みおんの涙
「のぎちゃん、ごめん。私の身代わりになって、またこんな怪我をさせちゃって・・・」
面会が許され、病室に入ったみおんは、頭に包帯を巻いて寝ている乃菊に、涙を流しながら謝る。
「いいのよ、気にしないで。私には、みおんを守る義務があるだけだから・・・」
乃菊が優しく言う。
「どういうことなの?どうしてのぎちゃんが、私を守ってくれるの?」
みおんには、乃菊の言うことが理解出来ない。
「それは、乃菊ちゃんの幸せのためなんだよ。みおんちゃんは、大事な友達だから、幸せを掴んで欲しい。そのためには、みおんちゃんが元気でなくちゃいけないんだ」
国也が、乃菊の代弁をする。
「だけど、私のためにこんな大怪我しちゃうなんて、私だって、のぎちゃんにもしものことがあったら・・・」
みおんにとっても、乃菊は大切な存在になっていた。
「田沢さん、みおんちゃんを頼みます」
田沢が国也に促され、みおんを連れて外へ出る。
「私といたら、のぎちゃん、死んじゃうかも。のぎちゃんにとって、私は、疫病神なのよ!」
みおんは、すべてが自分のせいだと思っている。
「違うよ、乃菊ちゃんにとって、みおんが、本当に必要だから、守ってくれてるんだよ」
田沢も、乃菊の行動が、ただの正義感だけではないと思っている。
「命を賭けてまで守る人間なの、私なんかが・・・」
泣き止まないみおん。
「そうだよ。守りたいんだよ、みおんが・・・」
田沢がみおんの両肩を掴む。
「だけど・・・」
みおんの顎を右手で持ち上げ、軽く口づけをする田沢。
「これからは、僕がみおんのことを、ちゃんと守るよ・・・」
もう一度、田沢は、みおんを抱き寄せ、熱い口づけをする。みおんも腰に手を回し、涙を流しながら唇を合わせる。
二人の様子を見ていた国也は、安心して乃菊のところへ戻る。
「みおん、どうだった?まだ落ち込んでる?」
乃菊が聞いた。
「大丈夫だよ、田沢さんがいるから・・・」
国也は、一人で満足している。それが気になる乃菊である。
「ねえ、大丈夫って、どんなふうに?」
乃菊が追求する。
「心配いらないよ、二人は、ちゃんと・・・」
国也が言葉を止める。
「ちゃんと、何?」
中途半端な国也に、乃菊の不満が膨らむ。
「その先は、プライベートに関わるから・・・」
含みを持たせた返答に、イライラする乃菊。
「プライベートって、自分は、見たんでしょ!」
乃菊が止まらない。
「見たけど・・・言えない」
国也は、口が堅い。
「キスしてたの?」
誘導尋問。
「・・・」
口が堅い。
「キスしてたんだ。やったね、みおん!」
嘘をつけない国也。返事をしなくてもすぐにばれてしまった。
「いいな、いいな、みおんちゃんって、いいな・・・」
乃菊は、歌っているかのように言う。
「むううっ・・・」
乃菊が唇を尖らせる。
「何?」
指で唇を差す乃菊。
「怪我人が、何してるの?」
それでも、唇を尖らせる乃菊。
「しかたがないなあ・・・」
国也は、寝ている乃菊に顔を近づける。
「痛たたたた!」
唇を尖らせているだけで頭が痛くなり、乃菊は横を向く。
「早くしてくれないから・・・」
また怒られる国也。
「退院したら、毎日、欧米式の挨拶してやるううう・・・」
国也は、それを聞いて苦笑いする。




