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PKになった俺は孤立するしかなかった  作者: 北神悠
第一章 白い珍獣と悪魔の樹
5/113

Ep5 魔物を倒す?いえいえ、素材集めです

 作った防具の具合はなかなかに良い

 多少蒸れるので、追加で何箇所か穴を開けたが、他は特に気にならない

 気になっていた重さも、レベルが上がってるからか、全く苦にならない


 防具は保険みたいなものだからな

 なるべくなら、頼らずいきたい




 それから、追加でいくらか魔物を倒したが、充分戦える

 改めて、腰の革袋に入れた回復の丸薬を確認し、数は十分ある

 アイテムボックス内にもストックは入れてある

 

 石斧は今メンテナンスしたばっかりだ

 予備も一本背中にくくりつけてある


 TFOではアイテムボックスから出しても、一分間は使用できない縛りがある

 武器なら、スキルの恩恵を受けれず、アイテムは効果が発動しない

 加工や料理は出来るみたいなんだが、戦闘に対する制限なのだろう




 よし、それじゃあいつに挑みに行くか

 

 オレは、今居た所よりも更に森の奥、つまりは南へと向かう

 マップはないが方角はわかるので、進む方向を間違えることはない




 そして、目の前には、今までの木よりもはるかに大きい木が一本立っている

 周囲には、背の低い草しか生えていない

 幹の太さは、ベビービギナートレントの2倍はあるだろう

 高さは10メートル以上ある

 さらにその上には、HPバーも見える


 識別をかけなくても、俺はこいつを知っている

 ベビービギナートレントの成長した姿、ビギナートレントだ

 名前は安直あんちょくだが、今までのやつとは強さが違う

 まだ早いかもしれないが、ダメだったらまた出直せばいい

 素材はいくらでもそのへんに転がってるしな


 一応識別をかける



 ビギナートレント 

 ランク2

 ベビービギナートレントの成体

 


 前回よりもレベルが上がったからなのか、説明が付くようになった

 そのうち、スリーサイズとかまで分かるようになるのかな

 トレントのスリーサイズに興味はないが

 いやしかし、どこをもってスリーサイズとするのかは気になるな

 どうでもいいけど




 トレント系は見た目は木そのものだ

 目とか口などは外見からは判断できない

 つか、木に目とかあるのだろうか

 まぁ、ベビービギナートレントと戦った感じでは、何らかの方法でしっかりと捉えられていた


 できれば、奇襲で一発叩き込みたい

 βのときあいつと何度も戦ったが、何度か奇襲に成功している

 今のオレはその時よりもさらに低いランクの武器しかないからな


 まぁ、深く考えても仕方ない、やれる限りやろう





 呼吸を整え、しっかりと石斧を握り締める

 静かに、身を低くしてビギナートレントに近づく

 前回戦った経験から言うなら、こいつらはあまり頭はよくない

 気づいているなら、射程範囲に入った瞬間襲いかかってくるはずだ




 後、3m

 既にやつの射程内だが、攻撃は来ない

 体を起こし、一気に間合いを詰める

 そして、体重を載せた渾身の一撃を思いっきり叩きつける

 スキルのおかげで、軌道もタイミングもバッチリだ


 ズガァン


 すごい衝撃がオレの手に帰ってくる

 石斧の刃は10センチも食い込んではいないが、ダメージはちゃんと与えられているようだ

 

 ビギナートレント全体が衝撃なのか、怒りなのか震えている


 食い込んだ石斧を、幹を足で蹴ることで引き抜き、もう一度叩きつける

 場所はもちろん同じ場所

 スキルの助けもあり、寸分違わず直撃する

 さっきよりも、さらに深く刃がめり込む


 しかし、ビギナートレントもただ黙ってやられるわけがない

 枝がオレに向かって振り下ろされる

 慌てて、石斧を引く抜き回避する


 ベビービギナートレントであれば、再び攻撃できたが、コイツはそんなに甘くない

 さらに、地面を蹴って距離をとる

 

 その瞬間、オレがさっきまでいた場所に、何かかが叩きつけられる

 そして、そのままオレに向かってそれは振るわれる


 ベビービギナートレントにはなかった、根での攻撃だ

 ムチのようにしなってオレを攻撃してくる

 それをビギナートレントの周りを時計回りに回りながら、かわし、緩んだところに石斧を当てる


 根の本数は最大で3~5本が限界みたいなので、なんとか捌けている

 あれが体を支えながら攻撃できる限界なんだろう


 場所を移動することで、別の根を動かさなければならなくなり、タイムラグが生じる

 その隙をついて、再び近づき幹に石斧を当てる


 再度、距離をとり、根を躱す

 やることは、同じだ


 何度か根の攻撃を受けたが、丸薬でカバーできるレベルだ

 地面に落ちている、石なども使い牽制していく

 どうやら、無機物は見えないみたいで、いくつかは幹に当たる

 その度に一瞬動きが鈍る

 

