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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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住民の避難

 セレーネは、鳥型ゴーレムから得られる情報をしっかりと確認する。


「カノン。魔王はいる?」

「分かりません。私も見たことがありませんので。ですが、複数の魔物が統率の取れた動きで移動している。これは魔王の特徴だと思われます」

「そっか。ベネットに情報を共有して。私は役所に行って、皆の避難をしてくる。転移装置の設置をもっと早くやっておくべきだったよ。場所の選定とかで色々と先送りになっちゃってたし……」

「レッドグラスの方の土地は確保されているようですし、この騒動が終わったらすぐにでも着手して良いかもしれませんね。私はベネット情報を共有した後に、こちらでお待ちしています」

「分かった。じゃあ、クロ達にも声を掛けないと」


 カノンが窓から飛び出したのと同時に、セレーネは【空間転移】でユニコーンの厩舎に転移する。


「クロ!」

「にゃ~」


 セレーネの呼び掛けにクロはすぐに答えて近づいて来た。


「ここが危険になるかもしれないの。レッドグラスに避難してくれる?」

「にゃ~」


 クロは首を横に振って鳴く。そして、後ろにいるユニコーン達を見た。その動きだけで、カノンがいなくてもセレーネにはクロが何を言いたいのか理解した。


「ユニコーンを守ってくれるの? そっか。ありがとう。でも、無理はしちゃだめだよ?」

「にゃ~!!」


 セレーネはクロの意志を尊重し、ユニコーンを任せる。すると、厩舎からユニコーンが出て来る。そのユニコーンの姿を見たセレーネは、魔王がいるかもしれない現状で、最も有効的な手段がある事に気付いた。


「後で、骨の力を使った浄化をしたいの。協力してくれる?」


 セレーネが頼むと、ユニコーン達はセレーネに顔を押し付ける。それが肯定の返事だとセレーネは判断した。


「ありがとう。また後でね」


 ユニコーンに感謝してから、セレーネは役所に転移した。役所前の広場には、多くの市民が集まっていた。そこにパニックなどはなく、しっかりと統率が取れている。

 その立役者は、前に立っているミュゼルとユイだった。マリアナとフィアンナは、役所の職員に指示を出して避難を進めていた。

 マリアナはセレーネが来た事に気付いて即座に駆け寄る。


「セレーネ様」

「魔王が出たかも。魔物が統率を取って、こっちに来る」

「将軍型の魔王という事ですね。姿は見えましたか?」

「ううん。まだ確認してない。でも、先に避難だけしておこうと思って。港街の方は?」

「幸い、今日は工事が休みの日でしたので、こちらに来ておりました。避難が遅れている人の確認も済み、全員がここに集まっている事も確認済みです。避難するのは、街の住人のみとなります。冒険者の方々は異常事態が起きたのなら、手伝うと申し出てくださいました。報酬を支払う事になりますが、魔王が出たのでしたら人は必要ですので追加報酬もだしましょう」

「だね。マリアナも避難してくれる? そのまま王都にこの情報を伝えて欲しい。応援が来るまでに終わるかもしれないけど、万が一があるから」

「かしこまりました。では、ルージュ公爵領にフィアンナを送りましょう。ルージュ閣下らが何も知らず来られると問題です」

「そっか。フィアンナ頼める?」

「お任せ下さい!」


 セレーネは先にフィアンナをルージュ公爵領に転移させる。そして、ミュゼルとユイが立っている立ち台に上る。


「セレーネ。問題ないの?」

「大問題。パニックになるかもしれないけど、しっかりと伝えないとね」


 ここで適当な理由を付けるよりも正直に言った方が良いとセレーネは考えていた。


「注目!!」


 マリアナが声を上げると、市民全員がセレーネを見る。かなりの圧がある光景だが、セレーネは全く臆していなかった。


(この状態でミュゼルが頑張ってくれていたのは凄いかも)


 こういった事が苦手なミュゼルが矢面に立って頑張ってくれた事にセレーネは嬉しさを覚えていた。


「今、魔王が生まれた可能性があるの」


 セレーネの言葉に、広場に市民達が響めく。その響めきをセレーネは手を鳴らすことで鎮めた。


「静かに! ここでざわざわしても何もならないでしょ! まず、皆をレッドグラスに避難させる。そこからは、そっちの指示に従って行動して!」


 セレーネの指示に困惑する市民達。だが、避難するのにここで長く演説する時間はない。セレーネはマリアナ達が市民達の中に入ったのを見て、魔術陣を広げる。そして、市民全員を一気に転移させた。

 全員を避難させた後、セレーネはミュゼル、ユイ、メイ、ユーリ達メイドの方を向く。


「皆もレッドグラスに避難して」

「セ、セレーネちゃん達は……?」

「私達は戦力として残る。ユニコーン達は骨があるから残るだろうし。二人は、皆を導いて。マリアナだけじゃ無理。他にもやらないといけない事があるから。でも、二人がいれば、皆も迷わない。さっき皆を導いてくれていたようにね」


 それでも不安げな表情をするミュゼルに代わり、ユイが前に出る。


「大丈夫なのよね?」

「分からない。でも、負けるつもりはないよ」

「……分かったわ」

「ユイちゃん……」

「セレーネとフェリシアを信じましょう。私達では戦力にならないもの。適材適所よ」

「うん……」


 ユイの説得でミュゼルは渋々頷いた。セレーネは、ユイに目で感謝を伝えてから、メイやユーリ達に視線を移した。


「二人を支えて」

『はい!!』


 全員の返事を聞いたセレーネは、ユイ達も転移させる。そして、【空間転移】で屋敷の自室に戻った。自室には既にカノンが待機していた。カノンが首を出すので、セレーネは血を吸って魔力を回復させる。


「ベネットは?」

「対魔王想定で動いています。ナタリアとフェリシア様、スピカも合流し万全の備えを作ろうとしています」

「そっか。魔王は確認出来ない……でも、魔物はこっちに向かってきてる。この情報をナタリアに共有は?」

「はい。こちらの情報をあちらの思考機にも届けられるようにナタリアが調整しました。あちらでも【空間探知】の情報を確認出来ます。勝手をしてしまい申し訳ございません」

「ううん。寧ろありがとう。魔物の発生位置は……聖域付近か。それなら、届くね。ユニコーンの浄化を使う。皆を中に入れて」

「はい」


 まずは敵の弱体化。その後に殲滅。セレーネは着実に魔王討伐に向けて動き出す。

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