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俺が眷属になったら何故か弱くなりました。  作者: リザイン
第一章 吸血鬼と婚約者
10/25

弱体化

少し修正いたしました。

修正前の文を読んでいた方は、

ユウトがレミリーに命令されたあたりからご覧下さい。

具体的には、ソフィアさんの、「補足させていただくと・・・

辺りが主な変更点です。


 屋敷に着くと、俺はふと思い出したことを聞いてみる。


「ところで、俺の剣がどこにあるか知らないか?」

「ああ、あのとてつもなく重くて白い剣のこと?それならソフィアが知ってるわ」

「あの剣なら私の部屋で保管しております。後でお渡しします」

「え、ソフィアさんあの剣持てたのか?すごいな」

「全然重くありませんでしたが」


 あの剣は俺が魔王にプレゼントされたものだ。重すぎて使えるのか?と思ったがあれは魔力を込めて使うタイプの剣らしく、込めると軽くなる。

 ん・・・?

 あ、そうだ!ソフィアさんに聞かないといけないことがあるんだった。


「そういえばソフィアさん。さっき魔法使ってましたよね」


 俺がその先をいうまでもなく、ソフィアさんがああ・・・と言って頷く。


「ええ。確かに私は魔法を使えます。と言っても、そんなにたくさんの種類を使えるわけではありませんが・・・」

「それは私も初耳だわ」

「申し訳ありません。別に隠すつもりはなかったのですが・・・。ただ、使う場面がなかっただけで」

「そう、ならいいわ」


 屋敷内へ入ると、使用人達が出迎えてくれた。レミリーが挨拶すると、俺もそれに続く。そのままソフィアさんの部屋の前で止まった。


「では取ってきます」


 ソフィアさんが部屋へと入っていく。1分も待たないうちに俺の剣を持った

ソフィアさんが出てきた。


「これで間違いないですか?」

「はい。それです」


 そう言って俺はソフィアさんから剣を受け取る。

 ・・・が、重すぎて剣を落としてしまった。


「ユウト、どうしたの?」

「いや・・・なんでもない」


 てっきり、ソフィアさんが軽々と持っていたから魔力を込めているのかと思ったが、そうではなかったので少し驚いた。

 俺は魔力を込めると、再び剣を持ち上げようとする。

 しかし、剣は全く持ち上がらない。


「ん・・・?」


 おかしいな、魔力を注入したはずなんだけど。

 もう一度魔力を込めて持ち上げようとする。

 ・・・が、やはり剣はびくともしなかった。


「何をしているのですか?」


 ソフィアさんまで怪訝(ケゲン)そうに聞いてくる。


「いや・・・、なんか魔力が入らなくて持ち上げられないみたいです」

「魔力が・・・?」


 そう言うと今度はソフィアさんが剣に魔力を入れてみる。剣は間もなく薄く輝いた。ソフィアさんが再び手を離すと、剣は再び床に落ちる。


「普通に入りますが?」

「・・・」

「ユウト、もしかしてその・・・魔力っていうのがなくなったの?」

「わからない。でもその可能性が高いな」


 魔力が完全に尽きるなんて、ありえるのか?剣に魔力を入れるのはほんの少しでいいはず。それすらできないということは・・・。


「まさか」


 俺はこの前ジェームスに見せた魔法を唱える。

 ・・・が、何も起こらなかった。


「・・・」


 おいおい、まじかよ。

 思わず絶句してしまうぐらい衝撃的だった。

 魔法が使えないということは、つまり俺は普通の人間となんら変わりない存在ということだ。戦闘をする際も、俺はいつも肉体強化の魔法を唱えて戦っていた。それが使えないとは・・・。