 その瞬間を見逃さず、根にダメージを与え、時には近づいて幹をえぐる




 どれだけ戦っただろうか

 既に、最初石斧はぶっ壊れ、予備の石斧を振るっている

 防具は何箇所もベビービギナートレントの板が折れている

 丸薬もかなり使った気がする

 体力もしんどい、やっぱ寝とけばよかったか

 腹も減ったなぁ

 

 満身創痍、まさに今のオレだな 


 だが、そうなるまで戦ったビギナートレントはもっとすごい状況だ

 既に、根は一本がかろうじて動かせる程度だろう

 幹は傷だらけで、一番深いとこは20センチ以上えぐれている


 少し、弱気になっていたが

 あと少しと自分を叱咤しったする


 根を躱し、再び幹に肉薄し石斧を振り下ろす

 その瞬間、今までで一番とも言えるほど大きくビギナートレントが震える


 慌てて、距離をとるが追撃が来ない

 更に離れて上を見上げると、相手のHPバーは消滅していた


「うおぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!! 」


 オレは気がつけば叫んでいた

 激戦だった

 装備もかなり失った

 しかし、それに見合うだけのモノを手に入れた



 


 既に魔物ではではなくなったビギナートレントを切断して、いくつかのブロックに分ける

 それを、アイテムボックスにしまい、家を建てる

 本当は、ビギナートレント材で作ったほうが安全性が高いのだが、立ててる途中に襲われたら結構きつい

 なので、既にほとんど出来ているベビービギナートレントのテントで妥協する


 火を起こし、肉を焼く

 HPは回復の丸薬のおかげでMAXだが、体力は残っていない

 時計を確認すると、30分以上戦っていたらしい

 昨晩の徹夜もたたって、かなりの疲労感がある


 飯を食べ、既に眠気はマックスだが、とりあえず武器だけは作ろう

 この状況で襲われたら、まともに戦えない

 予備の石斧も耐久力は0に近い


 ビギナートレントの丸太を取り出し、柄を切断と研磨で作る

 刃の部分を石を削って作ろうとしたところで、ふと思う

 これ、ビギナートレントで作ったほうが早くないか?


 耐久度は微妙かもしれないが、一応上位素材だし、何より石を削るより木で作ったほうが簡単だ

 眠い頭で、作業していたせいなんだろう

 妥協がひどいが、とりあえず作ってみる



 ビギナートレントの斧

 切れ味:0.4 破壊力:5.4 耐久:70

 品質:1 レア度:2

 ビギナートレントで作った斧、まきとしても使える



 オレの目がおかしいのだろうか

 なんか、予想よりもはるかにいい出来のモノができた

 横に置いておいた、石斧も鑑定する



 石の斧(武器)

 切れ味:0.5 破壊力:3.1 耐久:18

 品質:6 レア度:1

 石で作られた斧。接続部に木の根が使われている



 おいおいおいおい、なんだこれ

 石よりも優れてるってことか

 もう一度、ビギナートレントの斧を確認するが、錯覚ではなかった

 正直、もっとヘボいのができると思っていた

 レア度は全体補正があるから、多少ヘボくても石斧に近い位のものが出来ればいいな位の軽い気持ちだったってのに

 

 まぁ、想定よりもいいものができたんだから文句はない

 しかし、品質1ってなんだ

 確かに眠かったし、疲れてもいる

 妥協して簡単に作った反省点もある


 だが、生産廃人のジョブを持つオレがこんな駄作を作るなんて

 なんかイライラしてきたな

 

 オレはアイテムボックスから薬草を取り出しかじる

 口いっぱいに、苦味と青臭さが広がる

 アイテムボックスから出したばっかりであるため、回復効果はないが、目は覚めた


 そして、丸太を削り出す

 納得いくもんができるまで寝れるか

 オレは、薬草をかじり眠気と戦いながら、作業に没頭した







「できた、、、」

 空が白らむころ、ヒロは一本の斧を天高く掲げ、そのまま崩れ落ちた

 二日間、寝ずに生産と戦闘をし続けたのである

 緊張の糸が切れた彼はそのまま泥のように眠った

 その顔はどこか誇らしげであった



 ビギナートレントの斧

 切れ味:0.6 破壊力:7.1 耐久:125

 品質:5 レア度:2

 ビギナートレントで作った斧、まきとしても使える

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