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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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空の魔物対策

 二週間掛けて、セレーネは鳥型ゴーレムの調整をしていく。飛ぶ事が出来る最大重量を調べ、装甲を付けられる限界値を計算していく。魔動列車作りの際は、ジェニファーにも計算して貰っていたが、今回は一人での計算となるため、何度も確認していく事になった。


「さてと、今日こそは落とされないようにしたいな」

「ベネットに巣を探させて、ある程度数は減らしていますが、それでも空に出れば襲われますね。これまでの傾向から、空の縄張りに進入すれば襲うという形だと考えられます」

「どうにかして解決したいけど、絶滅させられないとなれば、こっちで対処するしかないもんね。この結界が上手く使えると良いけど」


 何度か飛行試験をしているが、その度に鳥の魔物に落とされてしまっていた。ただの装甲結界を付けていたが、何度もしつこく攻撃され続けるので、結界を割られてしまい落とされるという始末だ。

 結局空にいる異物を排除するまで止まらないという事が判明したため、セレーネは【装甲結界】だけでの防御を断念。新しい結界を開発する事にした。

 鳥型ゴーレムに攻撃機能を付ければ、解決するという考えもあったが、そうすれば鳥型ゴーレムが更に大きくなってしまうという点から却下し、防御と攻撃を同時に行うという方式で考える事になった。

 そうして開発した魔術は【弾性装甲結界】という結界魔術だ。この結界は、物理的に接触した際にそのまま接触した対象へと力を反発させるものである。鳥の魔物の攻撃手段が鉤爪によるひっかきや体当たりなどだったのを確認したセレーネは物理的な接触を利用する事を考えついて開発した。

 今日はその【弾性装甲結界】の効果を実地試験で確認する日となっている。


「カノンのパンチもある程度跳ね返せるから、鳥くらいなら倒せるはず!」

「上手く起動すると良いですが」

「【空間探知】を条件起動に含んでるから起動自体は問題ないと思うけどね。消費魔力が多くなって、魔力結晶分の重さが追加される事になったけど、飛ぶのは問題ないから、後は反発でどこまで返せるかだね」


 思考機の組み立ても終えたセレーネは、鳥型ゴーレムを空に飛び立たせる。飛行の原理は初期の鳥型ゴーレムと変わらない。変わったのは、軽く装甲を付けたくらいだ。

 空で旋回を始めた鳥型ゴーレムから送られてくる連続写真を思考機で確認していく。セレーネは、この連続写真を映像と名付けた。

 【投影結界】に映し出される映像は、初期よりも遙かに綺麗になっており、見たい場所を拡大する事も出来ていた。これは思考機に取り付けた機能であり、【拡大鮮明化】という情報処理魔術によるものだ。人の動きをしっかりと認識出来るくらいまでは拡大出来るようになっており、偵察するという機能は果たせるようになっている。

 最後の問題である鳥の魔物への対抗手段が完成すれば、偵察として活用する事が出来るようになる。

 セレーネは上空を旋回する鳥型ゴーレムをジッと見続ける。すると、鳥型ゴーレムを落とすために鳥の魔物であるブラッククロウが群がり始めた。鳥型ゴーレムに突撃していくブラッククロウ達が、【弾性装甲結界】によって次々に弾かれていく。

 上手く態勢を立て直せたブラッククロウは、再び突撃していくが、反発された衝撃で気絶したブラッククロウや上手く態勢を立て直せなかったブラッククロウは、錐揉みしながら地上へと落ちていった。


「結界の耐久もまだ大丈夫そうかな……」

「そうですね。反発する結界へのダメージの蓄積は少なくなっているものと考えられます。時には硬い方が脆い事もありますので、この場合は【弾性装甲結界】の方が適していたようですね」

「だね。あっ、魔物同士でぶつかった」


 弾かれたブラッククロウが、突撃していたブラッククロウとぶつかり合って墜落する。次々に自滅していき、残りの数が一桁になったところで、ブラッククロウは去っていった。


「あっ、敵わないと思ったのかな?」

「判断が遅すぎますね。仲間の八割程を失ってようやく撤退とは」

「まぁ、これまで落とせてたから、何度もぶつかれば大丈夫って思ってたんじゃない? 取り敢えず、結界の維持も問題ないし、撃退も出来たから、【弾性装甲結界】は成功だね。このまま継続飛行時間を調べよう。いつも落とされて分からないままだったし」


