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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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唐突な同窓会

 セレーネが出て行った後の応接室では、カノンが改めてお茶を入れて座った。


「何か同窓会みたいになったね」


 ゼノビアは、ここに学園高等部の同級生が集まった状況に少し喜びを感じていた。


「まぁ、私の人脈で集めた人だからね。カノンは違うけど」

「私達の世代って、優秀な人が多かったしね。スピカもナタリアもユリーナもフィアンナもベネットもいるんでしょ?」

「そうだね。スピカはカノンの恋人兼セレーネ様の眷属として来ているけど、表向きは教会の聖女として聖域に携わりつつ教会を作るために来て、ナタリアは魔術研究所の総合研究室室長として来ていて、ユリーナはそこの受付として来ているでしょ。フィアンナは私の補佐として喚び出して、ベネットはカルンスタイン領の騎士団長として来ている感じかな」


 ミカエラとゼノビアは、マリアナの話の中の最初の部分で驚いてカノンを見ていた。視線に気付いたカノンは、お茶を飲みながら微笑む。


「事実だけど。スピカとは恋人になった」

「えぇ!? 本当に!?」

「おめでとう。ナタリアのアピールは露骨に凄かったけど、スピカもカノンに思いを寄せていたから、本当にめでたいね」

「えっ……ゼノビアは、スピカの気持ち知ってたの?」


 自身は全く気付かなかったため、ミカエラはゼノビアも知っていたという事に驚いていた。


「恋する乙女の心の機微は分かり易いものだからね。スピカ達はなかったけど、他の同級生達からは恋愛相談をよくされていたからね」

「そういえば、ゼノビアに相談すると上手くいきやすいって話があったっけ」

「そうなの? 初耳だけど」


 マリアナは知っていたが、カノンの方は初耳だった。当時そこまで恋愛に興味がなかったというのが大きい。


「カノンは勉強とかで忙しそうだったしね」

「そういえば、結局あんなに勉強してたけど、勉強は特に使わない職業に就いたんだね。正直メイドとは思わなかったけど。今じゃ、メイド長?」

「いや、メイド長は別の子に任せてある。その上って感じかな」

「メイド長の上……?」

「そもそもお嬢様の専属メイドだから、屋敷を留守にする事も多いの。お嬢様が外に出るってなったら、私も同行するから」

「ああ、なるほど……?」


 メイドという界隈に詳しくないミカエラは、何となく納得は出来ていたが、結局カノンの立場はどこなのかという疑問はあまり晴れていなかった。


「簡単に言えば、カノンはこの屋敷の全権を握っているって事。セレーネ様が屋敷の運営に対して無関心だから、カノンが代わりにやっているって感じ」

「セレーネ様って、意外と自由人?」

「意外どころか、普通に自由人だよ。仕事があれば、しっかりとやるけどね。放っておくとヤバい実験とかもし始めそうになるから、カノンも大変。今だって、セレーネ様の動向を耳で把握しているくらいだし」

「え? そうなの?」


 犬人族であるゼノビアでも、現在のセレーネの動向は把握できない。匂いである程度のどこに行ったのか追跡する事は出来るが、この場から把握する事は出来ないのだ。


「お嬢様に仕えてから、お嬢様の居場所をしっかりと把握できるようにしないといけなかったから、聴覚が鋭くなったかな。まぁ、常に感度が高いわけじゃないし、ユリーナよりは利かないけどね」

「まぁ、兎人族の聴覚はすごいし、そこは敵わないって事だね。小さい頃のセレーネ様はお転婆だった感じなの?」


 ゼノビアは、セレーネの幼少期に興味を持った。


「私が仕えた時は、自分が真祖である事とマリアさんを強制的に眷属にしてしまった事を知って落ち込んでいたかな。少し前向きになってからは、ちょっとお転婆になってきたけど。まぁ、その後に色々と経験しすぎて、若干無理矢理明るくなっている節はあるけど、良い出会いもあったから」

「そういえば、お姫様と結婚したんだっけ?」

「そう。伯爵家のご令嬢と公爵家のご令嬢とお姫様と結婚したね」

「それでいて、ご自身は侯爵令嬢で、辺境伯でしょ? 何か情報量が多いよね」


 ミカエラは、セレーネが持つ情報がかなり多い事に驚いていた。そこにカノンがさらに情報を重ねる。


「さらに言えば、ご自身は魔術界に激震を走らせるような研究結果などをどんどん出している研究者かな。空間魔術は、お嬢様の研究で一足飛びに進化したし、情報処理魔術を完成させたり、魔術道具を大量に開発したり、その魔術道具で輸送会社に製品提供したり、輸送用魔動列車の魔術的部分を担当したり、スライムを開発したり、ゴーレム開発したり、調査のために雨量や水位などを測定する魔術道具を開発したり」

「ちょちょちょっと待って!? 私、全然知らない情報が多すぎ!?」

「まぁ、これから嫌でもセレーネ様がどういう方か分からされると思うよ。鍛冶師って事で金属加工のプロだから、魔術道具を作るときに頼りにされるかもよ」

「う……落胆されないように頑張らないと……」


 ミカエラは今から緊張し、ゼノビアは少し楽しみにしていた。


「そんな緊張しなくても大丈夫だって。セレーネ様は、そこまで厳しい方じゃないから。身内に危険があると怒るけど、それ以外は基本激甘だから」

「寧ろ、鍛冶場に入り浸る可能性もあるから、今から緊張していたら身が持たないと思う」


 セレーネが鍛冶に興味を持つ可能性は否定しきれなかった。現在生産魔術で金属加工をしているが、実際に鍛冶場で金属加工をしているとこを見た事はない。そこから新しい魔術を開発したいと思い、入り浸る可能性は十分にあった。


「私のところにも来てくれるかな?」

「お嬢様は服に対してあまり興味がないから……服型の魔術道具を作る事になったら行くかも……あっ、いや、そもそもミシンの方に興味を持ってくるかもしれないか」

「何でも興味持つじゃん」

「それがお嬢様だから」


 カノンからすれば、セレーネはまだまだ好奇心旺盛で何にでも興味を持つ落ち着きのない子だった。だからこそ、カノンはまだまだセレーネを見守らなくてはいけないと考えている。

 そんな楽しい同窓会も終わり、それぞれの仕事に戻っていく。

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