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元魔王による異世界領主生活〜強すぎてぼっちだったので領主として人生やり直す〜  作者: たんたん
【第二章】配下→領民、増えていく領民
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【第2話】魔王、空気と化す

すいません、投稿1日遅れました。

今後は遅れないように投稿するんで引き続きお付き合い下さい。


PV1000超えました!

ありがとうございます!!

「ソロ! 来たわよ! やっと来たわよ! 肉よ!」


「落ち着けティナ、肉なら冷凍室の中だ、あれは料理人だ」


 一台の馬車が、俺の肉眼でも認識できるくらいの距離まで近づいてきたところでティナがはしゃぐ。

 ティナは朝から非常にテンションが高い。

 理由は簡単、本日この領地に料理人がやってくるためだ。

 朝起きてから何度も何度も「まだなの? まだ来ないの? 初日から遅刻なんてやるじゃない」と今日来るはずである料理人を心待ちにしていた。

 実際のところ心待ちにしているのは、その料理人の手によって生み出される最高品質の肉、デリギュウを用いた肉料理であるのだろうが。


 かくいう俺も非常に楽しみにしているのは事実だ。

 何しろ国王からの手土産でたまたまこの地の領民となったティナを除くと、すぐそこまで迫った馬車に乗っている者は俺の領地の記念すべき初めての領民となるからだ。


 間も無くして、館の入り口前で心を高ぶらせていた俺とティナの前に、ようやく馬車が止まった。

 俺たちの姿を見て、目的地に到着したと認識した馬車の運転手が「着きましたぜ、お客さん」と後ろの荷台にいるであろう人物に声をかける。

 

 荷台の位置から「ありがとう」と声が聞こえた。

 荷台は運転手の背後に位置している。

 要するに、俺たちの位置からはその声の主が確認できていなかったのだが、間も無くして、声の主が地面に降りる警戒な音を立て、俺たちの前に姿を現した。


「ソロ卿、お会いできて光栄ですの。私、イフエルタと言います。この地で領民を募集していると聞いてお伺いさせていただいたのです。どうぞよろしくお願い致します」


 どうやら、この領地の最初の料理人は女性のようだ。

 馬車を降りたあと足早で俺たちに駆け寄ってきた彼女は、焦げ茶色の肩までくらいの髪と、燃えるような赤の瞳が特徴的で、ティナほど身体の発育の良くないどちらかと言うと少女に近い女性であった。



「始めまして、つい先日からここの領主をしているソロだ。わざわざこんな所まで来てくれてありがたいよ。あと、俺って貴族ではないから気軽に名前で呼んで貰えると助かる」



 俺がそう挨拶を返すと、彼女……イフエルタは笑みを浮かべ「ではソロさん、よろしくですの!」と元気よく返事をする。

 

 明るそうな人で良かった。

 彼女の第一印象だ。

 ただでさえこの領地には俺とティナしかいないのだ、決して暗くて物静かなものを拒んでいる訳ではないが、今後この領地の評判を良くし、領民を増やしていくことを考えると、やはり雰囲気が明るいに越したことはない。


 然し、俺にはつい先程から何か可笑しな空気を感じていた。

 俺の隣に立つティナの彼女に対する反応がイマイチ不自然なのだ。


 雰囲気が明るいに越したことはない、せめて明るくはなくても悪くなければそれで良い、だがティナよ、何故お前は挨拶すらせず一人首を傾げているのだ? 

 決して頭が良いわけではないのだから考えてもあまり意味はないぞ、早く自己紹介くらいしろ、変な空気を払拭してくれ。

 

 俺は、何故か考え事、それも過去の出来事を思い出そうとしているそんな仕草を見せるティナに対して、発言を促そうとしたまさにその時であった。



「思い出したわ! その赤い目と黒いローブ、あなた【黒炎】ね! よくもあの時は私の大事な服を消し炭にしてくれたわね!」



 ティナが急にそんなことを口にした。

 なんだ? 知り合いか?

