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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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リーシア達の帰還

 鳥型ゴーレムの改良と飛行試験などをしていき、一週間が経つとリーシア達が帰還した。シローナが【空間転移】を使っているため、連絡無しに唐突な帰りとなった。


「リーシアちゃん!」


 屋敷の庭に転移してきたリーシアにセレーネは飛びつく。リーシアは、少し押されつつも受け止める。そんなところにセレーネの成長を感じながら、リーシアはセレーネの頭を撫でる。


「何やらあったようですね」


 セレーネの身体と周辺の様子などから、リーシアは自分達が留守の間に何かあったのだと察した。


「うん。ちょっと前に魔王が来たの? そっちに情報とかいかなかった?」

「そうですね。大分隔絶された場所にありますから、その情報は来ませんね……ここで皆が暮らしているという事は魔王は無事に倒せたのでしょうか?」

「うん。初期段階っていうのだったから、倒しやすかったみたい。ちょっと大怪我したけど」

「そうでしたか。それはお力になれず申し訳ありませんでした」

「ううん。皆で協力して切り抜けられたから大丈夫。お姉様も帰ってきたんだよ」

「テレサが? それは頼もしいですね」


 セレーネがリーシアに甘えていると、タイミング良くテレサとルリナが屋敷から出て来た。


「リーシア様。おかえりなさい。ご実家は如何でしたか?」

「ただいま戻りました。くだらない話が多かったです。セレーネの事も話題に上がっていました」

「そうなの? 面倒くさい?」


 セレーネは自分の話題が上がるとなると、面倒くさい内容なのではないかという考えが真っ先に浮かぶようになっていた。それだけ面倒事に巻き込まれているという自覚があった。


「面倒事でしたが、全て断り叩きのめしてきました。既にノスフェラトゥとは関係がなく、独自の家を作っていますので」


 セレーネが自分の家を持たなければ、ノスフェラトゥの方で引き取る事も考えていたが、既にカルンスタインの家名を持っている事もあり、ここはノスフェラトゥが関与するべきではないとリーシアは考えていた。

 リーシア自身は、セレーネの先祖であり、自分の力がセレーネに先祖返りとして開花してしまったため関与する義務があるとしている。そこから遡れば、ノスフェラトゥ全体も関わってくるが、リーシアはクリムソンの家に嫁いでいるという事もあり、自分にだけ責任があると主張した。

 その上で、セレーネが作る学術都市に子供を通わせるという点は良しとした。さすがに、そこまで口を出す訳にはいかないからだ。加えて、吸血鬼という存在が人々に受け入れられ、理解されるきっかけにもなり得ると考えている。そもそも領主が真祖のため、その辺りの理解も得られやすくなるという点も存在した。


「というわけで、セレーネにはこの辺りを把握して貰いたいのです」


 リーシアはそう言って、ノスフェラトゥで話し合った事柄の中でカルンスタイン領に関係している事をまとめたメモを渡した。

 セレーネは、リーシアに寄り掛かりながらメモに目を通す。


「学生として来るなら拒む理由は特にないね。でも、普通の吸血鬼って太陽に弱いんでしょ? 夜間教室を開く必要がありそう?」

「そうですね。太陽光を遮る教室があれば、昼間でも問題ありませんが、出来れば夜間教室が良いと思います。教師も吸血鬼にすれば、大きな問題はないでしょう。その選定は私もやりましょう。吸血鬼が相手なら、適任ですから」

「それじゃあ、その時はお願い。マリアナにも提案して、ユイに制度を作って貰わないと。夜間だと昼間ほど時間が取れないから、大分学習する内容を限定しないといけないかな……その辺りも考えないと。吸血鬼限定じゃなくて、他の人達も入れるようにはしておきたいし。マリアナと話し合ってくる」

「はい。いってらっしゃい」


 マリアナへの提案をしに行くため、セレーネが駆けだし、全員に一礼してからカノンが後を追う。

 残ったリーシア達とテレサ達は解散すること無く会話を続ける。


「そういえば、シローナ様は」

「シローナちゃんだよ。テレサちゃん」


 即座にシローナから訂正を求められたテレサは、素直に訂正して進める事にした。


「……シローナちゃんは、ドラゴンの素材を回収しに行くこともありますよね?」

「そうだね。人使いの荒いお母さんがいるから、痛っ!?」


 シローナが愚痴を言った瞬間に、リーシアから頭を叩かれる。


「それで……それがどうかしたの?」

「いえ、ドラゴンに多く触れてきたシローナ様に、今回のドラゴンの素材を見て頂けたらと思いまして。ナタリアが持って来た論文の中に魔王が率いる魔物の中に新しい魔王の個体がいるというものがあり、セレーネが少し気にしていましたので」

「へぇ~、お母さん、そんな話聞いた事ある?」

「いえ、基本的に魔王の下にいるとするならば、魔王の配下という事になりますので、同等以上の存在に進化する事はほぼないと思います。ですが、その素質を持つというのはあり得ない話ではないかと。シローナであれば、素材を見てこれまでのドラゴンとの違いに気付く事が出来るでしょう。しっかりと調べてきなさい」

「は~い。テレサちゃん、案内してくれる?」

「はい。こちらです」


 テレサは、シローナを素材が安置されている倉庫まで案内しに向かう。


「テレサちゃんは、ここで何をするつもりなの?」

「一応は、調査と脅威になり魔物退治をしながら、風魔術の研究です。しばらくは何もなさそうですので、魔術研究が主になりますね。最近は実戦ばかりでしたので、腰を据えて理論研究が出来るのは嬉しいです」

「そっか。まあ、レール敷設作業の護衛だったもんね。良いものが開発出来ると良いね」

「はい」


 テレサは、セレーネが欲している部分を補助しつつ、自分の研究を進める事にしている。今で言えば、セレーネが知りたい内容を調べるという事だ。

 これまでが常に移動し続けて落ち着く暇がなかっただけに、自分の研究を出来るという事はテレサ自身も喜ばしい事だった。

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