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幼少1

[2031年 4/8 ]


ニューヨークにある小さなビルの中で音も立てずに全世界各国の代表者が会談を行っている。全世界と言っても、すでに大半の国が壊滅しているので集まっているのは、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、それに奇跡的に残っているエジプトと東ティモールだけである。世界の強国位しか残っていないなかでこの2ヶ国があるのはやつの気まぐれ…だろうな。あいつにとっては別に深いこだわりもないだろう。

ちなみに日本も国としては壊滅していない。むしろ普通に暮らせているがこの会議には呼ばれていない。それはもはや常識になっている。

そして代表者達は静かに一通の文書を開いたのだった。


《全世界の諸君たちに告ぐ》

この文書の著者は言うまでもない。世界をこのような状況に陥れたそれだ。

世界は一人の人間によって征服されたのだ



[1997年 TOKYO ]

武蔵○市にあるとある病院で大きな産声が上がった。

「おめでとうございます!元気な男の子ですよ!」

ありきたりなことを母親に聞かせたのは看護婦。これもありきたりだ。母親は早く顔を見たいのか顔を真っ赤にしながら首をあげるも、その奮闘むなしく看護婦が外の部屋に連れて行ってしまった。

(こういうのって、顔見せてくれるものじゃないの?)

母の蒼空は不満に思いつつも母親になった喜びをかみしめる。このときはまだその看護婦の不可解な行動も常識なのだと勝手に飲み込んだ。この場に父親がいなかったのがこの家族に与えられた不幸につながった。


数時間後父親が北海道からすっとんできた。肩に白いものがついているのところからして外は雪が降っているようだ。どうりで…手の先が冷える。

さっきから父親がよくやったと何度も言っているようだが全く頭に入ってこない。ただ一つ考えていたのは愛する息子の名前である。今は無事に返却されスヤスヤと隣で眠っている。

父親もそのことに気づいたようだ。

「どうしたんだ?蒼空?」

「え?あぁちょっとこの子の名前のこと考えていて…」

「名前かぁ…そうなんだよなぁ。ぴんとくる名前がなくて結局今日になっちまったんだったな。」

特に口を開くつもりはなかったのだがこのときなぜか蒼空はこう語り始めた。

「この子の名前…天。天がいいと思うの。」

「天かぁ…いい名前だけど…どうして?」

「なんかふと頭の中に浮かんできて…天からの贈り物を今日いただいてるみたいだし…」

カーテンを開くと確かに雪が降っている。

「よし!今日からこいつの名前は天だ!」

「こいつって(笑)息子よ?」


こうして一人の男の子天が生まれた。





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