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元魔王による異世界領主生活〜強すぎてぼっちだったので領主として人生やり直す〜  作者: たんたん
【第二章】配下→領民、増えていく領民
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【第3話】魔王、後悔する

 国王から聞いた話であるが、この村は森の探索に向かう探索者達の中継地点として発展してきたそうだ。

 俺とティナと、先程この村に到着した料理人希望のイフエルタしかいないこの村には、その頃の面影はほとんど残っていないのだが、辛うじて形として機能するであろういくつかの施設といえる場所は未だに残っている。

 その一つが、俺たちが訪れた闘技場であった。


 闘技場と言っても、王都や主要都市にある数百、数千もの観客が収容出来るような立派な闘技場では無い。

 半径二百メートル程度の円形状の地形を均し、その周りを背の高い木製の柵で囲んだような簡易な競技場である。

 観客席についても、地面に埋め込むように設置された椅子が数十程度設置されているだけで、非常に寂しい印象を受けるのが正直なところだ。



「良いですか? 私が勝った時は、この村で料理人として働かせていただきますの。そして、先程までのあなたの暴言の数々、全て撤回し詫びていただくのです!」


「ええ分かったわ、その時は貴方がこの村に住む事許可しますし、今までの事も全て詫びましょう。でも私が勝った時は、あの時貴方が黒焦げにした服の代金、全額弁償して貰うわ! かなり高く付くと思うから覚悟しておく事ね!」



 闘技場の中央で向かい合うイフエルタとティナは激しく燃えていた。

 そして、彼女達を少し離れた所から審判として見遣る俺は置いてけぼり感が否めない。

 

 ティナよ、何故領主である俺を差し置いてお前が移住希望者の選別権を持っている? 領民を増やす機会をみすみす逃すのは避けたいのだが。



 そんな事を考えながらも、最早彼女達の熱量を下げる手段を持たない俺は、声を張り彼女達に声をかける。



「いいか、ルールは此処に来る途中に話した通りだ。基本的に何でもあり、相手を降参させるか、気絶させた方の勝ちだ。そして俺からのお願いになるが、この街には医療に長けた者がいない、出来る限り大怪我だけは避けてくれ」



 この勝負の結果は、ティナの圧勝だろうと予想している。ティナは一応王都に数人しかいないSSランクの探索者だ、イフエルタの実力は分からないがSSランク、しかも勇者スキル保有者のティナが遅れをとるとは考え辛い。

 理由はそれ以外にもある、彼女達の戦闘スタイルだ。

 ティナの主な攻撃は剣術、つまり近接攻撃である。

 それに対しイフエルタは背中に担いだ杖を見るに、恐らく魔法による遠距離攻撃だろう。



 基本的に魔法の発動には、体中の魔力を発動箇所に集中させる等の魔力コントロールが必要となるため、発動までに一定の時間を要する。つまり無防備になるのだ。

 なので、基本的に魔法を主武器として戦う者は近接攻撃に弱い。基本的に戦争などの場合にも、魔法使いの前に防御力の高い壁役を配置し、その後ろから魔法を放つと言った戦い方が俺の時代では主流であった。



 イフエルタ……もしティナが一方的にお前を嬲り殺すような結果になったとしても心配するな。死なない限り俺がゲロを吐きながらでも治療するから。 



「ソロさん……そんなに心配そうな顔しなくても大丈夫ですの。私も腕にはそれなりの自負がありますので」



 心配するような顔になっていたのだろうか、俺を見てイフエルタは俺の予想を察したように声をかける。

 

 

 間も無くして、イフエルタは背中に担いでいた背丈の低いイフエルタの身の丈程の長さを持った杖を片手で構えた。

 そして、対するティナも呼応するように腰から銀色の剣を抜き中断に構える。

 ……始めるか。



「それでは、ティナ対イフエルタ……試合開始!」



◇◇



 掛け声と共にまず動いたのはイフエルタであった。

 だが、動いたと言ってもティナへ攻撃を仕掛けたという意味ではない。

 イフエルタはティナから遠ざかるように軽快なバックステップを刻んだ。

 バックステップと言ってもそのスピードは早い、恐らく身体強化系のスキルを使用しているのだろう。

 両者50メートル程度であった距離が、瞬時に三倍程まで広がった。

 


 一対一になった時、魔法使いにとっては相手との距離が何よりも重要となる。

 元々魔法使いはそれ程機動力が高くない。

 なので、距離を取り相手の攻撃の対処を少しでも行いやすくすること、また魔法を発動するまでの時間を少しでも稼ぐことが必要となる。

 


