表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

354/423

それぞれの経過報告

 地下道作りは、リーシア主導の下で着実に進んでいた。

 一日休みを挟んで、様々な確認事項や街の様子、聖域の様子などを確認して一週間が過ぎていった。

 今日は研究前にフェリシア、ユイ、ミュゼルから報告書を受け取った。


「昨年との比較も一緒に入れておいたわ。その結果だけれど、基本的に昨年との大きな違いはなかったわ」


 フェリシアの報告を聞いて、セレーネは全ての報告書を読んでいく。内容的にはフェリシアの言う通りだが、大きな差がないだけで差自体は存在する。それがどのような意味を持つのか、セレーネはしっかりと分析していた。


「ちょこちょこ差があるね。今年の方が雨は多かったんだ。気付かなかった……」

「セレーネは外に出ない日が多すぎなのよ。クロに誘われないと出ないでしょう?」

「ユイだって、籠もる時間が長いってメイから聞いたよ」


 セレーネの指摘にユイは顔を逸らす。逸らした先にはミュゼルがおり、見られたミュゼルが若干困惑していた。


「一応、冬場も雨が増えてはいるわ。湿気による不快感や部屋干しをせざるを得ない状況にメイド達から不満が出ているそうね。マリアが言っていたわ」

「部屋干し? そんな大変?」


 セレーネは当事者の一人に当たるカノンに確認する。


「乾きにくくカビの危険性もあります。お嬢様の場合、服から水分を抜くという離れ技で解決する事がほとんどですが、多くのメイドはそんな事は出来ません。加えて、お嬢様の乾かし方は若干服が傷みます」

「むぅ……まぁ、それは置いておいて。服が傷まないくらい自然に乾燥できる魔術か魔術道具を開発しようか。フェリシアが」

「私なのね……まぁ、良いわ。ナタリアさんに相談しておくわ」

「お願いね。さてと、ユイの方はどう?」


 雨量などの報告を受け、その確認も終えたので、今度は個人で行っている事に関して聞いていく時間となった。


「大体の規則と教育課程は終わったわよ。後は絶対に必要なものと自由に学ぶようにした方が良いものの最選定ね。そこが終われば、一応完成かしら」

「そっか。最終的にはマリアナの確認を受けるようにね」

「ええ。分かったわ」


 学術都市において、絶対に学ばなければならないものなどの選定を最後に残し、規制しなければならない内容などをしっかりと作り出していた。学術都市がどういう場所なのかを考え、学生にはしっかりと意識させないといけない事を丁寧まとめていた。

 この辺りはマリアナが最終的にまとめるので、後はマリアナに任せるという事になった。


「ミュゼルは?」

「え、えっと……魔術結晶の量産に目処が立ったら、量産できるだけの準備が出来たよ……外部部品による機能の追加で調整する事にしたから、本体を買っても他にも買う物が出ちゃうの。マリアナは、それが良いって言っていたけど……」

「それで良いと思うよ。結局こっちが黒字にならないと、更なる開発なんて無理なわけだし。本体自体は割と簡素な造りをしてるから、外部部品のない折り畳み型と外部部品を取り付ける事を前提に作った通常型を売るって形が一番良いと思う。まぁ、結局は私が【思考演算】の魔術結晶を簡単に量産出来るようにならないといけないって事ね。ちょこちょこ最適化とかも繰り返して、自動で製造出来る魔術道具もほとんど設計出来てはいるから、もうちょっと待ってね」

「う、うん。で、でも、セレーネちゃんの研究を優先してね……領の運営に必要でしょ?」

「うん。そうする」


 現在販売を想定している撮影機は、持ち運びに特化した折り畳み型と様々な事への実用性などを考えた通常型の二種だ。通常型には、拡大用の魔術陣を組み込んだ外部部品などを取り付けられる。

 映像記録機能は組み込まれていないため、写真のためだけのものだ。映像に関しては、【投影結界】を使ってしか見る事が出来ないために、現状売り出しても意味がないのだった。

 写真の方は印刷機を売り出すために問題ない。


「フェリシアは?」

「諸々の研究を手伝いながら、少しずつ港の防衛用魔術道具が完成してきているわ。海からの侵入者への対抗としては、十分に仕上がってきていると思うわよ」


 フェリシアは、ナタリアの研究を手伝いつつ港の防衛用魔術道具を開発していた。基本的に思考機での制御になるが、海からの外敵をしっかりと排除出来るように作られており、セレーネの【空間圧縮】とはまた別の意味で凶悪なものとなっている。


「そっか。それじゃあ、私も肥料と家畜の病気対策に移るかな。魔術薬の研究は全部調合しないと分からないのが難しいところだよね」

「なら、私達も仕事に戻るわ。カノンさん、セレーネをお願いするわね」

「はい。おまかせください」


 フェリシア達もそれぞれの仕事に戻っていく。セレーネは屋敷の実験室に来て、カノンにより魔術薬用の装備に着替えさせられる。髪もしっかりとまとめて、目にも防護ゴーグルを掛けている。

 既存の魔術薬の調合ならまだしも新しい魔術薬を開発する際には、何が起こるか分からないためにこの装備をしておいた方が良いのだ。

 真祖であるため、どうせ再生するのだが、それで許容して良い問題と悪い問題がある。これは悪い問題だ。実験の結果次第では、しばらく倒れる可能性があるからだ。

 セレーネの現在の立場上、それはかなり良くない。そのためにカノンは絶対にこの装備をさせているのだ。

 セレーネは必要な素材を取りだして、下処理を始める。葉をすりおろし、実を刻み、抽出などをしていく。初期段階は、大体化学の実験と変わらないような事ばかりをしている。どの状態でどの処理をするのが、一番成分を取り出せるかを検証しているのだ。

 そういった下処理などを終えて、それらの配合割合などの検証などが始まる。この段階になると、セレーネは近くの紙に様々なメモを取っていく事になる。

 カノンは、散らばるメモを回収して丁寧に清書をしていく。セレーネとしてはどちらでも良いのだが、結局丁寧にまとめた方が見やすいためカノンに任せていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