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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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セレーネのやるべき事

 魔力生成結晶が完成して一週間が経過した。魔力生成結晶は、全く問題なく機能しており、暴走する兆しや割れる兆しは一切見られない。その状態をセレーネは、マリアナと共に確認していた。


「まぁ、こんな感じ。魔力の生成量からして、私の工業区を支える事は出来るけど、それ以上の魔力消費となると、追いつかないと思う」

「なるほど……では、学術都市を支えるという面では多少心許ないというところですか?」

「環境維持系のものだったら、全く問題なし。ただ魔術機械をいくつも同時に使うとなると生成量が追いつかない。学術都市で何に使うのかによって色々と変わるよ。ナタリアが言うには、魔力不足を補う方法を探すのも魔力をどうやって安定供給させるか考えるのも学習の一環に出来るって」

「確かに、その辺りは学生に自分で考えさせる方が良いかもしれないですね。恵まれた環境にいて、いざという時に思考が出来ないという事は避けたいです。では、環境維持の魔力補給にのみ使用する形でいきましょう。設置するかどうかはセレーネ様がお決めください」


 セレーネの開発であり、これを発表しないという選択をしたため、学術都市に利用するかどうかもセレーネに決めさせる事になる。セレーネが望まないのなら、この話はなしとなる。


「う~ん……倉庫とかの環境維持には利用しておきたいかな。ただでさえ、この街には魔力を吸う機構がいっぱい存在するし、これからいっぱい魔力を使うかもしれないって考えたら大気中の魔力が一気に希薄になる可能性があるからね」

「これまでここまでの数の吸収機構を設置した街はありませんので、これからどうなるかが分かりません。私もその案には賛成です。余剰魔力が大気中に放出されるのであれば、領内の魔力も十分に補給されると思います」


 魔力生成結晶からは余剰魔力が放出される。それが大気中に広がる事で、魔力を吸収して動く魔術機械や魔術道具が一気に稼働しても魔力が枯渇し辛くなる。マリアナのそこの発想には至っていた。


「これを地下に設置するか教員塔の一番上に設置するか。どっちが良いと思う?」

「私としては、地下が良いかと。誘導魔力結晶を埋めれば良いだけなので」

「そう? じゃあ、そうしよう。この誘導魔力結晶に繋げられる魔力かを吸収して実験使う学生とかが出て来たら面白いね」

「迷惑なのでやめて欲しいところですが、そこまでちゃんと魔力を追えるというのは将来有望ですね」


 本来であれば、魔力の安定供給を妨害する事になるので辞めて欲しいものだが、魔力の流れを見て、それを利用しようと考えるという事が出来るのは、研究者としてはかなり有望な人材と言える。実際に誘導魔力結晶の魔力の一部を奪う事が出来たのなら、総合研究室などにスカウトするべき人材となる。

 ある意味では、そこが一つの指標にもなり得た。


「そこから生成結晶の発想に辿り着いたら本当に凄いけどね。取り敢えず、学術都市が完成するまではお預けだね」

「はい。それから、明日から数日は視察です。地下道の最終確認、港街及び造船所の確認、学術都市の開発の進み具合、中央区の開発の進み具合、農業区の作物の生長度合い、工業区の安全確認となります」

「は~い。そうだ。ゴーレムの方で問題は?」

「ありません。ルージュ公爵領、スノーホワイト公爵領、グリーン公爵領より送られてきた報告書にもゴーレムに問題があるという記述は一つもありませんでした。加えて、動作不良などの報告もありません。肥料などに関しても同じく問題なしとの報告書が来ています。集めた報告書をまとめておきました」


 マリアナは、報告書をまとめた紙束をセレーネに提出する。受け取ったセレーネは目を通し始める。


「ありがとう。他には?」

「報告と連絡は以上です。セレーネ様の研究に問題はありますか?」

「ないよ。魔力生成結晶が出来たから新しい研究がしたいなくらい。空間魔術も大分行き詰まってきたからなぁ。何か新しい発想があると良いんだけど。マリアナは何か思い付かない?」

「魔術は専門外ですので。それに思考機のおかげで仕事は捗っていますので」

「思考機か……思考機の改良でも進めようかな。効率的な思考が出来るようになれば、魔術機械ももっと複雑に出来るだろうし。ゴーレムももっと高性能になる。高性能にする必要があるのかは微妙だけど」


 ゴーレムは自立思考し動くもの。高性能にすればするほど、反乱の可能性が高まる。人間に近しい思考をすればするほどに危険性が高まると予想されるため、ゴーレムの改良には慎重にならなければいけない。


「まぁ、思考機の処理速度が上がれば、書類の製作とか諸々の役に立つよね。私のレポートのための資料探しとかが出来るし。そうだ。街作りに必要な道具とかでも良いよ。街灯とか」

「そういったものは総合研究室に注文しますので」

「う~ん……私に回ってこないって事は他の研究員で事足りてるって事かぁ……自分の研究に集中して良いのは嬉しいけど、申し訳なさもあるなぁ」

「それが仕事ですので。研究員がやりたい研究が優先してやるべき事であれば、ナタリアもそちらの仕事をするように言うと思います」

「まぁ、そうだよね」


 セレーネはセレーネのやるべき事。領主の仕事をしっかりとやるために、今のうちにまとめなければいけない事をまとめる。

 ある程度自由にやらさせて貰っている以上、こうした領主がやらなくてはいけない仕事は真面目に取り組むのであった。

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