二人の客人
それから一週間後。セレーネの元に客人がやって来る。その客人は、セレーネも来る事を知っていた人物達なので、迎える準備は出来ていた。応接室にて、客人二名を迎える。
二名とも女性で、片方は緑のツインテール、もう片方は白い長髪の持ち主だ。その面立ちから母親と似たような点を感じ取る事が出来る。
「初めまして、カルンスタイン卿。私はメアリーゼ・グリーン。ヒルデブランド・グリーンの娘です」
「初めまして。私はホノカ・スノーホワイト。ヒナタ・スノーホワイトの娘です。この度は、働き先の斡旋などをして頂きありがとうございます。母より、カルンスタイン卿の力になるよう言われています。医者として働きつつ、お力になれるよう尽力します。夫は、こちらで学術都市ができ次第、転勤してきます」
「そっか。私はセレーネ・カルンスタイン・クリムソン。よろしくね。職場の案内とかは、まだやってない感じだよね?」
「いえ、昨日遅くに着きましたので、先にその辺りの確認はしておきました。既に院長もいらっしゃるようでしたが、すでに話も通して頂けたようで、すんなりと話が進みました。感謝します」
来てすぐに挨拶をするには、少し遅い時間帯になっていたため、ホノカは先に病院の方に挨拶をしていた。院長の座を奪うつもりはないため、一医者として働く事になる。公爵の娘という点で、院長も若干緊張する事になるが、この辺りはゆっくりと慣れていけば良い。
「そっか。まぁ、話を通したのは、マリアナなんだけどね。メアリーゼの方は、まだ魔術師団が完成してないから、ベネットと話して貰う形になるかな。人員募集をしながら、騎士団内の魔術師の育成をお願い出来る?」
「はい。承りました。それと……そのこの場所にテレサがいると聞いたのですが……」
メアリーゼは、少しもじもじとしながら確認する。
「お姉様? う~ん……うん。部屋にいるっぽいね」
「分かるのですか?」
「お姉様も眷属だからね。カノン、お姉様呼んできて」
「はい。少々お待ちください」
カノンは、応接室を出てテレサを呼びに向かう。
「一応、メアリーゼには、これを渡しておくね」
セレーネは、魔術師団を作るために、カルンスタイン領側で用意出来るもののリストを渡す。
「なるほど……学術都市の生徒を引き入れると。魔術師の育成を学術都市の方でやって頂けるという事でしょうか?」
「最低限になるかな。学園よりも専門的にというよりも基礎を重点的にやるつもりだから。魔術師としての課程を通るから、大分戦える人が出来るはず。本格的に魔術師として運用するための訓練はそっちでやって貰った方が良いかもって感じ。ある程度要望とか技術的にこういうのを修めてくれていないと厳しいとかあったら、マリアナとかに要望書として提出して。そこからユイが調整してくれるから。こっちも戦闘魔術に明るい人材が少ないから、メアリーゼが色々と言ってくれると嬉しい」
「はい。承知しました」
セレーネからの説明にメアリーゼが頷いたところで、テレサが応接室に入ってくる。
「お嬢様。テレサ様をお連れしました」
カノンがテレサを連れて来た瞬間、メアリーゼは腕を組み、ツインテールを揺らしながら胸を張ってテレサと向き合った。
「久しぶりね!」
勝ち気な笑みを向けるメアリーゼに対して、テレサは無表情とのまま向き合う。
「そうね。久しぶりね。もしかして、旧交を温めるために呼びだしたのかしら? それならセレーネとの面談が終わってからにして貰えないかしら? この状況ではセレーネもどうすれば良いか悩む事になるわ」
「うっ……あ、相変わらずね……」
テレサから正論を突きつけられ、メアリーゼは少したじろぐ。
「取り敢えず、メアリーゼに伝えないといけない事は伝えたから大丈夫だよ。ちゃんと必要になったら申請してね。後は、お姉様の部屋に行っても良いよ」
「はい。ありがとうございます。これからよろしくお願いします」
「それじゃあ、邪魔になる前に連れて行くわね」
「うん」
「ちょっ、だ、誰が邪魔よ!」
メアリーゼは文句を言いながら、先に歩いているテレサを追う。そうして二人が去った後、残されたホノカは頭を下げる。
「メアリーゼが申し訳ございません。ここに来るまでもテレサに会いたそうにそわそわとしていましたので」
「そうなんだ。何かライバル視してるんだっけ?」
「メアリーゼは、公爵家の娘として上に立つべきという志を抱いていたのですが、テレサはメアリーゼよりも上の成績を取る事が多々あり、メアリーゼはライバルだと睨んでいたのですが……」
「まぁ、お姉様はそこら辺は気にせずマイペースに勉強とかしていそう」
「まさにその通りです。どれだけライバル視しても、こちらを気にしないテレサに対して、どんどんつっかかった結果、現在のような関係になりました」
「うん。全く分からないね。まぁ、別に問題になりそうにないから様子見で良いかな。カノン、ルリナに……って、ルリナも同級生か。なら大丈夫。教えてくれてありがとう。ホノカにも、医療関連で色々と聞きたい事があったら危機に行くね」
「はい。いつでもお越しください。私達の家が出来るまでは、メアリーゼと騎士団の宿舎にいますので」
「うん」
ヒルデブランドの娘メアリーゼ。ヒナタの娘ホノカ。この二人がカルンスタイン領に来た事で、戦力と医療機関補強などが出来た。さらに、ヒルデブランドとヒナタがカルンスタイン領としっかり協力関係を築いているという証拠にも繋がる。
更に戦闘のプロと医療のプロが増える事はセレーネの研究の幅を増やす事にも繋がる。既にセレーネは何を聞こうかと頭を回転させていた。




