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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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リンド達による視察

 翌日。当初の予定通り地下道の視察が始まる。レッドブラッドと港街を繋げるために考案された地下道は、しっかりと安全かどうかなどをこの視察で確かめられる予定となっていた。

 そのために必要な資料などもセレーネはしっかりと用意している。事前にマリアナと話し合っていたために、準備は完全に整っていた。

 リーシア達はまだ帰らないので、ここの説明はセレーネ自身が行う事になる。

 まず紹介するのは、人が歩く地下道の方だ。その場を歩きながら、真っ先にヒナタがとある事に気付く。


「この床……滑り止めが敷いてあるのですね」

「本当ね。それに効果はそこまで強くないけれど、衝撃吸収までしてくれるみたいよ。大分凝った造りになっているわね」


 ヒナタは素材的な面から、ヒルデブランドは魔術的な面から、地下道に施された安全措置などを見破る。


「はい。転んでも問題ないように色々と調整をしてくれたみたいです。横を魔動列車が通る事になりますが、風を吸収し魔力に変換する機構も取り付けてあります。これでこの地下道の魔術陣は常に稼働する訳です。雨が降り、水が流れ込んできた場合、側溝に水が掃けていくように緩やかな傾斜がついています。そして、側溝の奥には【空間接続】を発動するための機構を取り付け、雨水などを海や川に排出します。これは水が側溝に入った時に機能するものです」

「雨水対策に空間魔術か。セレーネらしい解決方法だな。ここは緊急時の避難路にもなるのか?」


 リンドはセレーネから受け取った資料を読みながら確認する。資料にも書いてあるが、詳しいところをセレーネの口から聞いておきたいためだ。セレーネがどれだけ理解しているのかという事もある。


「はい。そのためにある程度の幅を作っています。外を逃げていたら、遠くからの流れ弾の被害に遭う可能性もありますので。この地下道の壁や天井は、頑丈に作っていますので、余程の事がなければ崩れる事はありません。その頑丈さを作っているのは魔術です。この魔術を理解していれば、簡単に崩す事も出来ます」

「避難路がそのまま罠として機能するという事か。その魔術を相手が理解している可能性はあるのか?」

「いえ、ただの魔術ではなく、複雑に絡み合わせた無駄の多い魔術ですので、そう簡単に分析する事は出来ないでしょう。私もパッと見ただけで、そこに気付くのは難しいので」

「私は分からないわね。見た感じだと、この魔術陣自体も罠な気がするわ」

「あっ、それは見せ掛けですね。そういう風に見えるようにしたみたいです。私も下手な解き方をしたら爆発するんじゃないかって思いましたが、よくよく見てみると、違うなっていうのが分かります」


 魔術陣が複雑になっているため、そう見えてしまう箇所がいくつも存在した。魔術に精通しているものなら、躊躇いを覚えてしまうような仕掛けとなっている。

 この魔術陣の提案はシローナだった。ただ頑丈にするだけでは、解除される可能性があるので、それを躊躇わせるためのものを用意しようという事で提案されたものだったが、それを見たセレーネは完全に意表を突かれた。

 魔術陣を綺麗に分かり易く整える事を絶対としていたセレーネでは、決して思い付かないようなものだったからだ。


「これを分析するとして、それがブラフだという事に気付くまで時間が必要になるか」

「そうですね。分析している時間が既に時間稼ぎの範疇であり、それを見破ってここを通ったとしても、ブラフ云々に気を取られてここを破壊されるという点を見逃す可能性があるというのが、こちらの考えです」

「なるほどな。理解した。明るさに関しては、少し明るすぎる気もするが。夜になれば、地下道から光が漏れるだろう?」

「夜間に避難する場合でも分かり易いですし、こちらの方が壁の上から監視した際に、不審な人物が地下道を通っているという事を発見しやすくなります」

「そういう目的か。なら、これで良さそうだな。この手すりは足が不自由な人向けか」

「はい。端っこになりますが、休みやすいようにしています。足が動かないと大変ですからね」


 かつて足を自ら引き千切った事があるセレーネは、その大変さなどを知っていた。再生する自分と違って、普通の人達は再生などしない。治癒魔術を使われても完全にくっつくかも分からない。

 そんな風に足が不自由になってしまった人達が、少しは楽に休憩が出来るようにとミーシャが取り付けたものだった。初めてこれを見たセレーネは、すぐにその事に気付いた。

 そうして港街の方まで向かい、今度は港街の視察に入る。こちらは、現在も建設工事が続いている。少し離れた場所では造船所も作られていた。


「こちらは海洋調査と漁業用です。こちらの壁に防衛装置が付いており、海からの外敵に備えています。砦もありますので、少しは防衛できるでしょう」

「砦も改修が行われているのか?」

「一応、より頑丈にするという方向で進めています」


 港街の建設に合わせて、海岸線を守る砦の改修も行われていた。こちらは一部分ずつ行われるもので、砦の機能自体は常に発揮し続けるように調整している。

 ガンドルフの名代としてだけでなく防衛大臣として、この部分はしっかりと確認しなくてはいけないと考えたリンドは、港街の視察後砦の視察も行った。


「こちらの兵達は、ベネットの訓練を受けているのか?」

「はい。交代交代で受けてもらっています。今回の魔王襲撃ではこちらでの防衛任務のために動きませんでしたが」

「そこは仕方ないだろう。下手すれば、海からの襲撃もあり得た訳だからな」

「はい。こちらの任務は、砦での海の監視と壁伝いに異常がないかの定期点検、港街の治安維持などとなります。少しやる事が増えましたが、問題はないでしょう」

「そうか。こことレッドブラッドで伝令用に通話機を設置する必要があるな」

「そこは中継基地が出来てからになります」

「考えているなら良い」


 そんな風にリンドによる防衛砦の視察が進んでいった。砦内にいた兵達は、いきなり防衛大臣が来た事もあり、気が気でなかった。

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