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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
学園高等部

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最初の慣らし

 翌日。セレーネ達は、セレーネ達の部屋に朝食を運んで貰って部屋で食べていった。

 朝食が終わると、カノンが今日の予定について話していく。


「昨日の情報収集により、この街で重大事件などは起きていないという事が分かりました。加えて、テレサ様がシャルトリューズ卿に確認してくださり、ダンジョンに犯罪集団がいるという情報がない事も確認しました。まだ、いない事が確定した訳ではありませんので、そこは警戒しておく必要がありますが、ダンジョンには入りましょう」

「うん。分かった」

「では、それぞれ準備しましょう」


 カノンとマリアは、セレーネとフェリシアの準備を手伝う。動きやすい服に着替えさせる。そして、それぞれに外套を着させて、その内ポケットに短杖を仕舞う。


「魔術の起動を補助するものです。基本的には必要ないと思いますが、念のためお持ちください」

「うん」

「分かったわ」


 二人の準備を終えたところで、カノンとマリアも手早く準備する。セレーネとフェリシアは、小さな鞄を背負う。この鞄は、セレーネが【空間拡張】で内部容量を増やしているものだ。ミーシャ程の拡張は出来ないが、それでも倍以上の拡張は出来る。

 準備をしているところに、スピカ、テレサ、ルリナが合流する。スピカとテレサは、セレーネ達と同じような服装だが、ルリナは身体のあちこちに金属製の防具を着けており、盾と剣を持っていた。


「ルリナが前に立つの?」

「はい。私はこっちの方が合っているので」

「ふ~ん、あ、そっか。ルリナは、魔力が少ないもんね」

「はい。セレーネ様達をお守りしますので、ご安心ください」

「うん。頼りにしてるね」


 セレーネがそう言うと、ルリナは嬉しそうに笑う。


「私が斥候、ルリナさんが盾、スピカが回復、他の皆さんは魔術での攻撃になります。基本的には、ルリナさんとスピカがお守りしますので、攻撃に集中してください」

「うん」

「分かったわ」

「それでは行きましょう」


 セレーネ達は、レモンカッシュの近くにあるダンジョン通称小鬼の巣窟に向かう。小鬼の巣窟の入口は、ゴツゴツと岩で出来ていた。


「これがダンジョン?」

「はい。これは良くある洞窟型のダンジョンですね。この小鬼の巣窟は、魔物が全てゴブリンという小さな人型の魔物になります。知能は低めですが、人を見るとすぐに襲い掛かってきます。骨で出来た小さな短剣のようなものを使っている事が多いので、十分にお気を付け下さい。魔術全般に弱いですが、時折上位種等が交ざっており、その中には魔術に耐性を持つ種類もいます。それらは私が倒します。基本的には、スピカの傍を離れないように。良いですね?」

「うん」

「分かったわ」


 セレーネとフェリシアは、スピカの傍に移動する。


「テレサ様も十分にお気を付け下さい」

「ええ」

「では、中に入ります」


 先頭にカノン、ルリナ、中間にセレーネ、フェリシア、スピカ、最後尾にテレサ、マリアという順番だ。それでも隙間はほぼ空けずに移動している。

 大分進んだところで、カノンが手を上げて静止させる。


「この先に三体います。お嬢様達の攻撃で先制を取りましょう」


 カノンの言葉に、セレーネ達は頷く。初めてのダンジョンという事もあり、セレーネもフェリシアも緊張していた。

 そうして、少し進んだ先で緑色の皮膚をしたゴブリンが三体立っていた。互いに話しているようにも見える。


「今です」


 セレーネとフェリシアは、氷魔術である【氷弾】を三発ずつ放つ。ゴブリン三体の内、二体二発ずつ命中する。


『ギィッ!?』

『ギギィ!』

『ギッ!』


 負傷していない一体が突っ込んでくるが、それは、マリアが雷魔術【雷撃】で貫かれて倒れた。その間に、倒れた二体のゴブリンに接近したカノンが、二体にトドメを刺す。


(大分使いやすいな)


 カノンが新調したミノタウロスの角で出来た短剣の使い心地を確かめてから、短剣を鞘に納めて、セレーネ達の元に戻る。


「もう少し威力を上げても良いですね」

「うん。でも、魔力の使いすぎは駄目だよね?」

「はい。お嬢様達に関しては、そこまで心配する必要はないと思いますが、一応気にしておいてください」

「分かったわ」


 セレーネ達は再び移動を始める。その中でスピカはセレーネ達に話し掛ける。


「セレーネ様とフェリシア様は、氷魔術が得意なのですか?」

「ううん。水と空間が得意だよ」

「私は言う通り氷が得意よ」


 今使った魔術から予想して訊いた事だったが、予想通りと予想外の答えに、スピカが少し驚いていた。


「空間が得意なのですか?」

「うん。私の研究内容が空間魔術だから。攻撃に使うのは難しいけど」

「それはそうですね。仲間を巻き込む可能性もありますから。氷魔術でしたら、【氷弾】よりも【氷槍(ひょうそう)】を使うのが良いと思います。纏めて狙うのではなく、確実に一体を減らす事を意識しましょう」

「先生からも言われたかも。でも、カノンが危なくない?」

「カノンは大丈夫です。味方の魔術の射線と相手の射線を意識して動く事が出来ますので。それよりも確実に倒す方がカノンのためになりますよ」

「ふ~ん……分かった」


 スピカのアドバイスにセレーネは素直に頷いた。それに対して、スピカは優しく微笑んで返す。


(確かに、カノンが好きになっちゃう理由も分かるかな。一つ一つの動作が可愛いし)


 スピカがそんな事を思っていると、再びゴブリン三体と遭遇した。今度は、スピカの助言通り【氷槍】で攻撃する。氷で出来た槍が二体のゴブリンに刺さり、刺さった箇所から凍結が広がっていく。そのまま二体とも灰になる。その間に突っ込んで来たゴブリンをルリナが首を刎ねて灰にする。


「出来た?」

「はい。大人数相手の場合、数を減らす事が重要になりますので、このようにやっていくのが良いかと。一度に何体も倒すというのは、段々と慣れていった後が良いと思います。魔物相手の戦いに慣れていけば、どのように倒せば良いのかも分かってきます。その中で効率の良さを考えていけば、自ずと同時に倒す方法を見つけられるでしょう」

「ふ~ん、お姉様は同時に倒せる?」

「ええ。出来るわよ。セレーネなら魔術を上手く操って同時に倒す事も出来ると思うわ。でも、スピカの言う通り、もう少し魔物相手の実戦をしてから考えると良いわ。いきなり複雑な事をしようとすると失敗してしまうもの」

「うん。分かった」


 スピカとテレサの助言に従い、セレーネとフェリシアは一体一体丁寧に倒して行く。カノンを初めてとして、全員のサポートのおかげで、セレーネ達の緊張も抜けていき、授業でやるように冷静に攻撃が出来るようになっていた。

 その日は一層、二層で魔物との戦いをしてから街へと戻る。最初からどんどん潜っていく事はなく、浅い階層で少しずつ慣らす事から始めていく。

 そのため初日から研究が進むという事はなかった。

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