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三十三話 君達の名前も書いといたから


 あ、君達の名前も書いといたから。

 ブラリがそんな無慈悲な事を言って、俺達の他に二人がクラス対抗戦対策会議に招集された。


 更に逃げられないように、ブラリは二人の机の元に従者を連れて椅子を持っていく。

 ラフティリも追随するように椅子を持って行った。


 二人は嫌な顔をすると思いきや、そこは一年生。

 楽しそうに机を動かして待っていた。


 というか、あの二人には見覚えがあるな……。

 エクセレが教室に襲来した時に逃げ遅れて教室の隅で震えていた二人だ。


 非常に気まずい。

 あの一件をどう思っているのだろうか、この二人は。


 ブラリとラフティリが俺の方を見ながら「はーやーくー」と机をバンバン叩き出した。

 俺も渋々椅子を運んで机を囲んだ。


「さて、皆集まったようだね。僕がこのグループのリーダーを務めさせていただくブラリだよ。よろしくね」


 一同が拍手をしながら「よろしくー」と声をかける。

 無邪気なもんだった。


 俺の記憶が正しかったら、ブラリが許可も相談も何もせずに、名簿に俺達の名前を書いて提出したありえない展開だったはずだ。

 何故こんなに受け入れる雰囲気になっているんだ。


「もう皆知っていると思うけど、こういうのは形が大事だからね。各々自己紹介していこうよ。まずは、副リーダーになったアズモちゃんからで時計周りにいこう」


 えっ、俺副リーダーになっているのか。

 俺が驚いた顔をすると、ブラリがこちらをニヤッと見てピースしてくる。


 流石にブラリに文句を言おうと思ったが、他の面々がキラキラした目で見て来たので抑えた。

 俺は大人だから子供のやる事に一々キレたりはしない。


 いつか絶対、あいつが思春期を終えたタイミングで今日の事をネチネチ言ってやる……。


「あー、紹介に預かったアズモだ。勉強面はあれだが、戦闘面なら同世代の奴に負ける事はまずないので頼りにしてくれ。……よろしく」


 一同に拍手で歓迎されて自己紹介を終えた。

 めちゃくちゃ恥ずかしかった。


 続いて、俺の隣に座っているラフティリが自己紹介をする。


「ラフティリよ! ここにいる皆は仲間だからラフティーって呼んでいいわよ! あたしも強いから、アズモと一緒に無双するわ!」


 ラフティリ、今の所この子からは脳筋というイメージしか湧かないのだが、本当にフィドロクア兄さんの娘なのだろうか。

 相当甘やかしたとは聞いたが、こんなに自信家になるもんなんだな。


 続いて、ラフティリの隣に座っている眼鏡の娘が喋る。


「私はムニミィメムリ。ムニミーって呼んでくださいな。二人とは違って運動はからっきしだけど、爆薬とか作れるから必ず一人は巻き込むよ」


 危ない子だった。

 眼鏡黒髪で真面目そうな見た目なのに、ピュアに危ない子だったのか。


 思い返してみたら、授業中に試験管カチャカチャやって何回かアスミ先生に怒られていたような。


 その次は、茶髪ミニマムマッシュの女の子の番だ。


「マニタリでーす、いぇいいぇい! どうして僕が選ばれたのかちっとも分からないけど、精一杯頑張りまーす! あ、色んなキノコを生やす事が出来るよ!」


 元気な女の子だった。

 確かこの子も授業中にアスミ先生に怒られていたような……。


 あれだ、確か机でキノコを栽培していたんだ。

 植木鉢や朽ち木などを使わず、直接机に栽培していた子だ。


 今の所問題児しかいねえ……。


 最後にブラリの右側に座っていたおかっぱボブ娘、ブラリのお付きをしている子が自己紹介をする。


「スフィラ・パンティラスです。勉強、家事、奉公、戦闘なんでも出来ますが、私は主にオペレーターを担当する予定です。皆様、どうぞよろしくお願いいたします」


 糸目のブラリ担当従者。

 パンティラス家は代々スイザウロ家に仕える、由緒正しき名家だ。

 授業中にブラリが教えてくれたから間違いない。


 この子は一見真面目だが、ブラリ全肯定従者なので判断に困る。

 授業中にブラリが抜けだしたら「ブラリ様、待ってください」と言うものの、止めずに着いて行く中々な胆力の持ち主だ。


 もしかして、問題児パーティーなのでは……?


「よーし、じゃあ早速明後日に迫った対抗戦のメンバーを決めよう。知っていると思うけど、パーティーメンバーはクラスから何人でも募っていいけど、出場メンバーは四人。今回出る人は僕、アズモ、ラフティー、マニタリで行こうと思うんだ」


 全員の自己紹介が終わると、ブラリが真面目に仕切りだす。

 スフィラはそれを紙に綺麗に纏めていく。


「えっ、僕? 他の三人は分かるけど、僕なの?」

「うん、マニタリに出てもらうと思っているよ」

「キノコを生やすくらいしか出来ないよ?」

「それが出来たら十分だよ。今回は作戦があるんだよね」

「僕に出来るかなあ?」


 ブラリはマニタリに出来る事を確認しながら、作戦の内容を話していく。

 俺はそんなブラリを見ながら、どうでも良い事を考えていた。


 このパーティー、ブラリのハーレムじゃないか?

 ブラリ以外、皆女子だな。

 まあ俺は、気持ちは男子だが。


 あと、こいつ真面目に話し合う事が出来たんだな……。


 ブラリの説明が終わると、皆ブラリを賞賛し出す。

 思い切った作戦ではあったが、普段のこいつからは想像出来ないしっかりとした作戦だった。


「うん、それなら僕にも出来そう!」

「分かったわ! 私とアズモに任せて!」

「ブラリ様、成長なさって……」


 スフィラは感動して泣いていた。


「まだ皆喜ぶには早いよ、この後時間はあるかな。パーフェクト先生に、修練場を使う許可をもらっておいたんだよね。さっき言った事が確実に出来るように練習しておこうよ」

「ブラリ、お前……」


 ブラリのあまりの有能さに、思わず俺もスフィラから貰い泣きしそうになった。

 普段がふざけ過ぎているだけだったんだな……。


 全員揃って、修練場で動きの練習をした。

 最初の方は上手く行かなかったが、数回も練習したら完璧に出来るようになった。


 対抗戦が始まる。




コウジ「いやでもこいつのせいで出ることになったんだった」



新キャラが一気に出ました。

ムニミーと、マニタリと、スフィラです。

今後かなり出て来るので覚えておくと読みやすいです。

十五組の他の面子も頃合いを見て登場させるのでお楽しみに。



ブックマークや評価で書く速度が上がります。

次話は今日の20時に上がります。


よろしくお願いします。

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