提案
「結月!?どうして。」
俺は驚きが隠せない。
「どうしてもこうしてもありませんよ!お兄ちゃんが竜騎さんが悩んでたって言ったから心配できたんですよ!」
本当に最近は結月のことで驚いてばかりだ。
「とりあえず、家入るか、?」
俺は結月を家の中に入れ、リビングまで案内した。
「何飲みたい?」
俺は結月に尋ねる。
「い、いいですよ。申し訳ないですし。」
結月は少しあたふたしながら断ってきたが俺は申し訳ないと返すとお茶でよいと返ってきたので自分の分も合わせて2つの湯のみを持ってリビングのテーブルまでいく。
「それで、竜騎さんは何で悩んでいるんですか?」
結月に質問をされて俺は少し返す言葉を悩む。
「私には言えないんですか?」
結月は俺の事をじーっと見ながら俺からの答えを待つ。
「そうだな。俺は変わりたいんだ。こんな弱い自分から変わりたいんだよ。中3の時振られてから異性が怖いんだよ。1人もし傷つけてしまったら、周り全員からの目線や、対応が変わる。俺はそれが怖いんだ。」
「じゃあ、そのための努力をしたんですか?私が言えるような事じゃないですけど。私、りょうせいさんに感謝してます。少し強い言葉遣いをしてしまう時もありますけど、りょうせいさんの件以降ずっと自分が悪いからって謝ってばっかでしたけど、それでも寄り添って色んな話を聞いてくれたから、最近学校頑張って行ってるんですよ。保健室ですけど。」
俺は少し、動揺していた。
「大丈夫、なのか?」
俺はとても心配していた。彼女自身特定以外の男性と会うと過呼吸になってしまうからだ。
「最近は症状も軽くなってきました。これもまた竜騎さんのおかげです。ありがとうございます。」
「俺はほんとに、何もしてないよ。強いね、結月は。」
「竜騎さんが背中押してくれたからですよ。だから次は私が助ける番です。借りを返さなきゃですから。」
「そうだな。俺も、頑張るよ。」
「じゃあ週末、私とここに行ってもらってもいいですか?」
彼女はそう言うと手元に持っているスマホの画面を指さした。
「ここのショッピングモールに買いたいものがあるんですけど、着いてきてくれませんか?」
「いいけど、大丈夫なのか?」
やはり彼女の症状のことを心配してしまう。
「大丈夫ですよ。それと!自分のことを1番に大切にしてください。竜騎さんの症状を治すために行くんですから。」
「でも、俺の症状とあんまり関係ない気が…」
「いいんですよとりあえずなんでもやってみなきゃ!なんにも起きなかったらその後です。」
考えてるんだか考えてないんだから。
「お茶ごちそうさまでした。じゃあ週末ショッピングモールの入口に11時くらいに集合ということでお願いしますね。」
彼女はそう言うと椅子から立ち上がり、玄関へと向かう。
「おい、まぁいいけどさぁ。」
「じゃあまた週末に、おじゃましました。」
彼女は玄関の扉を開け、外に出た。
「はぁ、なんか忙しくなりそうだな。」
俺は自分で調べて開いたショッピングモールのホームページを見て軽くため息をついた。
「女子って何が好きなんだ…」
ここでまた一つ課題が生まれるのだった。