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一次創作短篇集

マクロコスモス、ミクロコスモス。

作者: 紀璃人

私はどうしようもなく独りだった。

この狭く小さな箱庭に安息を求めてなお、広大なる宇宙の孤独からは逃れることはできなかった。


期待を寄せてくれる両親がいる。

他愛のないことをだべり合う友人がいる。

あらゆることを授け、見守ってくれている師がいる。

伸ばした手を取ってくれる人が、発した声を聞き届けてくれる人がいる。


しかし、ただ一度、たった一人と、その距離を測りそこねた時。

それらは宇宙の広がりの如く離れてしまった。

彼らの声はひどく一方的で、どんなに手を伸ばしても、どんなに声を張り上げても、小さな宇宙に浮かぶ私の、小さな主張は届きそうもなく。

彼らが与えていると想っているぬくもりは、小さく広大な隙間に飲み込まれて、私は独り、宇宙の冷たさに震えている。

体と心と、寸分違わず同じ所にいるはずなのに、隔てられたこの距離は、月よりも遠かった。


疲れた私は、何を感ずるでもなく、誰に理解を求めるでもなく。

だた一つの、何者とも違う、小さな小さな個を、ぽっかりと穴の開いた、真空の心に浮かべてしまったのだ。


駅から出ると、月が一人、濃紺の空に浮かんでいた。

家につくと、周りを小さな、星が囲んでいた。

こつんとひとつ、言葉が降ってきた。

誰の言葉か、誰の心か分かったものではないが。

やけに寂しく、輝いていた。


そんな(うた)

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