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青年期2
天や海魅たちは穏やかな世界の中でそれこそ一つの目標に向かっていた。一時は解散しかけたチームだったが、ぎりぎりのところで団結し一つになった。
それは監督である徳武先生のおかげでもあるかもしれない。常日頃怒鳴り声を上げず冷静に指導する姿、そして今でも誰よりも野球がうまく、選手たちの信頼もあつかった。
学校の世界史の授業では丁度第二次世界大戦を扱っていた頃だろうか、ある変化がこのチームに訪れた。世界史の学習をしていくにつれて汚い大人の世界を身にしみて感じていくようになってしまった少年がいたのだ。……天だった。
ただ年号と出来事を覚えていくだけでは語れない残虐な真相を、世界史の先生は事細かく指導し、更に信用するか否かの判断を生徒たちに託した。
これがことの発端となるのかもしれない。その後天の思考は完全に闇の道に進んでいくこととなる。