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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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出迎え

 翌日。セレーネは、屋敷の前でヒナタとヒルデブランドを待っていた。傍にはマリアナ、リンドの他にテレサがおり、後ろにはカノン、ルリナが控えている。


「セレーネ、体調は問題ないのか?」

「はい。仕事も出来ていますし、スピカからも問題なしと言われています。会合も問題なくできます」

「そうか。ところで……」


 リンドは、言葉を途切らせてセレーネの腰辺りを見る。それに釣られてセレーネが自分の身体を見下ろすと、そこにはユニコーンの子供の姿があった。


「あれ? いつの間に。また外でゴロゴロしたでしょ? 身体に草が付いてるよ」


 セレーネに甘えに来たユニコーンの子供を、セレーネは優しく撫でていく。ユニコーンは、気持ちよさそうにしながら甘え続けた。そこにクロもやってきて、自分も撫でてと言わんばかりに顔を前に出す。


「全くクロも甘えん坊は変わらないね」


 セレーネがクロとユニコーンの子供を撫でていると、母親ユニコーンが迎えに来る。それに気づいたユニコーンの子供は、最後にセレーネにたっぷりと甘えてから、そちらに駆け寄った。

 ユニコーンが移動した事でクロも一緒に去っていく。


「何度見ても驚愕だな。聖獣がここに住んでいるとは」

「まぁ、これも予定外ではありましたけど。あの子達がこれを望んでくれたからですしね」

「それを望まれるだけの信頼関係を築けた事を誇るべきだな。そもそも、ここ何百年もこんな事は起こりはしなかった。もしこれが出来たなら、レッドブラッドが出来る前にここに街が出来ていただろう。悪意を持ったものにだけは気を付けておけ」

「はい。そのつもりです。ユニコーンもそういった悪意には敏感だと思いますしね」


 セレーネの視線の先ではクロとユニコーン達が追いかけっこをしていた。メイド以外の遊び相手が出来たクロは、いつも以上に楽しそうに遊んでいる。

 だが、それでメイドが解放されたという事はなく、ユニコーンの子供もメイドに懐いているため、クロとユニコーンから望まれてメイドも追いかけっこに加わるという事がある。

 そして、実際に視線の先ではメイドが全力疾走で追いかけていた。


「ここのメイドが常に健康的でいられる理由はあれか」

「まぁ、私達の世話や屋敷の維持に比べたら、かなり良い運動にはなっていると思います。それにかなり体力も付いていますし」

「ルリナも加わったらどうかしら? 走るの好きでしょう?」

「テレサ様のお世話がありますので」


 犬人族であるルリナは走るのが好きではある。だが、それ以上にテレサの世話をしなくてはいけない専属メイドだ。テレサは、セレーネ以上にお転婆であり、いつの間にか置き手紙を残してどこかに行っているという事もあるので、なるべく一緒にいなくてはいけないと考えていた。


「おっと、来たようだな」


 屋敷の門が開き、魔動車が入ってくる。セレーネ達の前で止まった魔動車からヒナタとヒルデブランドが出て来て、すぐにセレーネの元へと駆け寄った。


「セレーネさん、無事なようで良かったです」

「魔王が出たって連絡が来た時は本当に驚いたのよ。何事もない……とはいかないものよね。うちの領の方から飛んでいったと聞いているわ。こっちでも情報は集めているところだから、その調査報告が入ったら送るわね」

「ありがとうございます」


 魔王の進軍ルートなどを調査するために、ヒルデブランドは自分の領地に対して調査の命を出していた。その調査が一朝一夕で終わる訳もないため、この報告は後日となる。


「ところで、あの馬って……」

「あ、はい。ユニコーン。聖域の聖獣です。先日から、ここに住んでいます。一応人の目に触れる事は了承していますが、不用意には近づかないようにお願いします」

「まぁ、そうよね」

「ユニコーンの力などには興味が引かれますが、それが原因で仲が拗れるのは避けたいですからね」


 セレーネのお願いに、ヒナタもヒルデブランドも即座に頷いた。この辺りは大人としての分別がしっかりと付いている。無理に接触して怒りを買う事は避けなくてはいけないと理解していた。


「それとテレサもこっちに来ていたのね」

「お久しぶりですね」

「はい。ヒナタ様もヒルデ様もお元気なようで安心しました。妹のセレーネが大変お世話になっております。領主としては未熟な身ですので、これからも補助して頂けると幸いです」


 王城でのパーティーなどで顔を合せる事もあり、テレサは二人と知り合いだった。家格的にはヒナタとヒルデブランドの方が上であるため、テレサの口調も丁寧なものとなる。


「まぁ、その辺りはマリアナがしっかりとしてくれているわよ。テレサはもう仕事は全部終わったのかしら?」

「はい。私の担当していた護衛は全て終わり、所属も総合研究室となりました。そのためこれからカルンスタイン領にて生活する事になります。どちらかというと研究よりも調査の方がメインとなる活動をするかと」

「確かに、テレサはそちらの方が向いていますね」

「旧交を深めるのは良いが、まずは予定通りの会合を済ませてからだ」


 ここでリンドが口を挟む。このままでは玄関前で世間話をして終わりそうな雰囲気になっていたからだ。


「それもそうですね。ウィリアムは、まだこっちに来ていないのですか?」

「魔動列車を使っても後一日は掛かるだろう。部隊の編制もあったからな」

「では、私達がこちらにいる時に来る事になりますね。では、ウィリアムを迎えやすくするために、会合の方に移りましょう」

「はい。では、中にどうぞ」


 今回の会合は、テレサも同席した形になる。その理由は、領の状況がどのようなものなのか、他の領との付き合いはどの程度のものなのかを確認するため。

 テレサがカルンスタイン領にて何をするべきか。それを見定めるのに必要な事だった。

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