22.騎士科見習い達の噂話
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レオ兄様の騎士科での人気っぷりに若干引きつつ、ビリー様にも男性向けスクラップブックの素案をまとめた資料を読んでもらい忌憚ないご意見をお願いする。僕なんかの意見でいいんですか?といいながらも、真面目に資料を読んでくれた。
「すごく面白そうですね!ファッションに関する流行とかは正直、あまり分からないので個人的には惹かれません。ただ、デートに着ていく服とかはやっぱり参考にしたいですね。でも、そのためだけに購入するかというと僕は買わないかな。」
となかなか厳しいご意見をくれた。さすが小柄でありながら騎士科同期内の訓練で1位をとる人だ。こちらの欲しい意見を的確にくれる。何が載っていたら読みたいか、今ここにあるもので読んでもいいもんはあるか聞いてみる。
「そうですね。この中なら、やっぱりデート特集はよみたいですけど、これを目玉として押し出されてしまうと恥ずかしくて買いづらいですね。ペイル様のトレーニング内容とか載っていたら読みたいです!」
瞳をキラキラさせてレオ兄様をみつめるビリー様はまるで犬がしっぽをぶんぶん振っているような興奮ぶりだ。レオ兄様も悪い気がしなのだろう、お前は俺と違って小柄だから瞬発力や俊敏生を活かせるトレーニングを中心にした方がいいだろう等と真面目にアドバイスを始めている。それをやはり嬉しそうにありがとうございます、勉強になりますと真剣に聞き出すビリー様。その横で私は、彼の言うとおりトレーニング等の情報を扱うのもいいかもしれないとメモに残す。やはり実際の読者層に話を聞くと思ってもみない話がでてきて面白い。
残りの3人も同様に男性向けスクラップブックの資料を読んでもらって意見を聞いてみたが、ほとんどがマーク様やビリー様と同じ様な意見だった。総括すると、彼らにとっては娯楽本というより実用書として求められている様だということが分かったところで、本日の座談会は無事に御開きとなった。
しかしマーク様を除いた騎士科の生徒たちは憧れのレオ兄様ともう少しだけお話をしたいと、入口で見送りに立っていたレオ兄様を周りを取り囲んで質問攻めにしていた。それをこっそり聞きながら、アルベルト様と私は今日の成果を共有していた。彼等には協力してもらったこともあるし、どういった事をレオ兄様に質問したいのかも含めて今後の参考にさせてもらうため、時間の許す限りレオ兄様には頑張ってもらおうとアルベルト様と小声で話合う。
「それにしてもペイル殿の人気は凄まじいですね。男性に憧れられる男性とは羨ましいです。」
珍しく嫌味ではなくレオ兄様を褒めるアルベルト様に驚きつつも、私も驚いたんですよと相槌をうつ。
「本当に驚きです。どこでそんな話になったのか分からないのですが、今日のこの座談会への参加権をかけて午後の訓練で総当たり戦を各学年でされたそうですよ。なので、レオ兄様のお知り合いで個人的に招待されていたマーク様以外は、それに勝ち残った方々なんだとか。」
「ああ。それで皆さんどこかしらお怪我をされている方が多いんですね。」
納得ですとうなづくアルベルト様だが、その顔は私と同様引き攣っている。私もレオ兄様の人気がありすぎて怖すぎだと思いますと心の中で一緒にもう一度引いておく。すると、マーク様がそろそろお暇しますとが別れの挨拶をしに来てくれていた。
「今日は貴重なご意見をくださってありがとうございました。もしよろしかったら、是非またお話しさせてくださいませ。」
「こちらこそ楽しい時間をありがとうございました。是非次も誘ってください。……それと、今回の座談会参加権が人気だったのは、何も先輩の人気だけじゃないんですよ?」
くすくすと笑いながら教えてくれるマーク様の話に少し安心しながら、やはりレオ兄様の言う通り"訓練後のタダ飯"効果だろうかとあたりをつけながら、そうなんですかと笑い返す。
「はい。先輩と話したいのはもちろんなんですけど、先輩の"お姫様"を見てみたいって人気だったんです。」
「……お姫様ですか?」
「ふふふ。先輩が従姉妹のトラス嬢を心底大切にしているという話は騎士科では有名なんです。どんなに仲良くなっても決して紹介してくれなかったり、従姉妹のために得意じゃない座談会なんて開いてみたり……。どうやらご本人達はご存知ない様ですね。」
そんな話は初耳だ。
確かに女性との交流が少ない騎士科生徒たちの間では、どうやら間違った認識でレオ兄様と私の関係が伝わっている様だ。ここはレオ兄様のためにもきちんと否定しておかなければと口を開いたところで隣から冷気を感じる。
「へぇ……興味深いお話しですね。私にも詳しく教えていただけませんか?」
予想通りにっこりと嘘くさい笑顔を貼り付けたアルベルト様がいた。……いやなんで!?
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