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WorldCollision  作者: やまぐ
1/1

sade城ヶ崎丈人ー1ー目覚めると全裸だった。

私か書いている他のシリーズの内容がダレて来たので気分転換に無謀にも新シリーズを書き始めてしましました。

更新頑張るのでよろしくお願いします。

 目覚めると全裸だった。


 これが自分の部屋なら別に珍しい事ではないが公共の場であったのなら立派に犯罪だろう。

 そして今自分が目覚めたこの場所はどう見ても自分の部屋ではないので俺は晴れて犯罪者の仲間入りを果たしたことになる。


 俺、城ヶ崎丈人は現在全裸の状態である自分を客観視しながらそう結論付けた。


 いやいや、冷静になれ俺。クールになって現状をもう少把握しつつなぜこうなったのかを思い出すんだ。

 そう自分に言い聞かせ俺は記憶の糸をだどる。


 まずは自分の事を思い出すことにする。

 名前=城ヶ崎丈人ジョウガザキタケト、年齢=20歳、職業=エンジニア(小さな町工場でネジを作る仕事をしている。)、備考=彼女募集中


 とりあえず自分の事はすんなりと思い出せた。次に自分が全裸状態フルキャストオフで目を覚ます前に何をやっていたのかを思い出してみる。


 今日は金曜日で仕事終わりに学生時代の友達と夜の街へ繰り出す約束をしていた。

 →待ち合わせ場所に移動するために地下鉄に乗ろうとしていた。

 →地下街に入ってしばらく進んだところで地震が発生した。

 →そして気づいた全裸で寝ていた。


 ………つまり俺は地震が起きた後、突如裸族として覚醒し人としての尊厳と衣服を代償に真の自由を手に入れたという事か。




 ってそんなわけないだろ。どうもあまりの異常事態に思考がおかしくなっている。というか、全裸うんぬんよりも地震に巻き込まれたという事実をサラッと流すなよ俺。


 セルフボケ&セルフツッコミをしつつ先程思い出した情報を整理する。


 重要なのは地下街で地震に巻き込まれたということだろう。地上への脱出ルートを探さなければならない。幸い地下街の地理はある程度覚えていた。


 今自分が居るのは地下街の飲食店が立ち並ぶ一角で一番近い出口はここからだと200メートル程離れた場所にあったはずだ。

 とりあえず脱出だと移動しようとしたところで自分が全裸であることを思い出す。


 いくら非常事態とはいえ全裸であり続けるのには抵抗がある。今の俺には真の自由よりも人としての尊厳と衣服が必要だ。


「ふっ、皮肉なものだな。人間は状況が少し変わっただけでかつて要らないと切り捨てた物を手のひらを返したようにまた求める。」


 などと恰好つけてみるが俺が全裸である事実は変わらない。アホなことは止めてさっさと服を入手しなければ。


 確か地下街には衣服を販売していた店舗もあったはずだ。なのでまずはそこに向かう事にする。


 移動しようとしたところで新たな問題がある事に気づく。地震の規模が大きかったのかショウウインドーのガラスが割れて足元がデンジャーなことになっていた。他にも天井が落ちて来た場所がちらほらあり所々に赤い液体が飛び散っているところもあった。


「服より先に靴が要るな。」


 流石に冗談が言える状況ではない事を理解した俺はガラス等を踏まないように慎重に移動を開始した。




「ヒャッハーーーーーー。全裸にスニーカーだけ履くと違和感がハンパねぇゼ。」


 全裸で破壊された地下街を徘徊する事15分。俺は人気が無い靴屋で無事にスニーカーをゲットしていた。

 望む物を手に入れてテンションが上がりさっそく履いてみた感想が先程の言葉である。


 かつて流石に冗談が言える状況ではないと理解した事もあった俺だが最終的にむしろテンションを無理やりにでも上げていかないと精神的にキツイという結論に達した。

 ここまで来る道中に瓦礫に押しつぶされた死体らしきものを発見したのだ。


 まあ、若干チキンの気がある俺はその場を逃げるように足早に走り抜けてたのではっきりと確認したわけじゃないだけどな。


 とにかく死体っぽい何かを見てしまった俺は不安をかき消すように無駄にテンションを上げていくことにしたわけだ。


 靴は手い入れたので次は服だ。さっさと服を手に入れようと移動しかけたところでバックヤードの方から物音がした。


 近くに生存者が居るかもしれない。しかし、俺は躊躇した。今の俺のいでたちは全裸スニーカーだ。この姿をして俺は「全裸じゃねぇし。ちゃんと靴はいてるし。」と言って開き直る勇気は無かった。


 生存者が居るかどうかの確認は服を手に入れた後だな。そう結論付けた俺はその場を後にしようとする。


 しかし、そこでバックヤードからか細く震えた声が聞こえた。


「誰か………いるんですかぁ?」


 その声は若い女の子の声に聞こえた。俺は脳内で緊急会議を開く。

「今のは若い女の子の声だった。」「どうする!?」「興奮する。」「とりあえず服がないと話もできない。服を探せ。」「むしろこのまま行け。事情を話せばきっとわかってもらえる。」「興奮する。」「とりあえず逃げろ。年齢=彼女いない歴の俺のコミュ力じゃこの場は切り抜けられない。」「むしろ、この異常事態を利用すれば仲良くなれるかもしれない。吊り橋効果的な感じで。」「興奮する。」「とりあえず股間だけでも靴で隠して対面しよう。」

 色々な考えが俺の頭の中を廻る。


 だが、結局答えが出る前にタイムオーバーとなった。


 バックヤードに潜んでいた女の子が意を決したようにドアをそっと開け僅かに顔を覗かせたのだ。


 突然であったため俺はとっさに近くに陳列してあったハイヒールで股間を隠すことしかできなかった。


 顔を出した女の子は昨今のアイドルブームによって爆発的に増えたアイドルグループの中で、端っこにならいてもおかしくないぐらいかわいい女の子だった。


「……………………。」

「……………………。」


 見つめあうこと数秒。

 俺は意を決して口を開く。


「ヤア、コンニハ。」

 緊張のあまり裏返った声は某テイマパークの有名マスコットの声に近い感じなっていた。


 返事は何処から出たのかってくらいの大音響の悲鳴であった。

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