五十一話 「ねえ、ラフティーちゃん!? ねえ!!??」
クラス対抗戦の講評です。
是非、次話からお読みください。
十五組対八組の対決は、十五組の完封で終わった。
先程の対抗戦の講評がされる。
「今回も何が起きたか分かりませんね! 前回みたいに早過ぎて追えなかったってわけでは無いのですが、煙が凄くてカメラに何も映りません!! 相変わらず実況泣かせです!!!」
「落ち着け、本当に泣くな。それに学園の最新式カメラなら煙があろうが映る」
「そう言えばそうでした! では映像部の方、最初からお願いします!」
「なんだこいつ怖」
メインモニターに十五組と八組の映像が二画面に分けられて出て来る。
「最初は十四組戦の時のように相手の位置を探る十五組と、背の高い木が集まっている所に移動して木に果実を実らせて収穫する八組と言った感じですね!」
「本当はここで私の可愛い姪が活躍出来るはずだったんだ……。召喚獣で敵の位置を探るはずだったのに……! クソ、教頭共め! 何が公平性を期すため~だ!」
「え、あの身内贔屓解説反対です! 実況のためなら、生徒指導も恐れませんよ私は!」
「お、すまん。つい教頭への殺意が芽生えちまった。十五組、八組共に前回と同じ初動といた所だな。ただ、八組はここで回収している果実に爆発する物だけでなく、煙を放出する果実が新しく加わっている。新しい道具を生み出して戦術に彩りを加えるのはいいな」
「そうですね! ですが、実況泣かせなのはいただけません!」
「私情を混ぜるなよ……」
索敵や、飛び道具の補充を終え各々の映像に動きが出る。
「二手に分かれる十五組と、八組は……二、一、一と別れていますね! これはどういった事でしょうか!」
「十五組は空中組と地上組に、八組は空中待機、地上戦闘組、飛び道具の補充と非戦闘員の避難といった所だな」
「成程、各々の得意不得意を踏まえた動きですね! 後ろで仲間のサポートをするというのも良いですよね!」
映像が切り替わり、十五組と八組の地上戦が始まる。
十五組はアズモとブラリが背中合わせで、八組の奇襲に備える。
八組はテウがアズモとブラリに攻撃しては下がるのを繰り返し、もう一人は戦闘が行われている場所を中心に音を出して動き回り二人の集中を削いでいった。
「八組は賢いな……自分達の戦い方を心得ている」
「それはどういう事でしょうか、ディスティア先生!」
「まともにやったらアズモ、ブラリの二人に勝てないって事を理解している、まずそれが凄い。この歳だと、自分相手の力量を測り切れず突っ込んで行く子が多い。が、八組にはそれがない」
「なるほど! ブラリさんの戦闘シーンはまだ確認出来ていないのでどのくらい強いのかが未知数ですが、アズモさんは前回の対抗戦の時に一瞬で三人落とした実力者ですもんね! 恐らく、今の所一年生で一番の実力者かもしれません!」
「あぁ。その上八組は一人を攪乱のために使うっていう徹底ぶりだ。あれじゃ、位置が分からない」
「八組のリーダーは確かテウさんでしたね! 前回は十五組の真似っこといった感じの動きでしたが、今回相手が十五組! 相当な対策を練ってきたのでしょうね!」
「次のシーンだ。ここからはスローで流せ」
ディスティアの言いつけ通りに映像がスローになる。
木の向こうから、果実を投げる八組の二人が映る。
「あ、これが実況泣かせの煙の元ですね!」
「ここが件の所だな。結果的にここが今回の試合の分かれ道になった。ここのアズモをよく見てみろ」
「身体が……というか足に力を込めたような?」
「そうだ。アズモは確かに避けようとしていた。だが、音量を上げてブラリに近づけてみろ」
映像がブラリに近づく。
ブラリは笑っていた。
『壊そう』
『分かった』
短い会話が行われ、投げられた果実を殴る。
殴られた果実は爆ぜ、煙が溢れ出した。
「ブラリさんとアズモさんは煙が出て来る事が分かっていた!? いやですが、前回の対抗戦で煙の果実は見せていなかったはずです! 爆発する果実だったらここで二人は脱落していましたよ!」
「賭けたんだろうな。ここで爆発させたら果実を投げた八組の二人も落ちる。ここで四人が落ちたら残ったメンバーはお互い苦しくなっただろう」
「土壇場でこの決断をするのは末恐ろしいですね! ですが、煙が充満すると、二人も辛くなるはずです! ここからどうするつもりなのでしょうか! あ、ここからは煙により映像が少し乱れます! ですが、見えない事はないので安心してください!」
八組の二人はアズモとブラリを中心に木を絶え間なく移動していく。
「これ所で八組の二人は周りが見えているのでしょうかね?」
「二人の動きを見るにテウの方は見えてそうだが、もう一人は見えていないな。明らかに動きが鈍くなっている。まぁ、攻めるのはテウだけみたいだし、これで問題無いんだろうな」
