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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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色々なアイデア

 細かい打ち合わせもしていき、ヒナタとヒルデブランドとの会合が終わりを迎える。

 そして、翌日からルージュ公爵領、スノーホワイト公爵領、グリーン公爵領に貸与するゴーレムの製造していく。

 それぞれに五体の貸与になり、セレーネが【空間転移】で現地に赴いて、マスター登録も含めて最終作業をしていくために、全てを納品するのに三週間掛かった。

 諸々の作業が終わったためセレーネは、一時的に休みを与えられていた。その休みの中、セレーネは駅の図面と睨めっこをしている。図面の隣には、今日届いたジェニファーからの手紙があった。それは先日セレーネが図面を見ている時に気付いた事をまとめて提出した手紙の返事だった。


「そちらの図面は、元々の図面とは違うようですね」


 お茶を用意したカノンが図面を覗きこんでそう口にした。


「うん。ジェニファーが、すぐに修正してくれたやつ。中間が整備場で、その奥が物資を降ろす駅。こうしたら、線路を挟んで荷運びをしないでいいでしょ?」

「なるほど。ここは現地からの意見が必要になるものですね。ジェニファーさんは、整備場が中間だと駅内がうるさくなると思ったのでは?」

「うん。手紙にもそう書いてあったけど、荷下ろし件を失念していたとも書いてあるから、私の意見を聞いて気付いたみたい。この辺りを理解してくれるのは助かるよね。それと地下道に魔動列車を走らせるって話を送ったら、その設計図を描いてくれたよ。個人的に」


 ジェニファーは、地下道に魔動列車を走らせるという話を受けて、軽く魔動列車の設計図を描いて、セレーネに送っていた。さらに、地下道に関する事でいくつか懸念事項も添えられている。

 セレーネはそれをカノンにも見せる。


「なるほど。魔動列車が移動する事による風圧が地下道内に撒き散らされると」

「うん。人も一緒に歩くなら、そこが危ないかもしれないって。風圧で倒れる人が出てもおかしくないみたい。だから、基本的に完全分離しつつ風を防ぐ結界を張る事をおすすめするってさ。地下道はリーシアちゃん達が頑丈に仕上げてくれるけど、ちょっとここら辺を考慮しないとかな。風の吸収結界でも作ろうか」

「例のエネルギー変換をしていくものですか?」

「うん。常に他のエネルギーに変えるやつ。風が持つ運動エネルギーを魔力に変換して、地下道の魔術陣を維持するって形」

「なるほど。地下道そのものに魔術陣を張り、風を吸収させるという事ですね」

「うん。この風が発生する理由は、魔動列車が高速で動くからでしょ? だから、魔動列車から発生している風は厳しいんじゃないかな」

「なるほど。確かに物体が動く事で発生する風に対する懸念でしたね。加えるなら、今の魔動列車にこれを組み込む余裕があるかどうかという問題もあります」

「そこら辺は整理すれば何とかなりそうだけど、そこまでするべきものかって感じかな。逆に壁は特に何もないから、付け放題だしね。うん。この形で進めようかな。リーシアちゃんに、この魔術陣を渡してくれる?」


 セレーネは即興で作った魔術陣とその説明を紙に書いてカノンに渡す。まだ最適化済んでいないため、これはこの効果の魔術を壁に使うというお知らせをリーシア達にするという意味があった。


「分かりました。本日は休日ですので、私がいない間に仕事はしないようにしてください」

「は~い」


 カノンは、リーシア達にセレーネの手紙を渡すため部屋を出る。カノンが出た後、セレーネはジェニファーから貰った魔動列車の設計図を確認していく。


「地下特化というよりも輸送しか考えてない仕様かな。輸送用魔動列車の小さい版って感じか。六両編成で貨物車が四両。最悪人が入る事も出来るけど、緊急時の移送のみだから、快適さはなし。この辺りは仕方ないかな。地下だから、水が来ても良いように、基本的に【座標指定】での移動か……なるほどね。仮に排水が追いつかなくなった場合の備えにもなるか。排水設備に自信があったから、この辺りの考慮が浅かったかな。貨物車にはゴーレムを配置する予定だし、ここら辺はゴーレムによる自動化かな。倉庫に運び込まれた段階で、一度人による検査を受けてから整理する。ここの積み込みと積み出しはスムーズに行いたいから、この形が一番かな。生鮮食品ばかりだしね」


 セレーネは、思い付く限りのアイデアを次々にメモしていく。地下道の魔動列車に必要なのは、迅速な輸送。予定では、レッドブラッドからは野菜と肉を送り、港街から魚を送る。どちらも新鮮さが重要になってくるので、少しでも手間取る可能性を取り除きたいとセレーネは考えていた。

 そのためのゴーレム達によるスムーズな移動である。人による輸送は、荷物の重さによっては遅くなる可能性があるために、重さがほぼ関係ないゴーレムに頼むという考えに至ったのだ。


「貨物車にはフェリシアの結界で低温を維持。後は内部状態の確認に、ミュゼルの撮影機かな。駅の一室に確認するための【投影結界】を用意して、人が入っていない事とかを確認できるし、誰かが入っていたらすぐに分かる。内部状況が分かるから、その後の動きとかも分かり易い。これは、普通に駅にも使うかな。不審者とかも分かり易くなるだろうし。私の領地で作るものだから、ここら辺は良いよね。ちょっと監視が過ぎる気がするけど、犯罪者対策だから仕方ないよね」


 監視のし過ぎというセレーネの考えは、他人のプライベートを侵している可能性があるという後ろめたさから来ている。しかし、街の入口にもなる駅という場は、犯罪者が現れる可能性が高い。

 犯罪者が蔓延るような事を避けるためには、ここで譲る事は出来ない。セレーネはこの部分では常に強気でいく事に決めている。それが街のためであり、家族のためにもなるからだ。

 身近な人の死や自分を助けようとしてくれた人の死。これらの経験がセレーネにそうさせているのだ。

 そんな風にアイデアを出しながら、セレーネの休日は過ぎていく。

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