俺がこの世界の救世主になれると知った時の選択肢
なにもない普通の日常。
俺は、確かにそんな日常には飽き飽きしていた。だが、なにもここまで日常を変えろなんて俺は言ってないぞ!! どうやら神様というのは、めちゃくちゃな人らしい。
なんせ、今俺が目の前で見ているこの光景はけして日常とは、呼べるものではないからだ。
人が人を食べる?
そんなこと現実にあって堪るものか。
これは、夢だ。目を瞑ればきっと元の世界だ。
なんの変哲のない朝を迎え、母親の作る朝ごはんを食べ。学校に登校すると友達に囲まれた、楽しいスクールライフをおくるんだ!!
だから、頼む!! 夢なら覚めてくれよ!!
俺は目を開ける。
しかし、俺は友達ではなく奴らと化した友達に囲まれていた。どうやら俺の人生もここまでらしい。俺は、再び目を閉じ最後の時を待った。
しかし、いっこうに殺される気配がない。おかしい、確かに俺は今奴らに囲まれていたはずだ。
なぜ、殺されない?
俺は、恐る恐る目を開けてみることにした。
俺は、すごく驚いたなぜならそこには、血まみれになりながらも片手には、鉄パイプ? っぽい物を持っている、クラスメイトがいたからだ。
「…無事? 一回も噛まれてないよね?」
そう言ってきたのは、クラス内では物静かで誰ともつるんだ姿を見たことがない女の子、名前は赤羽智鶴だった。髪の毛は、赤く炎のように輝いてその時は、見えた。
だがなぜ、そんな可愛らしい彼女がこんなにも強いんだ?
そもそもなぜ俺を助けてくれたんだ?
「まさか、噛まれたの?」
返事をしない俺に再度問いかけてきた赤羽に俺は、急いで返事をした。
「か、噛まれてないよ。
それと赤羽さん聞きたいことがあるんだけど…」
「智鶴でいい。なに?」
智鶴は顔色1つ変えない。
「じゃ、じゃぁ智鶴。なんで俺を助けてくれたの?それとそんなに強いのならクラスメイト全員だって助けられたはずでしょ? なのになぜ…」
そう言って俺は、無残にも食い散らかされたクラスメイトの残骸を見た。
ひどいものだ、心臓、内蔵といった臓器があらわになっているものもいれば、それすらも確認できないほどにグチャグチャになっているものもいた。
俺は、改めて見てしまったので、我慢できず吐いた。
智鶴は、そんな俺の背中をさすりなが淡々と言い始めた。
「私はあなたにしか興味がないの…
それに、クラスメイトを助けるなんて命令は任務には、なかった。」
この子は、何を言ってるんだ? それに任務ってなんだ?
そんな感情がこみ上げてきて俺はとうとう智鶴の正体を聞いてみた。
「落ち着いて聞いて欲しい、私は未来からきた軍人だ」
智鶴は、無表情でそう言った。
何でも、人が奴らになってしまう災害の原因は、地球温暖化によって北極の氷の中に眠っていたウイルスが解き放たれて起こったものだという。
そんで、ウイルスは空気感染によって広まりここ日本にも、大きな被害を及ぼしている。
今、感染していない人は何らかの抵抗が体に備わった人だからだと智鶴は長々と話した。
「ま、待ってくれ。それを俺に信じろとでも言うのか?」
「そうね…信じろとまでは言わない。
でも事実これは今目の前で起こっている。あなたも見たでしょう?」
確かにそうだ今俺の目で見た来た光景は紛れもない事実だ。
とりあえずは、智鶴を信じるしかなさそうだ。
「それともう一つ。俺に興味があるってどういうこと?」
「それは、あなたがこの世界を救えるたった一つの鍵だからよ?」
は? 俺が? この世界を救える鍵?
「どういうこと?」
「私は、今から五年後の世界から来たのだけれど。そこではなんとか生き残った数名の学者によってやっとこのウイルスに対抗できるであろうワクチンが開発されたの、でもそのワクチンに必要だったものがその世界では既に死んでしまっているあなたの血液ってことなの。だから私は、あなたを死なせない為にも未来からあなたを守るために来たってこと、分かった?」
「俺の血液がね~」
「まぁ正確には血液に含まれるなにからしいけれど、私は軍人だから細かいことは、知らないの」
それが本当なら俺は、この世界の為にも死んではいけないらしい。
「俺は、とりあえずどうすればいいんだ?」
当然の疑問だった。
俺の血液を取ると言ってもそんなワクチンを作ることのできる施設なんてどこにあるんだ?
「あなたには、とりあえずワクチンの作れる技術の揃った未来にいってもらう」
未来?
俺は、予想もしていなかった答えに驚きを隠せなかった。
「そのためには、この時代で唯一タイムトラベルに成功した例を持つ東京の施設に行ってもらわなければならないの」
そんな、発表あったか? どうやら極秘裡に行われたらしい。
成功したといっても過去にだけのようだ。本当にそんなんで未来に行けるのだろうか…心配だ。
「当然来てくれるよね?」
その言葉は半ば強制的なものだった。
俺は断る理由がなかったが、条件を付けることにした。
「分かった、未来だって過去だってどこへだって行ってやる。
でも、その代わりに俺の家族を助けにくことと、これから東京にいくにあたって奴らに襲われている人がいれば助けて欲しい。この二つの条件を飲み込んでくれれば従おう」
智鶴は少し考えたが
「分かった、そうしよう
しかし、お前の家族の安全はもう保証できないよ。」
「それでもいい。ありがとう
あと、俺の名前は鈴卂透だ。同じクラスなのにおまえはないだろう?」
「あ、ごめん透これからよろしく」
そう言った智鶴の顔は笑顔だった。
俺は、この時この笑顔に大分救われた。
とりあえず、俺たちは俺の家族を救うため家に向かうことにした。
俺は、まだ甘く考えすぎていたのかもしれない。智鶴となら簡単だと勝手に思い込んでいたのかもしれない。これから始まる長く険しい旅が俺にとってこんなにも辛いものだったなんて、この時の俺は、まだ知らない。
この小説は、アクセス数の具合をみて連載かどうか決めたいと思います。
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