 一時的なものだと信じたい。

 レミリーとソフィアは何かが合点したかのように顔を見合わせた。


「やっぱりそうでしたか・・・」

「ええ」

「ん・・・?何かわかったのか?」


 そう言うと二人は頷く。


「貴方の魔力がなくなった原因、恐らく、いえ、確実に私のせいだわ」















 レミリーの部屋に案内され、近くにあった椅子へと腰掛けた。ソフィアさんは扉を閉めると、鍵をしてさらに施錠(ロック)の魔法を唱える。そして紅茶の準備をし始めた。


「それで、さっきの話・・・、ユウトが魔力を失ったって話なんだけどね」


 俺は頷いた。レミリーが続ける。


「実はさっき、ユウトに会いに行く前に私とソフィアで書斎の本を読みあさっていたの。お父様が吸血鬼関連の本はたくさん仕入れているからね。

 でも、どの文献(ブンケン)を探ってみてもそういう事例は一度もなかった。

 そりゃそうよね、いくらなんでも吸血をしただけで私の病気が完治するなんてありえないもの。

 諦めて戻ろうとした時、ソフィアが一冊の本を見つけてくれたの」


 そう言うとレミリーが本棚の上に置いてある本を俺に手渡す。


「かなり古い本だけど吸血鬼についてかなり詳しく書かれているの。これの最後のページを見てみて」


 俺はレミリーに言われるがまま、ページを最後の方まで進めていく。魔界に置いてある本とは言語が違うものの、翻訳されていたため読むことができた。

 そこに書かれていたのは驚くべきことだった。

 血を吸われた者が、俺と同じ状況に陥っている。魔法が使えず、身体能力的には人間のそれと変わらなくなったとも。

 更に驚くべきことは次の記述だった。


「私は奴の眷属になってしまった・・・?」


 眷属というと、あれか。吸血鬼が血を吸うことで吸った対象を好きに従うことが出来るというやつか。

 レミリーが頷く。


「聞いて、ユウト。貴方はね、私の眷属になってしまったの」

「・・・流れ的にそうだろうとは思っていた」

「驚かないのね」

「眷属については俺も聞いたことはある。しかし、眷属になったと言っても・・・何がどう変わったんだ?」

「そうね・・・。じゃあユウト、私の目を見て」


 レミリーにそう言われ、俺は彼女の目を見つめる。じっと見ているうちに青かった目が赤くなった。


「肩を揉んで」


 すると、俺の体が意思とは関係なしに勝手に動き始め、レミリーの肩を揉み始める。暫く揉んだあと、やめるように言われ、俺は再び元の位置へと戻った。


「体が勝手に動いたぞ」

「そう。眷属は主である吸血鬼が命令したらなんでも言う事を聞くの。で、ユウトは私に血を吸われたから眷属になってしまった」

「成程」


 そこで、ソフィアさんが紅茶のセットを持ってきてくれる。


「補足させていただくと、眷属の主、つまりユウト様の場合、お嬢様がもし死ねば貴方も死にます。逆に眷属である貴方が死んだ場合、お嬢様も死にます」


 さらっとそんなことを言うソフィアさん。

 補足どころか、とても重要なことじゃないか。


「それは本当か?」

「・・・ええ」

「ふーん・・・」

「怒ってる?いや、そりゃ怒るよね・・・突然そんな話を聞かされたら」


 レミリーは俯きながら言う。

 ・・・ったく。困ったお嬢様だ。


「別に怒ってないさ。ただ少し驚いただけだ。

 でもそうか・・・、

 レミリーが死ねば、俺も死ぬ?

 ふ、ふふ、ははは!」


 突然笑い出した俺に二人は面食らった。

 俺は立ち上がる。


「つまり、話をまとめると、俺はレミリーの眷属になり、そのお陰かどうかは知らないが魔法が使えなくなり、身体能力も人間とそれぐらいにまで落ち、レミリーが死ねば俺も死ぬ。

 そして、レミリーは何故か病気が完治した。

 ・・・ということだな?」

「要約するとそうなるわ」

「はい。それと、何故お嬢様が完治したのか、原因も(ツカ)まないといけません」

「そうかそうか。 

 ・・・はぁ」


 俺は思わず頭を抱えた。

 そりゃショックがないと言えば嘘になる。

 レミリーが死ねば俺が死ぬというのはまだいい。だが、何かあった時のために俺がレミリーを守らなければならない。

 しかし、その為には俺が彼女を守れるほど強くないといけない。しかしなんだ、魔法は使えなくなるし、肉体も人間と変わらなくなるしこれじゃ俺の身すら危ないだろう。魔族の幹部どころか、下っ端にすら負けてもおかしくない。流石にそこまで堕ちたとは信じたくはないが。

 これじゃユキ達に会ったときなんて言われるか・・・。特にシズクにはボロクソ言われそうだ。


「ユウト、大丈夫?本当にごめんなさい私のせいで」

「いや、レミリーが悪いわけじゃない。俺の体が意味不明なだけだ。

 それよりも今後のことを考えよう」


 俺がそう言うとソフィアさんがいいですか、手を上げる。


「そういう訳ですのでユウト様には、お嬢様と一緒に居ていただく必要があります。・・・非常に不本意ですが」


 本音漏れてますよソフィアさん。

 まあでも必然的にそうなるだろうな。俺もどうやって戻せるのか探らないといけないし。

 けれども、俺は首を横に振った。 


「確かにそうしないといけないでしょう。

 ですが、俺には探さないといけない人達がいます」

「探し人・・・ですか」

「はい。俺と同じく、人間ではありませんが大切な仲間です。一刻も早く探し出したいと思っています」

「ユウト・・・」


 二人が黙った。そして時計の音だけが聞こえてくる。

 暫く無言の状態が続いたが、その沈黙を破ったのはレミリーだった。


「じゃあ・・・私も一緒に同行するわ」

「ですがお嬢様・・・」

「ソフィア。大丈夫よ、病気はもう完治したし太陽の下にいても何故か全然平気だもの。それに、私幼い頃からずっと冒険ってしてみたかったの」 

「そうですか・・・。お嬢様がそう言うなら私は反対しません。 

 ですが、私も同行させてもらいます。構いませんかユウト様?」


 俺は二人がついてくることによりデメリットを考えたものの、特に浮かばなかったため頷いた。


「そうと決まれば、早速準備をしないと。ソフィア、手伝って」

「はい、お嬢様」


 そうして二人が荷造りを準備していると、不意に部屋がノックされた。レミリーが中へ入るよう命令すると、ジェームスが入ってきた。


「ジェームスです。お嬢様、マルクス様がお見えになっています」


 そう言われた瞬間、ぴたっと、レミリーの動きが止まる。

 ソフィアさんに至っては苦虫を噛み潰したような表情をしている。


「よりにもよってこんなタイミングで・・・」


 ソフィアさんは荷造りをやめると、ジェームスに告げる。


「今忙しいのでお帰りになってもら―――」

「待ちなさいソフィア。・・・マルクスの要件はなんて?」

「大事なお話があるとのことです」


 レミリーは悩んだあと、ジェームスに通すように言った。


「お嬢様!いいのですか?」 

「ええ・・・。むげにはできないわ」


 なにやらレミリーの様子がおかしい。

 俺は、ジェームスに耳打ちをしてこう言った。


「なぁ、マルクスって言うのは誰なんだ?」


 ジェームスは、レミリーとソフィアさんがこっちを見ていないのを確認して耳打ちしてくる。


「ああ、マルクスって言う奴はな・・・お嬢様の婚約者だ」

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