 状況が把握出来ていない俺に対して、続けてイフエルタが口を開く



「やはり覚えていましたか、面倒ですの。まさか【勇者】がこんな所にいるなんて想像もしていなかったのです。相変わらず声と胸の大きさは健在ですのね。それにあなたこそ私の獲物を横どりしていったのですからあの件はおあいこのはずですの」


「私の記憶力の良さが仇になったわね! あなたがちんたらしていたから私がやってあげたんじゃない! あの後私大変だったんだからね! 真冬だからってコートを着て冬山の探索に向かった筈なのに、帰る時には半袖とショーパンよ! 凍えて死んじゃうかと思ったわ!」


「言ってくれれば私の魔法で温めて差し上げましたのに」


「あなたにそんなことされたら体まで黒焦げよ!」


「おい、よく分からんが二人とも落ち着け」



 ヒートアップする二人の隣で空気と化していた俺は、無理矢理間に入るようにして彼女達の話を一旦区切る。

 空気ながらも二人の言い合いの内容はしっかりと聞いていた。

 どうやら彼女達は、以前からの顔見知りであるようだ。



「ソロ、私に提案があるの、彼女を料理人としてここ『敬愛なる勇者様の村』に住んでもらうのはお断りしましょう! 彼女に料理なんてさせたらどんな食材を使ってみたところで、出来上がるのは全部炭よ!」



 いつからここはお前の村になった。そして折角話を区切ったのに何故また喧嘩を売る。

 


「侵害ですの! 私の火入れの技術は天下一品なのです! もしご希望でしたら、あなたの身体に纏わりつくその余分な脂肪でも試しに私の炎で燃焼させてあげても良いですのよ?」



 確かにティナにはある一定の箇所に、ある人によっては「必要ない」、またある人によっては「最高」と言うくらいの脂肪が付いている。

 まあ正直俺にとってはどうでも良いが、何せ人間の寿命の何倍も生きる魔族からしたら、19歳のティナなど子供同然だ。

 


「余分じゃないわよ! どうやらこの必要な箇所にはしっかり付いて、必要ない箇所は極限まで絞っている私の身体の価値が分からないようね……どの箇所にも付いていないあなたの身体とは違うのよ?」

 


 確かにイフエルタの体にはティナのような立体感が無かった、まるで無かった。

 だがそれが決して需要がないわけではない。

 一定数からはそれなりの需要がある。この前の酒場で名も知らぬ男が熱く語っていた。



「……ソロさん。初日から大変恐縮です。でも我慢なりませんの! この人を消し炭にする許可が欲しいですの!」


「やれるものならやって見なさい! あんたなんて返り討ちよ!」


「はい、口喧嘩二回戦はそこまでだ!」



 キリが無い。

 そう判断した俺は二回目となる試合終了の合図をかける。

 

 折角領民が増えたのになんだこれは。

 何か手を打たないと、気がつけば三回戦のゴングが鳴り何度もこの流れがループしそうだ。



『ソロよ、強者同士が語り合うのに言葉などいらんのだ。強者は拳で語る! それが惑う事無き真実だ』



 前魔王、俺の父が良く言っていた言葉だ。

 言い合いになりそうならばすぐに殴り合い、話すより殴った方が早いという脳筋を地でいく魔王だった。

 ただ そんな父は意外にも人望が厚かった。

 

 もしかしたら父の意見も一理あるのかもしれない。万が一の一理であるが。


 話あう前に殴り合うという父の持論に賛同するわけでは決して無いのだが、そうする事でもしかしたらこの状況変わるかも知れない。

 試さなければ何も実現しない。

 


「なあお前達、このままじゃ埒が開かないだろう? ここで一つ、俺から提案があるのだが」 

会社の上司と拳で語ろうとしたら、語る前にクビなんでしょうね。


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