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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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防衛と防犯

 翌日。セレーネの執務室にフィアンナがやって来る。


「本日から私が補佐に入ります。とは言いましても、普段と何も変わりませんのでご安心ください。こちらは、騎士団よりの報告書です。ご確認をお願いします」

「うん。分かった。フィアンナの仕事は大丈夫そう? マリアナの仕事量は多いから、フィアンナの仕事も合わせると大変じゃない?」


 フィアンナはフィアンナでマリアナから出される仕事をしているので、そこにマリアナの分の仕事が入るのは、仕事量が多すぎるのではとセレーネは考えていた。


「いえ、マリアナが終わらせなければいけない分の仕事は、昨日までで終えていますので、そこまで多い訳ではありません。これから増える可能性はありますが、一週間程度では問題はありませんので、ご安心ください」

「そう? もし厳しそうなら言ってね。私の方で出来そうな仕事はやるから」

「はい。その際はお願いします。こちらは、本日分の確認事項になります。こちらが終わり次第、セレーネ様には研究に移ってもらいます」

「防衛の?」

「その通りですが、海岸線のものとは別です。セレーネ様には崖際の防衛用の魔術道具を作成して欲しいとの事です。マリアナは、最悪の事態を想定しているようですね」

「崖からの聖域への侵入?」


 崖際の防衛と聞いて、セレーネは真っ先に聖域の奥側を考えた。それ以外に領地の中に崖と呼べるような場所はほぼない。


「聖域の侵入が目的であれば、まだ良いのですが」

「領地の端っこだから、そこから領地に侵入してここを叩かれる可能性があるって事?」

「その通りです。聖域を侵すという大罪を犯しながらの進軍を警戒しているようです」

「そんな警戒しないといけないような状況?」


 そこまで警戒するという事は、周辺の状況がそのような状態になっているという事なのではとセレーネは考えていた。

 だが、これに対してフィアンナは首を横に振る。


「いえ、現状は平和そのものです。なので、最悪を考えての判断となります。マリアナが警戒しているのは、何よりもセレーネ様の御身となります」

「私?」

「はい。領主としてのセレーネ様もですが、研究者としてのセレーネ様を誘拐されてしまう事を警戒しているのです」

「誘拐ね……」


 実際に一度人身売買組織に誘拐された経験があるセレーネにとっては、それを考えすぎだと一蹴する事は出来なかった。


「確かに聖域を通っての誘拐はあり得ないとは言えないかな。領から逃げるのに、聖域を通過して海路を使うのは一番の安全ルートだろうし。カノンはどう思う?」

「お嬢様の言う通りかと。隣領を経由して逃げるという選択は、そのためのルートを構築している事が前提となります。お嬢様の誘拐事件から、多くの摘発が行われ、その数は格段に減っているそうです」

「でも、王都にもルートは残ってた」

「はい。完全に潰す事は叶っていないのが現実です。ですが、そのためのルートがある程度消されているのも事実です」

「現状この領でそのルートはないから、一番あり得そうなのが聖域経由。まぁ、入ってもこっち側に出られないようになってるから意味ないと思うけど、聖域に入られる事がそもそも嫌だしね。フィアンナ、その辺りの警戒はマリアナがやってくれてるよね?」


 セレーネは犯罪者達の逃走ルートに関するものをマリアナが考えているかどうかの確認を取る。ここまでの話をセレーネに頼むという事はある程度は考えているという証拠になるが、それがどこまでのものかは分からない。マリアナの補佐であるフィアンナであれば、分かるだろうとセレーネは考えていた。


「はい。職人達には、これまでの職歴や携わった仕事などの聴取を行い、そこに誤りがあれば拘束してルージュ公爵領に引き渡しております」

「そういえば、職人の中に不審者がいるから、それに関する話をするって書いてあったっけ。そういう事?」

「はい。一定の成果を上げた時に報告するという事になっております。まだ組織に繋がる証拠が出ていませんでの、ただマリアナが疑っているだけという風にも見えてしまいますから」

「ふ~ん……まぁ、そのくらいの警戒心はあった方が良いだろうね。私が領主って事も考えると、そのくらいの警戒をしている状況である事も周りは納得するだろうし」


 セレーネは、マリアナの行動に理解を示していた。セレーネ自身に加えて、婚約者であるユイも誘拐されていた。セレーネからすれば、誘拐犯を含めた犯罪者達への嫌悪感は強い。

 そして、そんなセレーネが領主である事が、そのまま警戒心の高さの理由になる。そこは利用しておくべきだとセレーネ自身も考えていた。


「犯罪者への対策は、今の内に考えておくべき?」

「いえ、これは街を本格的に作り始めた時に考えるべきかと。警戒ルートの構築なども含めますので、騎士団も一緒に話し合うのが一番ですね。現状は、マリアナが警戒していますので、セレーネ様には他の事をお願いします」

「分かった。報告出来るような事が出来たら、ちゃんと報告してね」

「かしこまりました。では、私は失礼します」

「うん。ありがとう」


 フィアンナはセレーネに一礼してから、マリアナの執務室に戻っていった。マリアナの補佐が仕事なので、基本的な仕事場は、マリアナの執務室になるのだ。


「さてと、崖際の防衛か……まぁ、結界で防ぐ方法はもう考えてあるんだけどね」

「問題は設置箇所でしょうか」

「うん。崖際に設置するのは危険だもんね。崖から少し離れた場所に設置して、そのまま機能させるって点は課題として考えていたから、ちゃんと作れると思う。よし! 確認を済ませて開発に入ろう!」

「確認は疎かにしないようにしましょう」

「うん!」


 セレーネは、しっかりと確認を終えていき、開発に移る。開発中も確認すべき事が出来れば、フィアンナが持ってくるので、それらを確認し時には指示を出していく。マリアナがいないだけで、後はほとんどいつもと変わらない日常を送っていく。

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