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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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イリステラのお気に入り

 セレーネは、ライルとイリステラを連れて屋敷に入り、二人にあてがう部屋を案内した。二人で使うには十分な広さがある客室だ。二人の使用人達用の部屋も近くの客間にしている。

 さすがに、屋敷から少し離れたメイド達の宿舎では駄目だろうとセレーネ達が配慮した結果だ。


「良い部屋ね」

「気に入って頂けたのであれば良かったです。それでせっかくの新婚旅行ですが、お義姉様は、ここからどうしますか? お兄様はベネットに街の防衛設備などを見せて貰うようですが」


 ライルの予定は、既に決まっていた。街の防衛がどのように行われるのかを確認したいと言ったため、マリアナと相談してベネットに案内させる事にしたのだ。

 妹の命を守るための設備がどうなっているのかは正確に把握しておきたいという兄心故のものだ。


「そうね。ライル様に付いていくよりも、妹が暮らしているこの屋敷や執務室などを見たいわね」


 イリステラも妹がどのように暮らしているのかが気になっているため、屋敷の案内の方を頼む事にした。この辺りは似たもの夫婦だった。


「では、俺はベネットの元に向かう」

「うん。いってらっしゃい。あっ、ちゃんと夕食は用意するから、こっちに帰ってきてよ?」

「ああ、分かった」


 ライルはセレーネの頭を撫でると、フィアンナの案内でベネットの元へと向かって行った。それを見送ったセレーネは、イリステラの案内を始める。フェリシアとユイは、それぞれの仕事に戻っていった。

 案内は、セレーネとミュゼルで行う。付き添いはカノンが務める。


「こちらがミュゼルの居室です」


 ミュゼルが普段から暮らしている居室に入ると、細かく埃などを確認していく。


「綺麗に掃除はされているみたいね」


 そんな確認をしているイリステラは、タンスの隙間から出て来たスライムに驚いて固まった。掃除スライムを直に見たのは、これが初めてだったからだ。


「これが掃除スライムね。部屋の掃除に活用しているって話だったけれど、こういう隙間を綺麗にしてくれるのは有り難いわね」


 イリステラは、しゃがみ込みながら恐る恐る掃除スライムを突っついていた。その感触に少し驚きながらも楽しんでいた。


「スライムの感触がお気に召したのであれば、保湿スライムは如何ですか? 結婚祝いとして温調スライムもお付けしますよ」

「メイド達が話していたわね。ちょっと試させて貰おうかしら」


 セレーネは【空間倉庫】から保湿スライムと温調スライムの瓶を取り出して、イリステラに試して貰う。イリステラは床に座り夢中になりながらスライムを触っていく。


「いいわね。保湿スライムも良いけれど、温調スライムが気に入ったわ。丁度良い温かさを維持できるのは魅力的よ。この子と一緒に寝ても大丈夫かしら?」

「問題はありませんが、温度は、なるべく低い方が良いかと」

「分かったわ。この子の管理はどうすれば良いのかしら?」

「基本は瓶の中に入れておけば大丈夫です。部屋の中に放し飼いでも、基本的には問題ありませんが、どこに行ったか分からなくなる可能性がありますので、利用しない時は瓶に入れておく事をおすすめします」

「脱走する可能性はあるのかしら?」

「基本的にはないです。この部屋に居てと言えば安心だと思います。保湿スライムは、基本的に瓶に入れておいて良いと思います」


 保湿スライムは、基本的に水を使った仕事をする人が割れないように手の潤いを保つために使われる。その他の利用者は、必要になった際に保湿スライムを瓶から出して手を突っ込めば良い。

 そのために基本的には瓶の中に入れておいて良いのだった。温調スライムに関しては、必要な時は人によって違うため、保湿スライムと違って瓶の中での保管が向いているかは分からなかった。


「温調スライムに関しては、熱を出した際に氷嚢代わりに使う子ともあるかと思いますが、その際には布で包むことをおすすめします。下手すれば窒息ですので」

「確かに危険性はあるわね。あなた達もそういう風に使っているのかしら?」

「いえ、私達は免疫力が高いので、そもそも風邪に掛かることがほぼありません。私は一度もありませんし、ミュゼルも眷属になってからは風邪を引いてないでしょ?」

「う、うん……引いてないよ……」

「それは羨ましいわね」


 イリステラはそう言いながら、保湿スライムを瓶に入れて蓋をする。温調スライムは温かい状態で抱えていた。春が近いとはいえ、まだ寒い日が続いているので、ほんのり温かい状態が心地良いのだ。


「一旦この子は置いて行こうかしら」

「では、一度部屋に戻りましょう」


 一度イリステラの客室に戻り、保湿スライムを置いてから、執務用の屋敷へと向かう。温調スライムの温かさを気に入ったためか、温調スライムだけは抱えて歩いていた。


「こっちが執務用の屋敷なのね。向こうと比べると小さいわね」

「仕事だけの場所ですから」

「こ、こっちに、いつも使っている作業部屋があります……」

「ミュゼルが何をしているのか気になるわね」


 セレーネ達は、ミュゼルが使っている調査魔術道具と繋がった思考機のある部屋へと来た。


「思ったよりも書類だらけね。しっかりと整理整頓されているのは偉いわね」

「み、皆も使うから……」

「だから、ちゃんと整理しているのね」


 イリステラは、しっかりと仕事場を整理しているミュゼルを褒めるように頭を撫でた。その間も片手で温調スライムを抱えている。


(温調スライムは、かなり気に入ってくれた感じかな。保湿スライムは、ちょこちょこしか出番がないし、今の季節に持ち歩くならこっちの方が良いもんね。サウナ用に調整した温調スライムもあげるか……でも、あれって、普通に火傷するんだよね……専用の檻にいれないと危険だし、下手に普通の温調スライムと間違えると大怪我の原因になるしなぁ……よし。やめておこう)


 セレーネはイリステラが気に入っている温調スライムを使ったサウナを提案しようと考えたが、下手な使い方をすれば大怪我のもとになるために諦めた。

 ただし、せめてここでは楽しんで貰えおうと浴場に作られているサウナを紹介すると決めた。

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