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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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セレーネの一日休み

 翌週。セレーネの一日休みの日がやって来た。フェリシア達はその前に一日休みを貰っているために、フェリシア達と共に休みを貰う事は出来なかった。

 そのためカノンと二人での休日となる。セレーネは自室にて、カノンを背もたれにしながら空間魔術や情報処理魔術に関する論文を読んでいた。これらはミレーユがセレーネ宛に送ってくれたものである。

 カノンも一日休みを貰う事になってしまい、部屋の掃除は掃除スライムと他のメイド達が行っていた。そのためセレーネを抱えながらクロに寄り掛かって過ごしているところだった。

 これはカノンが望んだ事ではなく、セレーネが望んだ事である。カノンに寄り掛かっているセレーネは、つまらなさそうに論文を読んでいた。


「お気に召す内容ではありませんでしたか?」


 セレーネの表情に気付いたカノンが、セレーネを抱き寄せながら訊く。セレーネはその力に抗わずに、カノンの胸を枕にするようにしてカノンの顔を見る。


「だって、私の研究に繋がるような内容でもないし。そもそも私が出した論文の魔術陣は使い勝手を考慮してないみたいな書き方されてるんだもん。多重魔術陣の方が使い勝手は良いでしょ? だって、前後の組み合わせを変えるだけで、色々な魔術に早変わりだよ? そりゃあ、接続が難しいってところはあるけどさ。ちゃんと多重魔術陣を勉強したら有用性が分かると思うんだけど」

「にゃ~」

「クロもそう思うよね~」

「にゃ~」


 セレーネは、顔を近づけてきたクロを撫でる。セレーネに撫でられるクロは喜びながら顔を擦り着ける。


「もうちょっと踏み込んだ研究をして欲しいよね。せっかく研究許可も出してあるのに」

「多重魔術陣は、浸透していませんので、厳しいところがあるかと」

「それこそ勉強でしょ? 他分野のことならまだしも、同じ魔術分野で、しかも基礎の近くにある研究なのに勿体無いと思わない? これが基本になったら、魔術界隈に革命が起きると思うんだけどなぁ」

「それこそ難しいものかと。基礎の近くとはいえ、その間には大きな壁が存在しますから」

「もうちょっと踏み込んだ論文を書いたら変わるかな?」

「接続に関しての論文であるとその可能性はあります。ただ、そうなると論文というよりも教本にした方が良いかと思いますが」

「教本かぁ。確かに分かりやすいものがあったら、論文よりも手を付けやすいかも」

「学術都市での授業においても使えますので、良いかと思います」

「機会があったら作ろっと。今は難しいし」


 教本を仕上げる時間はなくはない。こうして一日休みを設ける事になったために、一日空きが出来るというようになる。その時間を使えば出来るが、それでは休みにならないという問題があるため、今はやらない事にしていた。

 論文を読み終えたセレーネは、論文を【空間倉庫】に入れる。中に入れれば、ゴーレム一号が整理して収納するため、セレーネは中に入れるだけで良い。


「あの子達も改良しないと。スライムだけは増えてるけど」

「スライムに関しては、自動で生成が可能ですからね」

「クロのベッドにも温調スライムを配置して快適に過ごせるようにしてるけど、私のベッドにもやるべき?」

「その辺りは、希望者のみという方が良いかと。既にメイド達は虜になっているようですが」

「温調スライムの温度調整は、人に合わせてあるしね。さてと、これからどうしようか。研究してたら休んでるって言わないよね。理論を考えるくらいなら良いかな?」

「そうですね。それくらいでしたら良いかと」


 セレーネは、【空間倉庫】からクリップボードを出して、カノンに寄り掛かったまま理論の組み立てを行っていく。時折、互いにトイレに行く事もあったが、基本的にはカノンに寄り掛かるという態勢で過ごしていた。


「出来た。【空間圧縮】。【座標指定】で指定した場所に全方位から圧力が掛かる魔術だよ」

「大変危険な魔術になりますね。ですが、【座標指定】で指示しなければ使えないとなりますと、戦闘において使いにくいものになる可能性が高いです」

「うん。だから、罠として使える魔術かなって」

「設置型の魔術という事ですね。ですが、街の防衛に使うものとしては危険過ぎます。暴発した際の問題がありますので」

「うん。だから、街中では使わない魔術かな。街の外で使う魔術だよ。海から来た外敵とかかな」

「なるほど。それなら良いかもしれません」


 海水以外何もない海であれば、無関係な人を巻き込む可能性を大幅に軽減出来る。相手が船に乗っている場合、船と一緒に圧縮する事で倒す事も可能である。防衛用の魔術としては、かなり強力な魔術となる。

 細かい攻撃ではなく広い範囲に使用する魔術のため、【座標指定】で設定してからという不便さは眼を瞑る事が出来る。


「論文にはしないでおこうかな。魔術陣としては、簡単な方だし」

「危険な魔術ですので、その辺りはお嬢様の判断に委ねられます。ですが、私としてはしない方が良いという考えに賛成です。やろうと思えば、王城をまとめて潰すという事も出来そうですので」

「う~ん……理論上の消費魔力だと、そのくらいの大きさになったら、私くらいの魔力がないと厳しいと思う。いや、もしかしたら私の魔力でも無理かも。指定よりも圧縮に使用される魔力が圧倒的多いから」

「なるほど。対抗魔術はありますか?」

「簡単に考えられるので良いなら、自分の周りに【座標指定】をして、その外部に向かって空間の膨張を行うくらいかな。対抗魔術として開発しておこうか。全体的な空間魔術に干渉出来るように調整して……膨張も圧縮も無効化出来るようにした方が良いかな。空間を対象にした魔術を無力化する……ううん。現象そのものを無効化してみよう。これなら爆発とかも抑える事が出来るし、燃焼も防げるかも」

「空間の乱れというものが、空気の膨張なども含まれるのであれば、そうなりますが、空間そのものヘの干渉であれば不可能かと」

「う~ん……じゃあ、空気への干渉を風魔術で行うようにしようか。空間と風の複合魔術で考えるかな」


 セレーネはカノンの腕の中で楽しそうに新しい魔術の開発をしていった。そうして、新しい魔術【空間調和】を開発する。空間の歪みや膨張、圧縮だけでなく、空間内の空気の揺らぎなども調和させる魔術であり、内部で起こる爆発などを防ぐ効果もある。

 【空間圧縮】も【空間調和】もまだ最適化が済んでいないので、完全に開発完了とはならないが、久しぶりの魔術開発とカノンとの密着でセレーネは上機嫌になっていた。

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