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日本の魔法庁  作者: さちうめ
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魔法って寿命を削るのか?

2019年1月、東京は霞ヶ関のビル。


藤堂真帆はオフィスの中でノートを見ていた。


このオフィスは窓が無い。

外から見られでもしたら不味い仕事だからだ。

正確にいうと窓とブラインドの間に白く大きな模造紙が貼り付けてある。


ノートには手書きでびっしりと文字が書かれている。

年末から年始にかけて書き出した問題点の一覧。

魔法が存在しない日本いや世界に於いて、魔法が使えるようになった時に問題点を。


それら内容について日本政府で予め対策しておき、それから魔法の存在を発表する。そうすれば日本国内だけでなく世界で安全に魔法を運用でき、かつ世界に対して日本は魔法先進国として一目を置かれる事になる。


問題が書かれたノートを見ながら「寿命を削りやしないか」とつぶやく。


魔法の開発者が特許庁に提出した書類は火の玉の作り方。

呪文を音読しながら手の指を動かすと、手のひらの上にビー玉大の火の玉が発生する。


こんな姿、誰かに見られでもしたら不味いので窓に模造紙なのである。


その火の玉を見ながら、これを発展させれば火力発電の燃料になるよねと想像する。

発電の仕事として9時に発電所に出社して炉に向かって火を出し続け、夕方に帰宅するような未来が有るかもしれない。そして無理をしすぎて身体を壊す方も居るかもしれない。

実は魔法は命を削っていたなんて有っては非常に不味い。

それは不味い。


ならばどうする。

寿命が縮まない事を証明?

何百人の方々に、その実証試験を依頼する?

それは倫理的に問題だろう。

そもそも結果がわかるまで何十年かかってしまい非現実的だ。


ならばその方々に疲労感を自己申告して貰うとか・・・・

疲労感と寿命って相関が有ったっけ?


そうか!

動物試験が有る。

一部の国では動物試験の結果は好ましくないと言われている。

それら問題を解決する必要は有るが、先ずはデータ取りが必要だ。


確か動物の試験は

1日だけ単回や毎日の反復使用での

臓器や血液レベルでの安全性チェックが有ったはず。

他にも遺伝毒性という遺伝子レベルでの安全性チェックとかも。

過剰使用とか何年もの長期使用のものとか色々と条件を割り振らねば。


よし、上司が戻ってきたら

先ずは動物試験の予算について相談しよう。

目標が決まったら、やる気とアイディアが湧いてきた。


ノートに手書きで表を作り、様々な条件を書き出していく。

没頭できてとても楽しい瞬間である。

ブツブツと考えをつぶやきながら、考えを張り巡らせる。


魔法を使用する日程は、これぐらい種類を割り振れば良いだろう。

では魔法の使用量、量っていっても自分自身が同じ手技手法で魔法を使ってみても何度か練習して熟練度が増す度に火力が増して行くのを感じている。

そうだ、標準作業手順書(SOP:Standard Operating Procedure)を作って、それを基に教則本いや教則動画のDVDを作って、それを一定時間練習して貰おう。それでも個人差が有るから、魔法の出力を計測してその数値でデータ解析補正をかけよう。


その時、後ろから上司の野太い声が。

「ネズミさんにDVD見せて、魔法を覚えさせるのかい?」


あ、動物に魔法を覚えて貰うって無理だ。

そして、ウキウキして馬鹿な事を言っていた自分が恥ずかしい。


とりあえず人間での疲労感でデータを取る提案をしよう。

寿命うんぬんという話は、もう少し他の事を検討してから考える事にした。

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