表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

七、決意


 新王は闇雲に叫んでいた。

「何をしておるか!矢を射て、射てぃ!」

 弓兵に命じるが、彼等はひとめきあう橋の中、弓を番えることはかなわない。

 王の目の前で起こっている信じがたいことは、わずかばかりの男達に、屈強な邪馬の兵が崩されているという現実だった。

(我は王ぞ!)

 内なる叫びとは裏腹に、軍勢は橋の手前まで押し込まれた。


 その時、神域の門が開いた。

 彌眞を先頭にして数十人の巫女達が現れた。

 巫女達に囲まれ壱与と十六夜もいる。

 新王の唇が歪んだ。

(壱与!ふふふ、ここから逃げるというのか・・・こいつらの最後のあがきという訳か)

 狗呼の大音声が響く。

「よいか、邪馬の凋落の根源、巫女が出てきた。今こそ邪馬の力を見せよ。悪しき過去の亡霊を振り払うのだ!」

 新王の檄により、浮足立っていた兵達に、落ち着きと統率が戻り、難升米達を押し込みはじめた。

「さすがにクニを奪った男だけのことはある」

 互いの背をつけて戦う夜邪狗は相棒に言った。

「邪馬の兵もさすがといったところか、もはやこれまでか・・・」

 難升米は次々と襲いかかる兵士を、大鉾で次々と薙ぎ払いながら、彼等の瞳に力が宿っているのを感じ、自分達の命運が尽き欠けているのを悟った。

 老兵達は次々と倒れていく。

(仲間と共に一緒に死ぬのも悪くない!)

 一瞬、難升米は思った。

 少し感傷的になった自分に苦笑いをする。

(が、しかし邪馬台国に希望の光を灯すまでは!)

 難升米、夜邪狗は決死の覚悟で死地に挑む。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