「だいぶ思い切った作戦だったんですね。……あ、八組の二人が止まりましたよ!」
「見ていろ、テウが仕掛けるぞ」
テウがアズモに迫る。
先程までのヒットアンドアウェイの時とは踏み込みが違う。
だが、テウはアズモに届かなかった。
ブラリがアズモの肩越しに腕を突き出し、テウの顔面を掴んだ。
「……っ!? 煙で見えなかった時こんな事が!? ブラリさんは後ろに目でもついているんですかね!?」
「本当恐ろしい奴だ。だが、この瞬間勝負は決まったな」
ブラリがテウを持ち直しながら、アズモに指示を出す。
アズモは木の裏からもう一人の生徒を逃がす事なく捕まえた。
二人は、捕まえた八組の二人を上空に勢いよく放る。
「煙の上にはフールさんですね! 煙から誰かが出て来るのに気付くと動き出しますが、これは……!」
「利用されたんだろうな、ブラリに。恐らくテウが煙から出て来るのを見たら爆撃するように言っていたんだろう」
「テウさんがそれに気付き叫びますが、その更に上でスタンバイしていたムニミィメムリさんが試験管を落とす! 何気に召喚魔法で風の下級精霊を呼んで、試験管の落下位置を操作していますね!」
「あぁ、優秀な生徒だよ。クソ、教頭共め! 召喚獣の使用も許可されていたらもっと面白いのが出せるのに!」
「ええーっと、試験管は見事フールさんに命中し爆発! フールさんの持っていた爆発する果実を巻き込こんで凄い爆発です! これには投げられた八組の生徒二人も巻き込まれ脱落!」
「最後の一人を見つけたラフティリさんが……え!? ムニミィメムリさんを空中で放して全速力で向かいます! 効率的ですが、これは!?」
「残っている奴を見つけた瞬間、ムニミーを持っていた事が頭から抜け落ちたんだろうな。えげつない姪だ」
「八組最後の一人は果実で応戦しようしますが、ラフティリさんが近づく事無く水ブレスで貫く! ここで試合終了ですね!」
「さて、では最後に総評をお願いします、ディスティア先生!」
「そうだな……八組は負けてしまったが見事な戦い方だった。地形、体躯、力量差を上手く活かしていた。試合を回していたのは八組だったと言っても良いだろう。だが、十五組がそれを超えた。相手の土俵に潜り込んで真っ向から挑み捻じ伏せた。持ち上げてぶん投げる、空中爆破は八組のやっていた事だ。それを利用していた。ブラリの策だろうが、あいつは本当に恐ろしい奴だ」
「なるほど、ありがとうございます! 今回は終始ブラリさんの手のひらの上って感じでしたもんね! さて、ここでクラス対抗戦は終わりになります! ありがとうございました!」
—————
「ねえ、ラフティーちゃん! ねえ、ラフティーちゃん!? ねえ!!??」
「むむむぇぇぇー……」
十五組の控室では、ムニミーがラフティリに抗議していた。
肩を思いきり揺すられるラフティリはムニミーのなすがままに揺れている。
珍しくラフティリは無抵抗でいた。
高所から落としたのは流石に悪いと思っているのだろうか。
と思ったら、ラフティリはムニミーの両手をガッと掴む。
「今日の戦歴ってどうなるのよ!? あの爆発って誰の成果に入るの! 投げた人!? それともムニミーの爆薬が決め手だったからやっぱりムニミーなの!? あたし、今回も一人しか倒してないわ!」
やっぱり全然気にしていなかったようだ。
ただ考え事をしていただけらしい。
「もおおおお!!!」
ムニミーが怒ってラフティリの両頬を引っ張る。
「ふひは、はへはいはほ!」
ムニミーは目出度くラフティリにライバル認定されたようだ。
「うんうん。今回も僕が評価されているね」
ブラリは今回もニヤニヤしていた。
「皆様、お疲れ様です」
控室にスフィラが入ってくる。
「ありがとう。スフィラの持ってきてくれた映像が役に立ったよ」
「従者として当然の事をしただけです。それに、煙の果実は調べられませんでしたし……」
スフィラは八組が今日新しく披露した煙を発する果実を調べられなかった事を気にしているようだ。
「それでも十分な働きだったよ。それに新技を今日初めて見られてワクワクしたしね」
「はい……」
「まあ、次回も頼むよ。そう言えばスフィラ一人なの? マニタリは?」
「マニタリさんでしたら、ラフティリさんがムニミーさんを落とした所で『やる事出来たから教室行ってくるね!』と残し行ってしまいました」
スフィラのその発言にラフティリの頬をムニムニしていたムニミーが固まる。
その後、凄い勢いで控室を出て行った。
「マニタリの馬鹿ああああああ!!!」
~教室~
マニタリ「悲しいけど約束は約束だもんね…」
マニタリに飛び蹴りするムニミー「間に合った」
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