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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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魔術陣と骨の分析

 翌日。セレーネは魔術陣の分析を進めていき、夕方になる前に終えた。それまで常に集中状態だったため、固まってしまった身体を解していく。


「ふぅ」

「お疲れ様です」


 カノンが差し出した水を飲み、セレーネは一息つく。


「基本的には、あらゆるもの清浄化。この清浄化は有害な物質を排除するのが目的。有害っていうものの基準が割と大雑把なんだけど、自然の大気って感じ。街中の空気質よりも綺麗だよ。これが人間とか他の動物に有害かっていうと、そうでもない。

 後は、魔物に対する弱体効果。これの効果範囲はかなり狭いんだけどね。大体この骨がある場所くらい。つまり、この部屋だね。聖域は、これが少し押し広げられてるみたい。多分、ユニコーン達の儀式魔術かな。私達がいなくても、そのくらいまで効果を押し広げる事は出来るみたい。

 ただ、本当に小さな効果みたい。私達が祈りを捧げて儀式魔術を発動したら、その効果が強くなるっぽいかな。これがこの前の魔物が弱体化する浄化に繋がるかな」


 セレーネは、分析した結果をカノンと共有する。カノンに対して、この魔術陣が無害なものだという事を伝えるためだ。セレーネの安全が第一であるために、仮にセレーネに対して有害である事が分かれば、即座にセレーネの居室を離れた場所にするように進言するつもりだった。

 セレーネもカノンがそういう人間である事を知っているため、安心させる事が重要だと気付いていた。


「清浄化の範囲は、どのくらいになるのでしょうか?」

「結構広いかな。これは聖域と同じくらいだから、大体学術都市予定の場所にも掛かると思う。ただ、半分くらいだけどね。ここから押し広げるように調整も出来るから、その辺りは都度調整して、学術都市も覆えるようにしたいかな。最終的には、領内に広げたいけど、そこまで力の行使が出来るかどうかって感じだね。この魔術の中心は骨だから」

「骨が魔力結晶と同じ役割になるでしょうか?」

「うん。この辺りは骨の分析をしたい感じかな。機能の内にユニコーンに骨を傷つけない範囲で分析する許可を貰ったから、分析用の器具を入れようと思う。そうだ。屋敷内の空気質と水質の分析は終わったかな?」


 聖域がここに移ったとも考えられるため、この屋敷内で利用する水などが、聖域のものと同質になる可能性があった。それに対して問題がある訳では無いが、一応調べておく必要があるとセレーネは考えていた。


「はい。お嬢様が集中なされている間に、ミュゼル様がまとめて持って来てくださりました」


 セレーネは魔術の分析に全神経を集中させていたため、ミュゼルがやって来た事にも気付いていなかった。


「そっか」


 セレーネは、カノンが渡してくれるミュゼルがまとめた分析結果を読んでいく。


「やっぱり、聖域の水とほぼ同質になってるね。聖域の方の水質の変化も注視しないとだね。さてと、部屋の改装は?」

「既に終えています。このくらいの改装であれば、私達でも可能ですので」

「それじゃあ、魔術陣を改良しに行こうか」

「はい」


 カノンを連れたセレーネは、骨が安置されている部屋に入る。魔術陣自体は機能しているが、若干効率が悪くなっていた。カノンは一度部屋の外に出て、セレーネが一人だけ部屋に入る。窓を塞いだ事で、完全に暗闇になるはずだが、部屋の隅から隅まで見えていた。


「骨が光ってる? でも、灯りがあるみたいな感じじゃない。部屋全体が仄かに発光してる感じかな。やっぱり色々と謎がある骨だね」


 疑問に思う事が複数あるが、その謎を一旦端に置いて、魔術陣の交信を行う。一旦全ての魔術陣を破壊し、直後に整えた魔術陣を張る。この張り替えの作業は一秒も掛からずに終わった。だが、一瞬にしても魔術陣が破壊された事により、骨に影響が出る可能性があった。

 なので、セレーネは張り替えが終わった後もジッと骨を観察する。一分、二分と時間が過ぎても、骨に異常は出てこなかった。


「大丈夫そうかな。効果範囲を広げた影響もなさそう。結局中心となる骨の周りは環境的に変わらないから、問題はないかな。カノン良いよ」


 セレーネから入室の許可を得たため、カノンが戻って来る。周囲の魔術陣が変化している事に気付き、張り替えが上手くいったと認識していた。


「問題はないようですね」

「うん。あまり骨の近くには行かないでね。清浄化の効果が強く出てるから。それに魔力が濃い? これ自体は向こうでも似たような感じだった気がするから大丈夫だと思うけど」

「長居はしない方が良さそうですね。分析道具の設置はしていないのですか?」

「だって、重い物も多いでしょ。カノン、手伝って」

「はい。分かりました」


 セレーネは【空間倉庫】からゴーレムに分析道具を持って来てもらい、それをカノンと共に設置していく。この分析道具の内容は、【座標指定】の範囲内にある物質の魔力濃度を測定するというものだ。

 魔力がどれだけ集まっているかの測定が出来るものであり、これをセレーネに対して行うと、周囲との魔力の差が分かりやすくなる。

 魔力の多さを視覚化出来るという事で、学術都市でも導入するか検討をしているところだった。


「これで良し。後は分析結果を待つだけだね。これは私の私室にある思考機と繋げたから、そっちで確認しよう」

「はい」


 私室に戻り、思考機に映し出される分析結果から、骨が魔力結晶とほぼ同じ性質である事に加えて、魔力結晶よりも魔力を多く蓄え、多く吸収する性質を持つ事が分かった。魔力結晶は無理に魔力を引き出せば割れるが、その心配すらない程の速度で魔力を補給すると考えられる。

 その事から、余計にその骨が何なのかという疑問がセレーネの中に残る事になった。

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