあんな色男がフラフラしていたら良い気持ちはしないだろう。
「それなんだが、マーク。俺が遠征に行ってる間、リリーが困っている様子があれば助けてやってくれないか?サフィール殿は俺とリリーにだけやたらつけっんどんなんだよ。」
「先輩に対してつっけんどんなのは分かりますけど、トラス嬢にもつっけんどんなんですか?昨日見た限りでは噂通りの完璧な貴公子様でしたけど…?」
それにトラス嬢の"ただのお友だち"発言にひどく落ち込んでいたところをみるに、サフィール様は先輩が警戒している"妹に近づく悪い虫"で間違いないだろう。御伽噺から飛び出してきたかのような美しい色男だが、こちらも聡明で優しい貴公子と社交界での女性人気はダントツだ。基本的には紳士で優しいが、言い寄ってくる女性に対しては、にこにこしながらも決して靡かず目が笑っていないところが腹黒っぽくて逆に良いとか良くないとか……。でも、トラス嬢との距離は可哀想だが"良いお友だち"という感じだったし、特につっけんどんという感じはしなかったけどな。
「サフィール殿は好きな子程いじめるっていうマセガキなんだよ。ったく。良い加減、リリーに怖がられてるんだって気づいて欲しいところだ。」
……鈍そうだと思っていたけど、先輩ってばちゃんとサフィール様の気持ちを分かったうえでいじめてる訳ね。本当に過保護ったらない。そして完全無欠だと思ってたサフィール殿の昨日の珍しい様子に合点がいく。彼は見た目に似合わず恋に不器用なタイプなのか、とまたもや応援したい気持ちが芽生えてくる。
「分かりました。トラス嬢に困ったことがあったら僕に相談するようにお話しておいて下さいね。騎士科の僕が普通科の彼女のところを急にウロチョロする訳にも行きませんから。」
「悪いな、助かる。サフィール殿があんまりひどかったら、俺が戻るまで決して会うなとリリーにも言ってある。お前のところに相談にきた時は、同じようにサフィール殿と距離を置くように言ってやってくれ。お前に悪役じみたことをやらせてすまないな。帰ってきたら組み手でも何でも相手するから。」
……先輩の目が本気だ。親友の弟とはいえ、ただの後輩なんだからもっと顎で使って良いのに。この人の不器用だけど誠実なところは本当に格好良い。さすが騎士科生徒の憧れだ。……まぁ確かに昔、俺も妹に同じような理由で意地悪してくる奴をコテンパンにしたことがあったから気持ちは分からないでもない。先輩のために憎まれ役を買って出るか、とため息をつく。でも後で、昨日の可哀想な色男にこっそり忠告をしに行ってやるかとも思うのだった。
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