青年期1
[2014年 TOKYO ]
絶対に勝つ!!ここで負てたら甲子園なんか行けねぇ!
国○寺高校野球部全員がそう願った。
しかしその願いむなしく白球はスタンドへと飛び込んだ。サヨナラ負けだ。
試合後選手たちは無言の帰校。しかし誰一人として甲子園を諦めているものなどいない。全員が互いにそう信じ合っていた。野球はチームプレーが大事だ。
それによってもしかしたら強豪校にも勝てるかもしれない、そういうおもしろさがある。
そしてだからこそ野球はやめられない。
不意にキャプテンが話しかけてきた。
「今日の試合はさぁ…ほんとに惜しかったな!ぜってぇ勝ちたかった!」
このキャプテン海魅は人一倍野球が好きで仲間が好きな男だ。きっと場を盛り上げようとしたのだろう。更に野球の実力もあり名実ともに西東京最強の選手だと俺は思っている。まあ、勝手な思いこみだけど。
「…そうだなぁ」
しみじみと答えたのは山口。うちのチームのリードオフマンだ。とにかく足が速くて誰も彼にかなうやつはいない。
「うんうん」
「坪井…?おれはイエスマンは嫌いだぞ?」
「うんうん」
「うぉい!」
さっきまでのしらけた空気はどこへいったのやらあっという間に賑やかになった。しかしそれも魚屋さんのおばちゃんにうるさいと注意されて終わる。
これはいつものことなので誰も気にしていないし、おばちゃんの方ももはや注意するのを楽しんでいるようにも見える。
「…今日お前んち泊まっていい?」
「…!ん?」
いきなり振れれて言葉に詰まった。海魅…俺が元気ないのちゃんと見てたんだな…さすがだ。
「いいよ」
「やりぃ♪お前の母ちゃん美人だからな。眼の潤い~♪]
目的が不純すぎてもはや怒る気にもなれない。
「名前なんてったっけ?母さん」
「…蒼空」
「いやー美人にはぴったりの名前ですねぇー!」
よかったなトメさんとかじゃなくて。
「じゃ、行こうぜー天!」
[2031年 New York]
文書にはこう続いている。
《外をごらんの通りもはやあなたたちに希望はない。どうしてまだ闘いを続けられるのですか?この犠牲を前にして…。おとなしくあなたたちが引き下がればいいものを。あなたたちに私を止めることはできません。それは創全によって決まった運命。
どうしても闘うというのなら致し方ないことですが
第三次世界大戦の開戦
これを受け入れてもらうほかありませんね。
…それともう一つ。あなた方は私を止められませんがあの男が来たら話は別かもしれません。まあ、あなた方があの男を見つけられて説得できたラの話ですが…
かつての友であり仲間…
私を越えられるのは彼だけだ。それも希望的想像でしかない。
最後に…これは警告だ。
空襲をとめろ 》