 セレーネがそう言うと、カノンは【空間倉庫】からリクライニングの椅子を取り出して設置する。背もたれの角度を調整してからセレーネを座らせて、空を楽に見られるようにした。


「ありがとう」

「いえ。基本はあの場所を旋回させ続けるのですか?」

「うん。それが一番見やすいからね」


 セレーネはそう言いながらクリップボードに挟んだメモ用紙に気付いた事などを記入していく。

 カノンは、思考機に送られてくる映像を確認していき、異常がないかを確かめていく。鳥型ゴーレムの継続飛行時間を計測出来ていない事もあり、思考機に記録されていく映像の時間も調べられていない。【記録媒体】が全て埋まってしまう事になるのかも調べなくてはいけなかった。


「【記録媒体】の方はどう? 問題ない?」

「通常の思考機の半分以下の【記録媒体】の数ですが、今のところ一割も埋まっていません」

「写真よりは多い感じ?」

「はい」

「改良を重ねた結果は出てそうだね。転写も問題なさそうかな?」

「現状問題が発生している様子はありません。映像の確認もしていますが、特に問題はありません。転写の更新により、一部のみ重なる箇所がありますが、許容範囲内でしょう」


 情報の転写による映像被りは、セレーネが当初よりあるだろうと考えていた問題だ。情報の欠落よりはマシだろうというのがセレーネの考えである。


「う~ん……何とか途切れ目をなくしたいところだけど、もしもの時を考えると今の形が一番良いんだよね……どうしようかなぁ」


 紛らわしいという問題があるので、セレーネはそこを改善させたいとも考えていたが、結局途切れて映像が欠落する問題はなくならないので、現状どうしようもなかった。

 セレーネがそのまま鳥型ゴーレムを見ていると、その顔をマリアが覗きこんだ。


「どうしたの?」


 眷属との繋がりでマリアが来ている事には気付いていたので、セレーネは特に驚きはしなかった。


「中々帰って来ないから、フェリシア様が様子を見に行って欲しいって。失敗しなかったにしても、ちょっと心配だったみたい」

「そっか。取り敢えず、【弾性装甲結界】は成功。魔物は次々に落下していって最終的に逃げたよ。今は継続飛行時間と記録出来る映像の量を調べてるところ」

「そっか。あれが失敗したら雷魔術を纏わせるって言ってたから、色々と準備してたのになぁ」

「雷魔術を纏わせると結局接触するのは変わらないから、本当に最終手段だったしね」


 雷魔術に精通しているマリアのアドバイスを受けながら、雷魔術による防衛方法を模索するかもしれなかったが、その前に【弾性装甲結界】が成功したので、その予定は消えた。

 そのためマリアは少しだけ残念そうにしていた。久しぶりにセレーネと一緒にいる時間が増えると考えていたからだ。ここ数年は、フェリシアの専属メイドとして活動しているのでセレーネとの時間は少なかった。


「う~ん……時々カノンと交代する? 私の専属だとかなり大変だけど」

「それ自分で言う? でも、カノンさんが了承してくれるならそうして貰おうかな」

「構いませんが、引き継ぎの書類を用意しますので、二日程時間を頂ければと思います」

「だって」

「お願いします。それじゃあ、私は戻るね。そんな寝転がって居眠りしないようにね」


 マリアは、セレーネの頬を揉むと、フェリシアが作業をしている実験室の方へと戻っていった。

 飛行試験の結果継続飛行時間は、ほぼ無限という事が分かった。一日中空を飛び回っていても一向に墜落する様子はなかったからだ。また【記録媒体】に記録する映像は、一日分で一枚となっている。容量の調整などをしっかりとしていたので、この辺りはセレーネにとって嬉しい事だった。後は細かな調整に移るだけである。

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