 そして、距離を取ったイフエルタは瞬時に魔力を手に持った杖に集約させ魔法の準備を行う。



「これで距離を取ったつもり? この程度の距離、私には関係ないわ…………よ!」

 

 

 イフエルタが魔法の発動準備に入ったタイミングで、ティナが動いた。

 中段に構えていた剣を、その場で三回、様々な角度で振り抜く。

 そして、それと同時に剣から三発バラバラな角度で斬撃がイフエルタへと飛んだ。

 剣術スキル二段で習得するティナの得意技【剣術:スラッシュ】である。



 ティナの放った斬撃は瞬く間にイフエルタに迫る。

 然しイフエルタに焦りの表情は無い、むしろこの状況を予想していたかのようにも思える表情を見せた。

 そして、斬撃がイフエルタの目前に迫ったタイミングで、彼女は準備していた魔法を発動させた。



「距離が離れれば、貴方が遠距離攻撃を放つことは予想していたのです。……全部色を付けてお返しですの……【ダブルミラー】!」



 イフエルタが予想通りと広角を上げると同時に、彼女の眼前に半透明の鏡のような壁が二枚、彼女を守るように出現した。

 イフエルタはこの状況を予測していた。 

 だから、彼女は距離を取った後、即座に攻撃魔法ではなく防御魔法の準備を始めたのだ。

 そしてこれはただ自分の身を攻撃から守る魔法では無い。

 それは、防御魔法スキル三段で習得する【防御魔法:ダブルミラー】、相手の攻撃の量、威力を二倍にして相手に跳ね返す、所謂カウンター技である。

 

 

 直後、ティナの放った斬撃がその壁に衝突すると、一旦三発の斬撃は吸い込まれるように消滅した。

 そして次の瞬間、壁からはティナの放ったものの倍程の大きさがある六発の斬撃がティナへと放たれた。



「チッ」と舌打ちと共に渋い表情を見せたティナは、瞬時に自らの体へイフエルタ同様身体強化系のスキルを掛ける。

 そして迫り来る六発の斬撃をジャンプや伏せ身、手に持った剣を巧みに扱い捌ききった。



「噂通り人間離れした身のこなしですの……ですが、流石に『これ』をその剣で対処するのはオススメしませんのよ」



 ティナは、イフエルタの反撃を全ていなしきっただけである。

 流れはまだイフエルタに傾いていた。

 

 ティナが自分に跳ね返った来た六発の斬撃。

 それも自分の身の丈近くまであるものが、縦、横、斜めと様々な角度で襲ってくるのだ。

 それを無傷で全て捌ききったティナは見事と言う他ないのだが、ティナと言えどもそれを捌くとなるとジャンプや伏せ、そして後退等大きな動作が必要になり、イフエルタに時間を与えてしまうのは如何しようも無い事であった。



 ようやくティナは、イフエルタが自分の斬撃を跳ね返すと同時に魔法……攻撃魔法発動の準備に入っていたことに気づく。

 ティナとイフエルタとの距離は先程より開いている。

 身体強化を目一杯行っても、先程のように斬撃を飛ばしても恐らくイフエルタの発動の方が早い。



 どうやら俺の予想は正しかったようで、ティナが何かをするより先に、イフエルタの魔法の準備が完成したようだ。

 彼女は両手で構えた杖を横向きに構え、そしてその先端が、自分の斜め後ろを向くくらいまで体を捻る。



「全てを焼き尽くすのです……! 【黒炎の津波】!」



 そして彼女は魔法発動と同時に、杖で薙ぎ払うように体を半回転させた。

 突如地面から黒い炎の波が湧き出る。

 そしてそれは、即座に津波のように何倍もの高さに成長し、地に落ちていた葉っぱを一瞬で消し炭にしながらティナへと迫っていった。



 これはまずいんじゃないか……。



 俺はいつでもティナを助けれるように、ありったけの魔力を体に込め準備をする。



 そして黒炎の波から目線をティナへ移す。

 ティナはそれを一瞥した後、手に持っていた剣を地面に両手で突き刺した。



 ティナの目にはまだ力強い光が残っている。

 どうやらまだ諦めていないようだ。



 戦況を伺っていた俺は一瞬の気の迷いに後悔していた。



 ……やはり話し合いで解決する方が良いに決まっている。これは殴り合いなんて生易しいものでは無かった。



 脳筋の父を恨みながら、俺はいつでも動けるように意識を戦況に集中させた。

明日からまた仕事です!

タイムリープしたいです。

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